LUNACY

cygnus' blog

『さらば、わが愛 覇王別姫』

2005-09-19 08:58:48 | 映画
※2005年9月18日加筆

@ル・シネマ(リバイバル上映)

感じることいっぱいある映画でした。
1993年カンヌ映画祭パルムドール(Palme d'Or)受賞作。『ピアノ・レッスン』と同時受賞。

※『覇王別姫』: 京劇などの中国古典定番もののお芝居。項羽と劉邦の戦い。「四面楚歌」の故事の場面。そこでの敗軍の将と愛人の物語。

この『覇王別記』を演じる京劇役者のものがたり。
『覇王別記』になぞらえたストーリー。うまい。
主役の女形(おやま)と男役の人生。
女形・虞姫を演じるのが程蝶衣(byレスリー・チャン)。男役・項羽を演じるのが段小樓(byチャン・フォンイー)。
現実世界でも、蝶衣が小樓を恋して愛してしまうが、その想いは届かない。小樓は、高級娼婦の菊仙(byコン・リー)を愛し娶る。そして、3人をめぐる愛が、ぶつかって、その一方で助け合って....。
そして、中国の現代史。時代の流れに否が応でも翻弄されてしまう役者。残酷な最後。
とにかくせつないお話。

やはり、チェン・カイコーは大作を作り上げる監督ですね。
それに、何よりもレスリー・チャン!!素晴らしい!!
あぁ、何故死んでしまったんだろう。『覇王別姫』の虞姫のように自殺だったんだよね....。

役者でいうと、レスリー・チャンが好演していて、コン・リーが汚れ役を演じきっているからすばらしいんだけれど、チャン・フォンイーが、弱い。特に情感が弱いのよ。
プログラム読むと、レスリー曰く「もういっしょに演じたいと思わない」ってインタビュー記事で書いてあるけれど、そうだろうな(笑)。その後も、チャンは、『始皇帝暗殺』にも出ているのだけれど、何故、チェン・カイコー監督が重用するのかわららん(笑)。

あとストーリー追いながら、『エリザベート』の“私と踊る時”を思い出してしまいました(笑)。
でもこれは真っ当な連想のつもり(笑)。
引用すると、
 ♪踊る時は 選んだ相手と
  踊りたいままに 好きな音楽で
  踊る時は この世終わるその刹那も
  ただ一人 愛する人と
  踊る時は 全てこの私が 選ぶ
なのだけれど、本当にそんな感じのお話なの。

中国現代史を知っていると理解が深まります(笑)。
二人の幼少期・少年期・青年期・壮年期と、時代が変わって、支配者も変わって社会構造がドンドン変化していきます。1924年~1977年の設定。
国共合作から、日本の支配、国共対立からの共産党勝利で支配開始、文化大革命、ラストが文革終結。
劇場を日本の日の丸や標語などで固めても、日本の軍人たちは、舞台を観劇するときは、マナーがマトモだったのね。そして、将校たちも酒席でもマトモに中国の舞踊を鑑賞するワケ。
ところが、日本が出て行ったあと、中国の軍人が舞台を見るんだけれど、劇場でわめき散らしてメチャメチャにして、劇どころか役者までズタズタにするんだよね。で、役者が「日本軍だってこんなことをしなかったのに」って。でも、今度は、その一言が、日本へのシンパ・反中国ってことで咎になってしまう。

それから、文化大革命って最悪だよね~。何か良いことあったのかな?
よく知らない人は、たとえば、日中合作のドラマ『大地の子』を見てみて。陸一心(上川隆也)の養父(チュウ・シュイ)が紅衛兵に引き連れ回されて、とんでもないことになるから。
この映画では、3人を引き裂く元凶になります。すごく残酷。
本当にバカなことしたと思うよ。

フィルム劣化でノイズもあったけれど、スクリーンで見られて嬉しい一本でした(涙←感動)。
家には、録画したまま見ていない、この作品のビデオがあったんだけれどね(笑)。

プログラム。
(新たに発行したのではなく)以前のをかき集めたみたい(笑)。以前、Bunkamuraのショップでは売り切れだったはずだから。
今は、Bunkamura支援を外したオフィシャルサプライヤーの広告があるし(笑)。
その一方で、当時は、まだ、脚本全文掲載してなかったんだね。買ってからちょっとショック(笑)。
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