犬鍋のヨロマル漫談

ヨロマルとは韓国語で諸言語の意。日本語、韓国語、英語、ロシア語などの言葉と酒・食・歴史にまつわるエッセー。

換率(ファニュル/為替レート)

2006-11-09 23:59:34 | 韓国の漢字語
 ウォン高が進んでいます。

 1997年末に始まったIMF外貨危機のときには,ウォンが暴落し,瞬間的に100円=1500ウォン!以上をつけたこともありました。
 当時,外貨建てで給料をもらっていたソウル駐在公務員と一部企業の社員は,顔がゆるみっぱなしでした。なにしろ,給料が二倍になったも同然でしたから。中には,日本と現地で完全に二重の給料をもらっていた幸せな人々(某日本人学校教員)もいて,そういう人にとっては給料が日本にいたときの3倍になったわけです。

 なお,私は現地給与をウォン建てでもらっていたので,この為替の乱高下とは無縁でした。

 その後ウォンレートはしだいに落ち着きをみせ,ここ数年は100円=1000ウォン前後で安定していたため,買い物などのときの換算がとても楽でした。

 2005年に入って1000ウォンを割り,この数カ月の間に急騰,800円を割る日もあります。久しぶりに来た出張者は,両替のとき,以前は1万円で10万ウォン以上もらえていたのに,急に7万ウォンあまりしかもらえなくてショックを受けています。

 ところで,為替相場の表現。

 日本語ではウォンが100円=1000ウォンから100円=8000ウォンに変動した場合,通貨価値を基準として

ウォン高とかウォンの上昇,急騰,暴騰

などの言葉を使いますが,韓国語では,

下落,急落,暴落

などと表現します。

 これは,通貨価値ではなく1ドルまたは100円あたりのウォン価格を基準としているからですね。
 これを韓国語で 환율 ファンニュル(換率)と言います。

 たとえば,対ドルレートについての記事ですが,11月1日の朝鮮日報の記事。

日本語版は,

ウォン続伸で1ドル=940ウォン割れ
ウォンの対ドル相場が7日連続上昇し、6カ月ぶりに940ウォンを割った。1日のソウル外為市場のウォン相場は、前日比2.90ウォンのウォン高・ドル安の939.40ウォンで引け、5月17日(936.90ウォン)以降の最高値を記録した。グ・ギルモ外換銀行外貨運用チーム次長は「この日の為替の上昇率は前日発表された米経済指標(個人消費支出及びISM製造業景気指標)が予想を下回ったことでドル安となったほか、北朝鮮が6カ国会談に復帰するというニュースもウォン高要因になった」と話した。

 同じ記事の韓国語版を直訳調で訳してみると,

「ウォン貨換率940ウォン崩壊
ドルに対するウォン貨の換率が7日連続下落し、6カ月ぶりに940ウォンラインが崩れた。1日,ソウル外為市場で,ドル対比ウォン貨の換率は,前月より2.90円下がった939.40ウォンで引け,去る5月17日以後の最安値を記録した。グ・ギルモ外換銀行外貨運用チーム次長は「この日の換率の下落は前日に発表された美国経済指標(消費および製造業の景気指標)の不振でドルが弱勢を見せ,北韓の6者会談のニュースもウォン貨強勢を後押しした」と話した。」

 上昇/下落,最高値/最安値と正反対の言葉が使われています。日本語版の担当者は適切に訳したといえるでしょう。

 韓国語で為替に関する記事を読むときは,注意が必要です。

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