韓国性売買事情⑤～「性売買特別法」施行以後

　２００４年９月に施行された性売買特別法の内容は，新聞記事（→記事①）によると

「人身売買、売春の強要、売春の広告行為に対する厳しい処罰を主な内容」とし，
「これまで処罰規定がなかった売春関連の広告やビラの配布行為に関してもすべて立件する」，
「新しい法では売春女性が青少年である場合や、監禁および人身売買など、強要によって売春をした場合は、売春被害者に分類され処罰を受けないため、売春女性が捜査に積極的に協力し、買春者の処罰に大きな効果を発揮すると見ている」。
「売春を強要した業主」や「売春女性を監禁したり堕胎させた者、人身売買をした者」の処罰を重くし，「性交類似行為も処罰」するので，「活況を呈していたユリバン（ガラスの仕切りのある部屋に男女がそれぞれ座り、わいせつな行為をする風俗営業所）、退廃理髪所（女性による風俗マッサージや売春行為も行われる理髪店）なども取り締まりの対象」になる。
「売春関連の債権は契約の形や名目に関係なく、これを無効とする」など。

　でも，読みようによっては，「強要されていない性売買はかまわない」とも読み取れるので，性売買が全面的に禁止されたのかどうなのかがよくわからない（そもそも，売春は昔から禁止されていたはずだし）。どうも，「売春女性が雇用主を告発できるようになったこと」「買春者も罰せられるようになったこと」が目新しい点のようです。

　この法律は，発表当時から賛否両論で，当の売春女性たちが反対集会を開いて世間を驚かせたり（→記事②），自殺を図ったり（→記事③）。

　ともかくも取り締まりの成果はあがったようで，たくさんの人々が見せしめ的に検挙・拘束されました（→記事④）。当時，テレビを見ていたら，ある頽廃理髪所（床屋を見せかけた売春施設）での手入れの場面が映されていましたが，全裸姿の，顔にモザイクがかけられた若い男性は，片言の英語で「from Japan」と答えていました。みっともない話です。

　で，どういう効果があったか。

　取り締まりを逃れるために，新手の風俗産業が盛況となり，一方で売春女性が大挙して海外（日本，米国，香港など）に進出しました（→記事⑤）。これを「風船効果」というらしいです（→記事⑥）。

　この時期に日本出張でタクシーに乗ったとき，韓国から来たというと，「最近，赤坂の韓国クラブが賑わってますよ」と運転手さんが言っていました。
　かつて，日本のバブル華やかなりしころ，経済評論家の池東旭さんが，「韓国の美女がみんな赤坂に行っちゃって，韓国の男性たちが歯噛みして悔しがっているが，これも経済法則だからしかたがない」とぼやいてたのを思い出します。
　その後，「失われた１０年」で一時的に日本にある韓国クラブはさびれたと聞いていましたが，日本の景気回復に加えて，このたびの「性売買特別法」で，赤坂（その他の韓国クラブ街）に活気が戻ったようです。

　一方，米国では，売春目的の偽造ビザが摘発されたり，売春女性が強制送還されたりと，これまで「特別法」の影響がでているらしい（→記事⑦）。

　結局，「性売買特別法」は，売春根絶に失敗しただけでなく，「韓国は売春共和国」という不名誉な評判が海外にまで轟くことになってしまったと言えそうです。

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