犬鍋のヨロマル漫談

ヨロマルとは韓国語で諸言語の意。日本語、韓国語、英語、ロシア語などの言葉と酒・食・歴史にまつわるエッセー。

黒の媚薬

2015-02-23 23:47:48 | 食べる


「お父さん、今度、いつうちに帰ってくるの」

 バンコク出張中に娘の一人からLINEが入りました。外国にいても無料でコミュニケーションがとれるのがLINEの魅力です。

「なんで?」

「チョコレート買ってあるから、帰ったら渡すね」


 そういえば、出張期間中にバレンタインデーがあったのでした。

 娘(三女)が昨年就職した会社は、お菓子メーカー。バレンタインデーはクリスマスに次ぐ一大イベントです。

 ところが、今回私のために買ってくれたのは、自社製品ではなく、同じデパートの地下にあるライバル会社の商品。

 帰国後、受け取ってみると、「黒の媚薬」という名前の高級チョコレートでした。

「黒の媚薬…。なんかすごい名前だねえ」

「うん。買うとき、お店の人に
「売れてますか」
って聞いたら、
「あんまり売れてません」
って。
「名前が悪いんじゃないですか」
って聞いたら、
「そうかもしれません」
って言って笑ってた」


「おいおい、そんなこと言ったの」


「ライバル会社の研究の一環だから」


「で、自分のところのは売れたの」


「うん、完売」


「売れ残ったら、安売りするの」


「うちは、絶対にしない。売れ残ったら捨てる」


「もったいない」


「だから『死ぬ気で売れ!』て言われてる」


(死ぬ気で…)

 お菓子メーカーの競争も過酷なようで。

 で、黒の媚薬はというと…

 500年の歴史を誇る薩摩焼酎の中で、日置蒸留蔵で熟成された焼酎を使い、厳冬の北陸の雪の中で菓子職人の情熱を注ぎ込んで調製したんだそうです。薩摩焼酎を使って福井県で作った…?

一粒食すると、胸の奥がぽっと熱くなる、不思議な恋の妙薬です

 いまさら恋って歳でもないが…

 4粒で税込み1300円、1粒300円の焼酎入りチョコは、甘さ控え目の大人の味。甘いものがあまり好きではない私にも、おいしいと思える逸品でした。


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