ヌリ号の打ち上げに関連し、文大統領が行った演説の裏事情を伝える記事がおもしろかったので、拙訳で紹介します。
10月24日付のマネーSの記事です(リンク、韓国語)
文在寅大統領、ヌリ号演説を自分で変更... 「誇らしい成果を最大限お祝いする」
「たとえダミー衛星を軌道に安着させることはできなかったとしても、1、2段の燃焼と分離、ペアリングまですべて成功したので、誇張にならない範囲で成果を最大限に祝う演説にする」
21日、ヌリ号の飛行試験終了後、「軌道安着失敗」のニュースの報告を受けて文在寅大統領が現場で自分で演説を修正したときの言葉だ。
パク・スヒョン青瓦台国民コミュニケーション首席補佐官は、24日、Facebookに掲載した「ブリーフィングにない大統領の話」の中でこのように伝えた。パク首席は「(文大統領は)演説文の数か所について、できなかった成果ではなく、達成した目標を強調する文言に修正した」と述べた。
文大統領は演説でヌリ号の飛行試験完了を伝え、「誇らしい」という言葉で演説を切り出した。続いて「残念ながら目標を完璧に達成することはできなかったが、最初の打ち上げでたいへん立派な成果を上げた」と述べた。
パク首席によると、青瓦台(大統領府)は飛行試験の前、ヌリ号の打ち上げに失敗した場合、文大統領の生中継の演説をやめ、研究院のスタッフを激励だけして帰ってくる案も検討されていた。しかし、文大統領は「失敗した場合も生中継の演説を行い、その内容も、これまでわれわれが達成した技術的蓄積とわが国の宇宙開発の挑戦とその意味を込めたい」という指示を与えた。
文大統領は15日の会議でも、「たとえヌリ号の打ち上げが失敗したとしても、宇宙開発は失敗を通して貴重な経験を蓄積するものであり、成功は結局時間の問題」、「世界的にも初めて打ち上げるときの成功の確率は低いのが普通で、失敗しても継続的な宇宙開発への挑戦を励ますためにヌリ号打ち上げの現場での参観を決めた」と明らかにした。
文大統領はまた、今回のヌリ号の打ち上げで高価な実際の衛星ではなく、ダミー(模造)衛星を乗せるということをきちんと公開しなければならないという意志も示した。
科学技術担当補佐官は、実際の衛星でもないのに、あえて言及する必要はなく、ロケット燃焼試験が成功したことに焦点を合わせるほうがよいと提案した。しかし文大統領は「ロケットを打ち上げるとしたら、国民は何のために打ち上げるのか知りたがるだろう」、「ヌリ号が衛星を宇宙に運ぶ役割を持っているということを知らせるためにも、ロケットの性能の検証を目的とする1回目の打ち上げでは、模造衛星を積んでいることを知らせるべき」と科技担当補佐官を、むしろ説得したそうだ。
パク首席は「実際、ロケットに何が積まれているのか知りたがる国民が多いことを考えると、模造衛星についての説明は当然のことだったと思う」と付け加えた。
パク・スヒョン首席補佐官によれば、
「打ち上げが失敗した場合、演説中止する予定だった」、
「打ち上げに成功し、衛星の軌道投入に失敗した場合、衛星には言及せず、ロケット燃焼試験が成功したことに焦点を合わせるほうがよいと提案した」。
ところが文大統領は、
「失敗しても演説をする」、
「衛星の軌道投入失敗についても、国民に正直に話す、ただしその衛星は本物ではなく(安価な)、模造衛星だったことを伝える」
と述べたそうです。
取り巻きが失敗を隠蔽することを提案したのに、大統領は正直に話すことを決断した、という美談に仕立てられています。
しかし、「失敗の隠蔽」を提言する補佐官というも、どうなんでしょう。こんなことがバレたら、普通は即更迭ではないでしょうか。
実際の文大統領の演説では、衛星の軌道投入失敗が「目標を完璧に達成することはできなかった」と表現されており、「最初の打ち上げでたいへん立派な成果を上げ」、それが「誇らしい」と述べられ、失敗の事実をあからさまに表現することは避け、「誇張にならない範囲で成果を最大限に祝わ」れています。
それに続くメディアの報道でも、「失敗」という言葉は使わず、「未完の成功」など、「成功に焦点を当てた」ものが多くなっています。(リンク)
衛星打ち上げ失敗によって、自身の支持率に悪影響が出ることを懸念したものと思われます。
10月24日付のマネーSの記事です(リンク、韓国語)
文在寅大統領、ヌリ号演説を自分で変更... 「誇らしい成果を最大限お祝いする」
「たとえダミー衛星を軌道に安着させることはできなかったとしても、1、2段の燃焼と分離、ペアリングまですべて成功したので、誇張にならない範囲で成果を最大限に祝う演説にする」
21日、ヌリ号の飛行試験終了後、「軌道安着失敗」のニュースの報告を受けて文在寅大統領が現場で自分で演説を修正したときの言葉だ。
パク・スヒョン青瓦台国民コミュニケーション首席補佐官は、24日、Facebookに掲載した「ブリーフィングにない大統領の話」の中でこのように伝えた。パク首席は「(文大統領は)演説文の数か所について、できなかった成果ではなく、達成した目標を強調する文言に修正した」と述べた。
文大統領は演説でヌリ号の飛行試験完了を伝え、「誇らしい」という言葉で演説を切り出した。続いて「残念ながら目標を完璧に達成することはできなかったが、最初の打ち上げでたいへん立派な成果を上げた」と述べた。
パク首席によると、青瓦台(大統領府)は飛行試験の前、ヌリ号の打ち上げに失敗した場合、文大統領の生中継の演説をやめ、研究院のスタッフを激励だけして帰ってくる案も検討されていた。しかし、文大統領は「失敗した場合も生中継の演説を行い、その内容も、これまでわれわれが達成した技術的蓄積とわが国の宇宙開発の挑戦とその意味を込めたい」という指示を与えた。
文大統領は15日の会議でも、「たとえヌリ号の打ち上げが失敗したとしても、宇宙開発は失敗を通して貴重な経験を蓄積するものであり、成功は結局時間の問題」、「世界的にも初めて打ち上げるときの成功の確率は低いのが普通で、失敗しても継続的な宇宙開発への挑戦を励ますためにヌリ号打ち上げの現場での参観を決めた」と明らかにした。
文大統領はまた、今回のヌリ号の打ち上げで高価な実際の衛星ではなく、ダミー(模造)衛星を乗せるということをきちんと公開しなければならないという意志も示した。
科学技術担当補佐官は、実際の衛星でもないのに、あえて言及する必要はなく、ロケット燃焼試験が成功したことに焦点を合わせるほうがよいと提案した。しかし文大統領は「ロケットを打ち上げるとしたら、国民は何のために打ち上げるのか知りたがるだろう」、「ヌリ号が衛星を宇宙に運ぶ役割を持っているということを知らせるためにも、ロケットの性能の検証を目的とする1回目の打ち上げでは、模造衛星を積んでいることを知らせるべき」と科技担当補佐官を、むしろ説得したそうだ。
パク首席は「実際、ロケットに何が積まれているのか知りたがる国民が多いことを考えると、模造衛星についての説明は当然のことだったと思う」と付け加えた。
パク・スヒョン首席補佐官によれば、
「打ち上げが失敗した場合、演説中止する予定だった」、
「打ち上げに成功し、衛星の軌道投入に失敗した場合、衛星には言及せず、ロケット燃焼試験が成功したことに焦点を合わせるほうがよいと提案した」。
ところが文大統領は、
「失敗しても演説をする」、
「衛星の軌道投入失敗についても、国民に正直に話す、ただしその衛星は本物ではなく(安価な)、模造衛星だったことを伝える」
と述べたそうです。
取り巻きが失敗を隠蔽することを提案したのに、大統領は正直に話すことを決断した、という美談に仕立てられています。
しかし、「失敗の隠蔽」を提言する補佐官というも、どうなんでしょう。こんなことがバレたら、普通は即更迭ではないでしょうか。
実際の文大統領の演説では、衛星の軌道投入失敗が「目標を完璧に達成することはできなかった」と表現されており、「最初の打ち上げでたいへん立派な成果を上げ」、それが「誇らしい」と述べられ、失敗の事実をあからさまに表現することは避け、「誇張にならない範囲で成果を最大限に祝わ」れています。
それに続くメディアの報道でも、「失敗」という言葉は使わず、「未完の成功」など、「成功に焦点を当てた」ものが多くなっています。(リンク)
衛星打ち上げ失敗によって、自身の支持率に悪影響が出ることを懸念したものと思われます。
昨年の流行語に「自分がやればロマンス、他人がやれば不倫」というのがありましたね。
成功は自分の手柄、失敗は他人の責任、というのも韓国でよく見られます。