昨年の人間ドックでは、さまざまな数値が悪化しており、再検査項目も複数に渡っていました。
その一つが大腸の内視鏡検査。
胃の内視鏡(胃カメラ)は人間ドックで毎年経験していますが、大腸カメラは初めて。
会社の同僚の経験者に話を聞きました。
「さんざんな目にあいましたよ。もう二度とやりたくない」
「痛いの?」
「どうも、ぼくの大腸は、曲がり方が普通じゃなかったらしくて、カメラがうまくはいらなかったんですよ。それで、途中で電話をかけて別のベテランの先生が呼ばれてね。そしたらその先生も、『これは珍しい』といって、今度はインターンの研修医を呼び集めたんですよ」
「実験台だね」
「で、若い研修医の見守る中で、ふつうなら30分以内で終わる検査が、2時間以上かかりました」
「……」
不安になって妻に電話をすると、韓国駐在時代の知り合いの奥さんから、ご主人が同じ検査を受けたときの話を聞き出してきた。
「検査そのものは大変じゃないけど、なんか屈辱的なかっこうをさせられて、精神的なダメージが大きかったって」
(屈辱的な姿勢…、精神的ダメージ…)
いよいよ不安が募ります。
腸内をきれいにするため、2日前から禁酒などの食事制限と下剤の服用。前日の夕食は流動食のみ。当日の朝食は抜き。
病院に行ってから、やはり下剤の一種なんでしょう、大量の液体を時間をかけて飲まされます。排泄物がほぼ透明になるまで約1時間。そこから順番待ちでさらに1時間。
検査直前に、検査服に着替えます。ガウンに、下半身は後ろ側にスリットのある特別なパンツ。
横向きの体勢で、肛門に麻酔薬の入ったゼリーを塗った後、内視鏡を挿入していきます。
ベッドの横に大きなモニター画面があって、内視鏡の画像が映し出され、私も見ることができます。
まず腸の中に空気を入れます。
「直腸は、狭い所に押し込められていますから、曲がりくねっているんですね。ここが最初の曲がり角です」
先生が内視鏡を操作しながら、解説してくれます。
「では、仰向きになってください」
言われるがまま、仰向きになって立てひざをします。「屈辱的な姿勢」とか言われていたので、うつ伏せになってお尻だけ突き出すのかと思っていましたが、そうではありません。
「いったん、いちばん奥まで進んでから、戻りながら詳しく診ていきますね」
大腸内の様子は、食道や胃と似ていますが、腸のほうが襞が多くて、「洞窟探検」のイメージが強い。
「ここがいちばん奥です」
少しお腹が張る感じはありますが、痛みはない。呼吸が苦しい胃カメラよりずっと楽です。
「もうちょっとで終わりですよ」
もともと便の潜血反応が今回の検査のきっかけ。血は、持病の痔疾が原因だったのでしょう。
「あっ、いちばん手前のところにポリープがありますね」
(!!!)
「取ってしまいましょう」
検査前、ポリープが見つかった場合はその場で切除手術を行うことの同意書にサインしていましたから、異議はありません。
「はい、お願いします」
手術の様子もすべてモニターで生中継されます。
「電気で焼き切ります。痛みはないです」
内視鏡にどんな仕掛けがあるのか知りませんが、腸内の撮影だけでなく、切除・縫合手術までできるような機能があるようです。
ポリープはあっというまに切り取られ、そのあとはホチキスのようなもので傷口を塞ぎます。
「はい、これで終了です。ご苦労様でした」
切り取ったポリープを見せてもらいましたが、思ったより大きい。あずき大の大きさです。
「見つかってよかったです。放置しておくと癌化する可能性がありますから」
もちろん、ポリープの生検(生体検査、組織診断)が終わるまで安心はできませんが。
結局、事前に聞いていた話とちがって、研修医の見世物にされることもな く、精神的なダメージを受けることもありませんでした。
コロナが落ち着いたら、また東京で食べ歩きをしましょう!
その日のうちにその写真を見せてもらって院長先生から解説してもらいました。
下剤を飲むのがちょっと苦しかったけど、検査後には近所のすし屋のランチ券を貰ったので、駐在中はそこで検査を受けました。