韓国語は日本語以上にコンテキストへの依存度が高い言語ではないか、
という問題提起を、コメント欄でいただきました。
日本語はしばしば、コンテキスト(文脈)への依存度が高いと言われます。それは、特に会話で、省略が多いこと。
日本語の文で必須成分は述語のみ。主語や目的語はなくてもいいので、場面や文脈から類推可能な場合は省略される。また会話では、文の成分を決める「助詞」もしばしば省略される。
「今日、会社、行くの?」
「行くよ」
これは韓国語でもまったく同じです。
「オヌル フェーサ カヨ?」
「カヨ」
日本語と韓国語は、文法が完璧に同じなので、省略のしかたもそっくりです。
文法以外に、関係しそうなものは、同音異義語でしょう。
日本語と韓国語では、どちらが同音異義語が多いか。
これは、まず音節の数に関係があると思われます。音節の種類が少なければそれだけ同音異義語が多くなる確率が高い。
で、日本語と韓国語の音節数はというと、日本語は子音と母音の種類が少ないうえに子音で終わる音節もないので、音節数が極端に少ない言語で、その総数は112種類(金田一春彦)。
一方韓国語は、正確なところはよくわからないけれど、たぶん2000以上。末子音があるからですね。それでも二重子音、三重子音のある英語の30000以上に比べれば少ないですが。
したがって、日本語のほうが音節数が少ないぶん、同音異義語が多いと考えられます。
でも、日本語にはアクセント(高低アクセント)があるので、話し言葉では同音異義語の区別ができます。たとえば、
橋と箸
東京アクセントでは、橋は第二音節が高く、箸は第一音節が高い。だから、
「ハシガ オチタ」
と言ったとき、アクセントで「橋が川に落ちた」のか「箸が床に落ちた」のか区別できる。
花と鼻の場合、アクセントが同じなので、単独では区別がつかない。
「タカイ ハナ」
と言ったとき、「値段の高い花」なのか、「外人のように高い鼻」なのかわからない。
しかし、
「ハナガ タカイ」
と言うとその違いが明らかになります。
なぜなら、「花が」の場合、助詞「が」は「はな」の「な」より一音低いのに、「鼻が」のときは「な」と「が」は同じ高さだからです。同様に、「橋」と「端」も区別できます。もちろん、区別できない同音異義語もたくさんありますが。
「ドジョウが汚染された」(土壌? 泥鰌?)
一方、韓国語には高低アクセントがない。
「タリガ プロジョッタ」
という文の場合、文章でも会話でも、「橋が折れた」のか「脚が折れた」のか区別がつきません。(タリは「橋」と「脚」の同音異義語)
このように、音節数からすれば日本語のほうが同音異義語が多く生まれる素地があり、アクセントの有無という面から言えば、韓国語のほうが同音異義語の区別が難しい(口頭で)ということになります。
結局、日本語と韓国語でどちらがコンテキストへの依存度が高いのか、という問題提起に対しては、「よくわからない」と答えるほかないのですが、オーシッポペッポ(五十歩百歩)じゃないかと。
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下記のサイトは結構笑えます。
http://www.dfnt.net/t/photo/your/gohenkan.shtml
想像ですが日本語は多分多いんでしょうね。
同じメロディーでも日本語は単語当たりの音節
数が多いので、英語などに比べて歌詞がのせにくいと聞いたことがります。
かたや、漢字があるおかげでツイッターの140
文字制限内では英語よりもはるかに表現できる
情報量が多いとも聞きます。
Slow down! Why some languages sound so fast?
http://www.time.com/time/health/article/0,8599,2091477,00.html
The more data-dense the average syllable was, the fewer of those syllables had to be spoken per second ― and thus the slower the speech. English, with a high information density of .91, was spoken at an average rate of 6.19 syllables per second. Mandarin, which topped the density list at .94, was the spoken slowpoke at 5.18 syllables per second. Spanish, with a low-density .63, ripped along at a syllable-per-second velocity of 7.82. The true speed demon of the group, however, was Japanese, which edged past Spanish at 7.84, thanks to its low density of .49. Despite those differences, at the end of, say, a minute of speech, all of the languages would have conveyed more or less identical amounts of information. Spaniards really do sprint and Chinese really do stroll, but they will tell you the same story in the same span of time.
日本語は音節数が多い分、音節ひとつ当りの情報量が少なく、時間当たりに口から発せられる音節数は多い。その真逆が中国語であり、音節当り(つまり漢字ひとつ当り)の情報量が圧倒的に多いが、時間当たりの音節数が少ない(つまりゆっくり話す)。結果、時間当たりに伝わる情報量は、日本語でも中国語でも似たり寄ったり、ということらしいです。
とはいえ、中国のニュースアナウンサーなどは相当のスピードで話しますので、時間当たりに伝わる情報量は日本のニュースよりもかなり多いだろうと思います。もっとも中国本土の場合、情報の質は保証の限りではありませんが。笑 確かに同じ内容の文章でも、中国語で書いた場合は実にコンパクトにまとまります。まあ、電報文のようなものですな。
全部は見きれなかったので、あとの楽しみにとっておきます。
日本語を中国語、英語、ポルトガル語に訳すと中国語は短く、英語は長く、ポルトガル語はもっとも長くなるようです。
Timeの情報、ありがとうございました。
後日、ゆっくり読みます。
コメントありがとうございました。
深く考えさせられるご指摘です。
具体例をすぐには思いつきませんが、確かに韓国人は上位概念というか抽象的な表現を好むような気がします。
抽象的な漢字語を使うとかっこいいという意識は、確実にあると思います。
「精神的な進歩が物質的な進歩に追いつけていない」という例は面白かったです。
はっきりとした結論を好むのは、韓国語で黒白論理と言われます。これも、激しい教理論争を続けてきた朱子学の伝統なのでしょう。