1月の最終週に、次女が結婚式を挙げました。
その夜、大阪の行きつけの飲み屋で、隣にいた顔見知りの常連さんとその話をしました。
「今日、娘の結婚式だったんですよ」
「そうですか! 東京でですか?」
「いえ、モルディブで」
「えっ? じゃあ出なかったんですか、結婚式」
「ええ」
実は、娘は昨年の春に入籍し、もう一緒に住んでいるですが、事情があって結婚式も新婚旅行もおあずけになっていました。このたびやっと新婚旅行を兼ねて、現地で二人っきりの結婚式を挙げてきたのです。
「いいんですか? お父さんが出なくて」
「いろいろ事情があって…」
「僕だったら必ず出たいけどなあ」
彼の子供はまだ小学生です。結婚は当分先です。
「まあ、うちは数が多いから、次は必ず出ますよ」
次女夫婦は結婚式から帰ったあと、空港から埼玉のわが家により、一泊していきました。
現地で撮った数百枚の写真も見せてもらいました。
高級リゾートにしつらえられた結婚式場で、ウエディングドレスと白いタキシードに身を包んだ新郎新婦は、とても幸せそうでした。
実は私も新婚旅行はモルディブだったのです。当時、日本からのツアーは開拓期。今のように整った施設のリゾートではありませんでした。
コテージには、温水のシャワーはありませんでした。しかも、シャワーから出るのは真水ではなく、海水。海からそのまま海水を引き入れただけの代物だったのです。そのため、「海水でも泡立つ石鹸&シャンプー」を持参していったものでした(今もそんなものがあるんだろうか)。
レストランは島に一つだけ。食事時になると、ほら貝のような音が島じゅうに響きわたります。それを合図に、その島に宿泊している20人ぐらいがレストランに集まってきます。メニューは1種類。選ぶこともできず、出されたものを食べるだけです。素材もほとんど毎日カツオ。それが焼いてあったり、カレーになっていたり、味が変わるだけ。
夜、室内の壁を見ると、イモリだかヤモリだかが数匹、壁に張りついています。しかも、それが「キーキー」と鳴くのですね。日本で家の中にイモリを見つけたら悲鳴をあげるところですが、南国のコテージではそれが実に自然なので、まったく気になりませんでした。
当時、私は海といえば江ノ島、せいぜい八丈島ぐらいしか知らなかったので、モルディブの海のエメラルドグリーンと、珊瑚礁(まだエルニーニョにやられる前でした)、色とりどりの熱帯魚の群れは、夢のような世界でした。
そのすばらしさが忘れられず、韓国駐在中も、思い切って家族全員を連れてモルディブを再訪しました。当時、次女は小学校5年生。幼いながらに、モルディブの風景が目に焼きついたのでしょう。「新婚旅行はここだ」と幼心に決めたということです。
「これ、手紙」
「手紙?」
「あっちで書いたんだけど、日本に着くのに3週間かかるって言われたから、出さずに持ってきちゃった。あとで読んで」
そのときは何気なく受け取ったまま、読みませんでした。
次女夫婦が帰ったあと、翌日になって手紙を思い出し、読んでみました。
「パパ、ママへ
27年間、大切に育ててくれてありがとうございました」
で始まる手紙を読んで、思わず目頭が熱くなりました。
「…実家を離れて、あらためて家族の温かさと愛を知りました…」
「…パパとママが付けてくれた“Ami”の名前の通り、たくさんの友達ができて、毎日とっても幸せでした…」
「…今までありがとう。これからもよろしくね♡」
結婚式に出られなかったのは大変残念でしたけれども、結婚式に出ていたら味わったであろう感動を、手紙を読んで感じることができました。
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手紙っていいですね、、、
俺は毎年の母の日に、年度だけをすりかえたようなやつしかもらってないな、、、
おめでとうございます。
指摘は10個所ぐらいにとどめておいてください。
>母の日
もしかしてオボイナル(親の日)?
축하해주셔서 감사합니다.
今年の夏には岩手で長女の結婚式がありそうです。
私のコメントには数知れない誤りが予想されます
ご指摘は月三回ほどにとどめてください
ご多忙でしょうから、、、