今回の出張で宿泊するホテルは、必ずしも事務所からいちばん近いホテルではない。なぜ、遠いホテルに泊まるかというと、喫煙ルームがあるからです。新しくできるホテルには全館禁煙が多く、私のような喫煙者にとって困りものです。
「お客様は喫煙ルームのご予約ですね」
「はい、そうです」
「あいにく喫煙ルームは一杯で、こちらのお部屋は禁煙なのですけれども、たばこを吸うときは窓を開けて吸ってください」
「はあ…」
「はい、これ、灰皿」
「…」
ところが、部屋に行ってみると、窓ははめ殺しで開閉ができないタイプ。問い合わせるのも面倒くさいので、そのまま普通に喫煙しました。
このホテルで喫煙ルームと禁煙ルームの違いは、たんに灰皿の有無だけのようです。
チェックインを済ませた後、同僚は買い物があるというので別行動。私は現地駐在員と待ち合わせて夕食を共にすることに。
「すいません。ちょっと書店につきあってもらっていいですか」
「ええ、もちろん」
地下鉄鍾閣駅と地下通路でつながっている「パンディエンルニス」という大型書店に行きました。
「パンディ」は韓国語で蛍、「エン」ば英語のアンド、「ルニス」はラテン語(?)で月。「蛍雪」という故事成語にちなんだもののようです。
書店に入ってすぐのところに検索システムの端末があったので、画面の説明にしたがって入力。たちどころに『帝国の慰安婦』が見つかりました。書棚の番号を印刷し、次に「妓生」というキーワードで検索。
ズラリと出てきましたが、本の内容解説をみると、どうもおかしい。実は、ヒットした本の大部分は「妓生(キセン)」と同音異義語の「寄生」でひっかかった、寄生虫に関する本だったのでした。わずかに妓生関連の本もありましたが、すべて品切れだったので、こちらのほうはあきらめることにしました。
『帝国の慰安婦』のほうは、指示された書棚に5冊並んでいました。たいていの本が棚に一冊ずつしか入っていないのに、5冊もあるということは、元慰安婦ハルモニの名誉棄損の裁判で注目されたためでしょう。
「お待たせしました」
「早かったですね」
「ええ、検索システムが優れものですから」
用事を済ませた後、夕食は事務所近くの「コムチャンオ(ぬたうなぎ)」の店へ。駐在員は、ソウルに来て10か月経ちますが、まだ食べたことがないとのこと。
ところが、会社近くの店は人気店でいつも長蛇の列。この日も、雨天にもかかわらず30分待ちだったので、私がいつも行く新村の店に向かいました。
二次会は、一人でも行けるバーを紹介してほしいという駐在員氏のリクエストで、その手の店の多かった漢南洞へ。
漢南五叉路からUNビレッジに行く道の左側に、3~4軒、手頃なバーが並んでいたはずなのです。ところが、私が知っていた店はすべてつぶれていました。まあ、5年以上経ってるんだから、仕方がないですね。
結局、昔はなかったカフェらしきところに入りました。カフェとは、やや年齢の高めの女性が数人いて、オープン形式の席で客の隣に坐る形式の飲み屋。カラオケはありません。カウンターバーよりは高く、個室のルームサロンよりずっと安い。
二人いた女性のうち、一人は大学で日本語をやったとかで片言の日本語をしゃべります。今、大阪に行っているママは、もっと日本語がうまいんだとか。
テーブルチャージが二人で5万、シーバスのミニボトルが15万、しめて20万(二人分)というのは、この手の店としてはやむをえない価格。
「ボトル、キープしときますから、明日も来てくださいね」
「ネー、トオルッケヨ(はい、また来ます)」
たぶん、行くことはないでしょう。
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