犬鍋のヨロマル漫談

ヨロマルとは韓国語で諸言語の意。日本語、韓国語、英語、ロシア語などの言葉と酒・食・歴史にまつわるエッセー。

残念な店じまい

2015-07-26 23:34:07 | 飲む

 北新地の穴場のカウンターバーについて、これまでも何回か取り上げたことがあります。

 ある日、そこのママさんからラインが入りました。

「突然ですが、今週でお店を閉めます! お時間があればお越しくださいますように」

 そこで、閉店の一日前に、会社の若いメンバーを連れて行ってきました。

「しばらく休むんですか」

「いえ、完全に閉めます。お店も人手に渡します」


 この店のシステムは、ボトルキープをしない場合、ハウスボトル(といっても日本の高級ウイスキー)が飲み放題で、3500円。この界隈としては、格段に安いのですが、それにはわけがある。閉店が10時なのです。

 ママさん、お母さんの介護などの関係で、深夜にはなれない。電車で、自宅のある京都まで帰れる時間でお店は終わり。

 そのシステムで運営していたものの、「延長」を求める常連さんを断りきれず、深夜まで営業し、結局お店に寝泊まりするというケースが、週に2回、3回と重なるようになったんだとか。

「もう限界。最初は頑張ってたけど、家に帰ると寝るだけで、家が散らかり放題だし…。もう頑張らなくてもいいかなって」

「残念だなあ」


「祇園と新地って、どう違うんですか」


 最近の若者には珍しく酒好きな後輩が、真面目な質問をします。

「そうね、祇園は遊びのお客さんが多くて、新地は社交の場かしら」

 たしかに、ここのお店の常連さんのなかには、そうそうたる企業のお偉いさんとか、OBが多かった。飲み方も上品でした。

「今度は、京都でお食事でもしましょうよ。京都にはいらっしゃるんでしょう」

「ええ、週一回行きますけど」


「じゃ、連絡くださいね」


 10時過ぎに店を出て、お決まりのコースで兎我町のタイバー、最後は自宅近くのバーへとはしごして、家のベッドに入るまでの記憶は完全に途切れていました。


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