犬鍋のヨロマル漫談

ヨロマルとは韓国語で諸言語の意。日本語、韓国語、英語、ロシア語などの言葉と酒・食・歴史にまつわるエッセー。

浅草のポジャンマチャ

2024-12-21 23:24:57 | 飲む

 忘年会は夕方5時始まりでしたので、店を出たのは7時過ぎ。

「もう一軒行きましょうか?」

 店から地下鉄浅草駅に行く途中、韓国のポジャンマチャ(布張馬車、ビニールシートを張った屋台)を思わせる店が並んでいる通りがありました。

「まるで鍾路五街(チョンノオガ)だね!」

 たくさんあるのでどこにするか迷います。

 アジア系の若い女性が呼び込みをしている店に入りました。

「どこの出身ですか?」

「ベトナムです」

「ベトナム語でこんにちはって何て言うんですか」

「チャオチーです」

「チャオチー?」

「いえ、チャオチーです」

 どうも声調が違ったらしい。

「チャオチー」

「そうです。上手です」


 店に入ってから、別のアジア系女性従業員に使ってみました。

「チャオチー」

 ところが女性は無反応。

「ベトナム人じゃないんですか?」

「私は韓国です」

「なーんだ」


 客は私たち以外、ほとんどいなかったのが、私たちが席に座ってから、次々にやってきます。

「あら、私、いつもそうなのよ。私が入ると客がどんどん来るの」と韓国の友人。

「いや、実はぼくもそうなんです」と日本人の友人。

「それって、なんかあったよね。雨男・雨女みたいな」

「招き猫かな」

「二人いるから相乗効果ですね」

 一軒めでお腹がいっぱいだったので、つまみはもつ煮込みとポテサラ。

「このデンキブランって何?」

 韓国人女性がメニューを指さします。

「浅草の名物ですね」

「日本が貧しかったとき、ブランデーに見せかけて作ったって聞いたことがあります」

「人造酒かな。韓国焼酎みたいなもんでしょう」


 途中からデンキブランが回ってきて、何をしゃべったか記憶が定かではない。楽しかったことだけは覚えています。

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