犬鍋のヨロマル漫談

ヨロマルとは韓国語で諸言語の意。日本語、韓国語、英語、ロシア語などの言葉と酒・食・歴史にまつわるエッセー。

愛犬マルの死②

2022-12-18 23:50:10 | 犬のいる生活

写真:マルに似た犬(photoACより)

愛犬マルの死①

 実は私も子どもの頃、マルという名の犬を飼っていました。

 父が酔っぱらった勢いで、どこかの飲み屋からもらってきた雑種犬です。私が幼稚園の年長のときだったと思います。

 すでに名前がついていて、雌犬なのにマルでした。

 番犬として庭で飼っていましたが、かわいそうなことに、ある日、放し飼いにされていた近所の農家の雄犬(トミーという名の、やはり雑種犬だったことを今でも覚えています)がわが家の敷地に不法侵入してきて、犯されてしまったのです。

 私たち家族は交尾している現場を目撃し、長い竿でトミーを打ち据えたのですが、トミーは牙をむいて抵抗し、簡単には離れませんでした。

 子どもが生まれても困るので、数日後に犬猫病院に連れて行き、中絶&避妊手術をしました。

 この事件は、私にとっての最初の性教育になりました。

 トミーの飼い主からは、謝罪も賠償も得られませんでした。

 そのときの手術に問題があったのか、マルはその後、尿の出が悪く、膀胱炎でしばしば病院のお世話になりました。

 マルが死んだのは1975年。

 なぜ覚えているかというと、父が亡くなった年だからです。

 父は前年末に食道癌が見つかり、食道と胃の半分を摘出する手術を受けました。

 その後、二度目の開腹手術を受けますが、まさに手術の日にマルが死んだのです。

 家族は、「身代わりになってくれた」と言いましたが、開腹すると癌は父の全身に転移していることがわかり、何もせずにそのまま縫合したとのことでした。父はその年の年末に亡くなりました。

 マルは9歳。死因はフィラリアでした。最後の一年はフィラリア特有の咳をしていました。当時はまだ、フィラリア予防のワクチンも治療薬もなく、人間の癌同様、不治の病でした。

 死んだあと、遺骸は庭にあった大きな柿の木の根元に兄といっしょに穴を掘り、埋葬しました。

 当時は「樹木葬」というようなしゃれた名前はなかったと思います。

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 愛犬マルの死① | トップ | フランス vs. モロッコ »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

犬のいる生活」カテゴリの最新記事