犬鍋のヨロマル漫談

ヨロマルとは韓国語で諸言語の意。日本語、韓国語、英語、ロシア語などの言葉と酒・食・歴史にまつわるエッセー。

大人と小人の読み方

2024-07-10 22:17:26 | 言葉
写真:ディズニーランドの料金表


 私の住む飯能には、数年前、テーマパークがオープンしました。

 ムーミンバレーパークです。

 一度、オープンする前に行ったことがありますが、オープン後は、入場料が高いし、別にムーミンに興味がなかったので、ずっと行かずにいました。

 同居している三女家族が、週末、行くことにしたそうです。

「高いんじゃないの?」

「無料チケットをもらったんだよ」

「ラッキーだね。正規料金はいくらなの?」


 三女はスマホを見ながら、

「大人が3600円で、コビトが…」

コビト! それって差別用語じゃないの?」

「でもなんて読むの、小人? ショウジン?」

「それは…」


 辞書で調べてみると、衝撃の事実が明らかになりました。

「小人」はショウニンと読むんだそうです。さらに驚いたのは大人はオトナではなくてダイニン

しょうにん【小人】〔視覚語〕〔入浴料・入場料などで〕子ども。しょうじん。(⇔大人(だいにん))(『三省堂国語辞典』第8版)

 今まで、使ったことはおろか、聞いたこともありません。

 子どもの頃、電車の切符は自動販売機ではなくて窓口で買っていましたが、そのときに「だいにん2枚、しょうにん1枚」と言うのが正しかったのでしょうか? もし、そう言ったら、窓口の人は聞き直したのではないでしょうか? あらためて大声で言い直したら、(相手は専門家だから)たぶん通じたんでしょうけれど、(フフッ)と失笑したんではないでしょうか?

 それにしても、「視覚語」ってなんだ?

 しょうにんの項に、〔視覚語〕と書かれているのですね。このことばも聞いたことがありません。

 視覚語を同じ辞書で引いてみると…

しかくご【視覚語】〔この辞書の用語〕文字を記号的に使うだけで、ふつう発音しないことば。例、空・満〔=空車・満車〕☞付録 文法解説「名詞」

とあります。

 視覚語は、この辞書(三省堂国語辞典)でだけ使う特別な用語のようです。

 ☞に導かれて、巻末の文法解説も見てみました。

 名詞(の用法)の中には、文字を視覚的な記号として使うだけで、ふつう発音しないものがあります。駐車場には「空」〔=空車〕、「満」〔=満車〕という表示がありますが、「現在、空(くう)です」などとはあまり言いません。このように、ふつうは見るだけで発音しないことばを、この辞書では〔視覚語〕と表示します。

 なるほど。

 同じ辞書の第7版(2014年)を見てみると、「視覚語」は立項されておらず、この言葉が第8版(2022年)で新たに追加されたものであることがわかります。

 そのかわりに、第7版には、「視覚言語」という項があります。

しかくげんご【視覚言語】簡単な絵や図形などでしめされ、情報をつたえるはたらきをもつもの。右折禁止・便所のしるしなど。

 これは、内容的に「視覚語」とは別物ですね。第8版ではこの言葉は削除されました。理由はわかりません。

〈参考〉ムーミンバレーパーク通常料金
大人(中学生以上)3,600円、小人(4歳以上)2,200円、3歳以下無料

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