司馬遼太郎さんとは、『街道をゆく』 で 今も一緒に旅しています。
人気blogランキングへ ← クリックを御願いします!
ある港町のホテルでの対応です。
少し長いのですが、引用します。
『 ・・・ 「何という名前の店ですか」 「タクシーにきけばわかります」 ぴしゃりと言われた感じだったが、これは名答だったかもしれない。 とくに生産性主義からいえばこれほどの名答はないと思われる。 回答者からすればどうせ町の地理に暗い旅客に本屋の屋号まで教えてもむだで、タクシーにそういえば連れて行ってくれるわけであり、そのほうがはるかに能率的である。 能率こそ現代の宗教ではないか。 宗教である以上に、人類はこの能率という思想によってほろぶであろうほどに、日本の経営者たちを物狂いにさせているものであり、その意味ではこの問答は中世末期に定形化された山伏問答のように、神聖教養に則ったものではないかとさえ思える。』
『能率主義の教義では、私は人間ではない。 多分に抽象化された「客」という種別に属するものであり、たとえて言えばコンピューターの言語であらねばならない。』
『ところが、経営者からみれば私は「客」にすぎなくても、私自身は人間だと思っているところに、養鶏場のような方式がホテル経営にまるまる当てはまらないところなのである。』
この章は 1972年10月から翌年の5月にかけて 週刊朝日に連載されています。 40年以上前。 私が高校生の頃ですね。
時代を超えた卓見だと感じます。
ブログ ランキングに参加中です