『万人幸福の栞』 から。
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ちちのみの父に似たりと人が言ひし我まゆの毛も白くなりにき (僧 愚庵)
浅学というのは恐ろしいもので、この歌の 『ちちのみの』 ということばについて、何も考えずに、湯飲み茶碗のことかなぁ、と思っていました。
当然に、歌の意味など まったく判らないままでした。
これを、『万人幸福の栞・解説』 を読んで意味が解るまで、そのまま放っておいたのです。
なんとも、不熱心な会員であります。
さて。
『ちちのみの』 は、父の上につけて調子を整える枕詞なのです。 この歌の意味は、「父親とよく似ていると人からいわれて自分のこの眉の毛も、白くなったものだなあ、いよいよ、父に似てきたなあ」 というもので、父を切実にしのんでいるのです。
更に、作者について知らなければ、切実さを理解できません。 作者は、天田 愚庵 といい、15歳のときに維新の奥羽戦争に出陣して帰ってみると、父母、妹など離散して行方不明になっていました。 そこで親を捜して歩き回ったのです。
台湾の戦争に従軍し、東京や大阪に住んでも捜し続け、最後は京都で得度して、 明治三十七年、51歳で亡くなったのです。
愚庵は、一生 父母を捜し続けていたという、その生涯を知って初めて この歌の切実さを理解するのです。
この歌の前に 丸山創始者が書かれた文章は次の通りです。
『そうした中でも、最も大切な、わが命の根元は、両親である。 この事に思い至れば、親を尊敬し、大切にし、日夜孝養をつくすのは、親がえらいからではない、強いからではない。 世の中にただ一人の私の親であるからである。 私の命の根元であり、むしろ私自身の命である親だからである。』
ここまででも、充分に理解不足なのです。 加えて、この後の文章では、もっとひどい読み違えをしておりました。
『親が病気をするのは子が不孝だからである。』
これを、『不幸』 と読んでいたのだから、もはや “付ける薬が無い” 状態です。 ひどいものです。 本当に、親不孝です。
この箇所を読む度に、情けなくなるのです。
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