奥田さんたち、NPO法人北九州ホームレス支援機構が、ホームレス状態にある人々の支援を模索する際の 「ホームレスの捉え方」 です。
ホームレスが抱える第一の問題は、「物理的困窮」 です。 住居がないことが就職を妨げ、様々な社会的手続(年金や生活保護)を不可能にします。 食料・衣料・医療などの物理的困窮が、常に生命を脅かしています。 「宿無し」 は、物理的困窮を表します。 これら物理的な困窮を、「ハウスレス状態」 と言っています。 それでは、彼らは、なぜ 「ハウスレス」 ではなくて 「ホームレス」 と呼ばれるのでしょうか? それは、ホームレスという言葉が、単に 「宿無し」 を指す言葉ではないからです。
ここに、第二の問題があります。 それが、「ホーム」 を失ったという、「関係性の困窮」 です。 故郷や兄弟、友人との関係性を失った状況。 「関係性の喪失」 や 「無縁性」 がホームレス問題のもう一つの本質です。 よって、居宅を設置したからとて問題の解決にはならないのです。 それは、「ハウスレスの克服」 に過ぎません。 「関係の回復・無縁との闘い」 これがすなわち 「ホームレスの克服」 であるのです。
人は、住居を失っただけでホームレスになるわけではありません。 関係性が失われなければ。
一方、家や家族があっても、「関係性の困窮」 に陥っている人も多いのです。 中学生により襲撃されたホームレスの被害者の言葉。 『夜中の1時、2時になって町を自転車で徘徊している中学生は家があっても帰るところが無いこどもたちではないか。 親が居ても、誰からも心配されていない子どもたちではないか。 帰るところの無い奴の気持ち、わかるなあ』。 加害者と被害者。 絶望的な対立。 しかし、視点を変えると、彼らは 「ホームレス=関係性の喪失」 という同じ十字架を背負っている関係です。 ホームレスの問題の深刻さは、「自分を迎え入れてくれる人がいない」 や 「心配してくれる人がいない」、そして 「帰る場所がない」 というところにあるのです。
ホームレス問題を、そう捉えると 「ホームレス」 とは、公園や駅で寝ている人々に限った問題ではなくなるでしょう。 家庭崩壊、学級崩壊、地域社会の崩壊など既存の共同体や関係が崩壊する時代です。 中学生のホームレスがおり、サラリーマンや主婦のホームレスがおり、高齢者のホームレスがいる。 家には住んでいる(ハウスレスでは無い)が、ホームレスであるという人が、この社会には多く存在しているのです。
以上、同NPO発行の 「ホームレス支援ボランティア手帳」 から抜粋転記しました。
ホームレス問題、支援活動に関心のある方は、同NPOのホームページを御覧になってください。 何かを感じたら、先ず行動を起こしませんか?
http://www.h3.dion.ne.jp/~ettou/npo/top.htm
炊き出しをはじめ、多くのボランティアを募集しています。 現在、支援機構の活動資金の80%以上は、寄附によって成り立っているのです。 なお、認定NPO法人になっているので、寄附金は寄附者の税金控除の対象となります。
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