クリンの広場

たまっこくりんのおもいのたけ

雪の日に読む小説・18(『芙蓉の人』新田次郎)

2021-02-06 | 本と雑誌

雪は

恐ろしい災害や 

ひげき(悲劇)を 

もたらすものでは ありますが・・

 

その雪に 立ち向かっていき

「感動の吹雪

を おこした人たちが、います


 のなかいたる(野中到)

と、妻の千代子です。


 二人は、
明治時代に、初めて 

冬の富士山にのぼり

きしょうかんそく(気象観測)を行った、

実在の夫婦


その、

山岳史的・気しょう(象)学的

こうせき(功績)を つづった

『芙蓉の人』という伝記小説

を、

今日は 取り上げます


 作者は、新田次郎さんで、

クリンでも知っている、

有名な 山岳小説家 

(『八甲田山死の彷徨』や『劔岳<点の記>』とか、書いてる人です


 山登りけいけん(経験)・ゼロの、クリンが、

そんな「ガチな登山モノを 

読んだら、

部屋の中で そうなん(遭難)してしまう

不安に なったので、

 もっとソフトで、「夫婦愛」をテーマにしている

こちらを えらびました。


 さて、タイトルの
『芙蓉の人』

ですが、

これは、

夫を追って 冬の富士山にのぼった、

妻・千代子のことを 指します

 

 彼女が、「芙蓉峰(ふようほう)」と呼ばれた

富士山に いる間に 

つけていた日記が

『芙蓉日記』なので、

そこからの 引用だけど、、

 まだ、「封建社会」のしばりが

げんぜん(厳然)と のこっていた

明治時代

「女は、でしゃばらないで家にいろ

の 

声を

はねのけて 山へ向かった

この、美しくも・力強き妻を、

「快挙の、真の立役者と みなした作者が、

きわ(際)立たせる目的で

つけた 

タイトルのようです

 



<以下、内容のアウトラインです

 千代子の夫・いたる(野中到)

は、明治28年、

冬の富士山初登頂に成功した、すごい人

 

でも、

彼は アルピニストではなく、

「富士山に気象観測所を建てたい

と 考えた

在野の気象家で、

 天気予報が当たらないのは、高い空の気象がわからないからだ 富士山頂くらい高い所で観測すれば、予報は確実性を増す

 

そのためには、

(まず、民間人の自分が観測をやってのけて、国を動かそう

と 

立ち上がりました


でも、、

 まだ・だれも、富士山のてっぺんの

冬の寒さを 知らない時代・・

 

「一日12回、二時間おきの気象観測を、たった一人で一冬つづけるなんて無謀だわ いつ寝るのよ

心配した妻・千代子

が、

夫の手伝いをするため、山へ 向かうのです

千代子は

登山トレーニングや、「気象観測の勉強」も

していったので

よき助手と なるのですが・・・

 後半が 読ませどころ

なので、

あとは 読んでください

(夫婦の二人三脚は、新聞でも大きく取り上げられ、日本中を沸き立たせたそうです 日清戦争や三国干渉さえあった時代でしたが。)

 

 

今、

冬だから、

 晴れた日は、富士山が

とおくからでも

キレイに 見えます

 

そんな 富士山に、

「美しい」以外のエピソードを 求めたい日に・・


お読みになると、

よろしいかと 存じます

 

<おすすめ度:ラストシーンが泣けたので、星4つ弱

 

 

(次回「雪の日に読む小説」は、池澤夏樹の『星に降る雪』を、取り上げます

 

コメント (20)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする