樺太まで行ったついでに、「シベリアを舞台とした傑作」
を
取り上げます
『ラーゲリ(収容所)から来た遺書』(辺見じゅん)
です。
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お気づきの通り
「シベリア抑留」が テーマの小説です。ゴォォ…(大宅賞受賞作)
第二次世界大戦後、ソ連のホリョ(捕虜)になって
シベリアに 連れていかれた
それは、60万人もいた
と ききますが、
彼らが、向こうでどんな目にあっていたのか
を
教えてくれるのが、この本・・
内容的には、ズバリ・ひさん(悲惨)で
ちょう(超)寒い・・
何しろ、
9月から 雪がちらつきはじめる
「シベリア」が ぶたい(舞台)の、
おまけに「毛布一枚でがまんしろ」という、
収容所の年月
が
描かれているのです・・
強制連行、強制収容、
強制労働、
スターリン式矯正教育、
空腹と絶望、
黒パン一個をめぐる・いさかい、
同胞の裏切り、
そして、死、、
お話は、
「抑留」から かいほう(解放)された日本人が
帰国の途につくところから
始ま
そんなにかんたんに 帰れるわけがない
引きもどされる人も いたりして、、
(なんたる、この世の地獄か・・)
と、
かなしくなること・必定です。。
しかし この作品が「戦争ノンフィクション」
に とどまらないのは、
辛いからといって・読者に読むのをやめさせない
作者(辺見じゅんさん)の、
「構成力」
と、
ラーゲリの日本人に見える、「知的欲望の光」のため・・
小説の主人公は、もともと・学問のある人
で、
収容所でも「精神」を 殺さないため、
仲間に、
勉強会や句会を 呼びかけます
もちろん
ソ連のかんし(監視)を くぐり抜けての 集会ですし、
体は ヘトヘトに つかれてて
1分でも ねていたい・・
それでも
なつかしい・日本語を 思い出したくて、
みんな、ここに来ます。
句会に来れば、昔の「階級」も
今の現実も
しばし・どけて、
気持ちを 大切にすることができる、、
収容者の心は うるおったのでした。
そんな、アムール句会の人びとは、
果たして
「ダモイ(帰国)」できたのか
そこが キモなので、
それは、
読んで たしかめてください
クリンは、彼らの俳句を いくつか・ご紹介して、
この話を 終えます。
独房の秋を得たるは 蠅の友
小さきをば子供と思ふ 軒氷柱(のきつらら)
生くことは 悦びといふ木の芽見て
普請場に 燕大きく来りけり
【おすすめ度:いっぱい】
(次回「雪の日に読む小説」は、松本清張の『ゼロの焦点』を とりあげます)