前回からの続き
新劇場版のゼーレが言う人類補完計画が、
旧劇場版と同じ意味を持つのであれば、
人類が持つ原罪の贖罪を行い、
不完全な群体生物から完全な単体生物へと人工進化させる
ことである。
知恵(科学)の樹の実であるエヴァが、
生命の樹の実を手に入れれば神と等しい存在になる。
その生命の樹を守るために置かれたケルビムと火の剣、
即ち使徒。
生命の樹の実とはエヴァ初号機が
ゼルエルを捕食したことにより得たS2機関だと予想する。
この時点で初号機は既に神と等しい存在。
ただこの件についてはイレギュラーであり、
ゼーレ自体はそもそも初号機を神にする気はなかった。
ではゼーレの本来のシナリオでは、
どのように生命の木の実を得るつもりだったのだろうか?
いや、そもそもゼーレは生命の樹の実を手に入れるつもりは
なかったのではないだろうか?
使徒を全て倒すことによって現れる生命の樹に、
リリスを磔にし、ロンギヌスの槍で貫く。
それで贖罪は終わり。
あとはロンギヌスの槍でコアを突き刺されたリリスの
アンチATフィールドにより人類全てを生命の源に還元すれば、
ゼーレの人類補完計画は達するわけである。
そしてこれが、ヨリシロが初号機に変わったけど、
唯一リリスの分身たる初号機なら問題なかったわけだ。
これが旧劇場版で行われた人類補完計画である。
ただ神と等しくなったシンジがもう一度他人の存在を望んだため、
中途半端に終わってしまったのであるが。
疑問はいくつも残る。
リリスにコアが戻るには、
綾波レイがリリスに還らなければならず、
そこまでゼーレに予想できたのか、とか。
細部は自信ないけど、
だいたいこれが旧劇場版において起こった
人類補完計画だと考えています。
そして旧劇場版においては、
セカンド・インパクトと人類補完計画はほぼ同義。
アダムを胎児にまで還元しようとして、
ロンギヌスの槍で貫いたが、
その規模が予想よりも大きく、
特定のエリア全ての生命が還元され、
大規模な災害になってしまったのが、
セカンド・インパクトの真相ではないかと予想しているサイトがある。
(よく間近にいたミサトが助かったものである)。
そうなると、新劇場版では謎が出てくる。
初号機が覚醒することによって、
たやすくサード・インパクトが起こってしまう。
違うのか。
シンジとレイがくっつく事で、
サード・インパクトが起こったのか。
いや、でも破のラストにおいて、
冬月が「やはりあの2人で初号機の覚醒は成ったな」
と言ってるので、あくまでシンジとレイは初号機の覚醒に必要なファクターで、
サード・インパクトを起こしたのは、覚醒した初号機ではないのか?
初号機が覚醒すると、
なぜサード・インパクトが引き起こされてしまうのか?
活動限界を迎えたハズの初号機を、
シンジはレイへの執着心=リビドーで動かしたのだ。
これはエヴァが科学に頼らなくても動く、
つまり生命の実を得た証である。
知恵の実であるエヴァが生命の実を手に入れることによって、
神に等しい存在となることは先に述べた通りである。
そしてシンジがレイを救出する際に、
「世界が滅んでも綾波を助ける」というようなことを口走っている。
神となった初号機が世界と引き換えにレイを助けたのだ。
そしてサード・インパクトが起こる。
それをカヲルが恐らくロンギヌスの槍であろうものを使って、
初号機のコアを貫き中断させる。
ここで疑問が起こる。
その状態でロンギヌスの槍で初号機を貫けば、
旧劇場版のようにアンチATフィールドを発生させてしまい、
どのみちサード・インパクトを発生させてしまう。
ただ今回の破が旧劇場版と違うのは、
シンジのリビドーである。
旧劇場版でのシンジは死へ向かおうとする気持ちが非常に強い。
それが量産型によって発現された生命の樹へ磔になった際に、
シンジのデストルドー反応は形而下され、
その結果ロンギヌスの槍を月から呼び寄せ、
それに貫かれている。
そして初号機のアンチATフィールドにより、
全ての生命は黒き月に還元してゆくのである。
デストルドーの象徴であった旧作のエヴァ初号機。
リビドーの象徴である今作のエヴァ初号機。
そのリビドーがアンチATフィールドの発生を止めているのかも知れない。
今回はデストルドー(死)の象徴ともいえる旧初号機と、
リビドー(生)の象徴ともいえる新初号機の対決なのだろうか。
対決ってなに?
というところで、次回へつづく