…白い道にくっきり影が落ちている。
家の影。木の影。自分の影。
灯がなくてもずっと歩いて行ける。
月が太陽の光を反射しているなんて
信じられない。石や岩でできているのに、
どうしてあんなに明るく光を反射するの?
わたしの頭の中は天動説の世界で、
そこでは月もみずから輝くのです。
そしてたぶん月の表面はガラスのよう…。
近所に家もないし街灯もほとんどないので、
ふだんは夜になると真っ暗です。
住居と別棟のアトリエを行き来するだけでも
ライトは必需品。もうそれが普通と思っています。
「怖くないですか」って、以前はよく聞かれました。
…怖い? 何が? 誰も来ないよ?
夜更けてもくまなく明るい都会のほうが怖いと思う。
光源が多すぎてまともな影さえできない。
すみずみまで照らされていたたまれないモノたちは
いったいどこへ行くんだろう。