昨夜の雨はやんだけれど、霧が深い。
ポケと一緒にキデラさんの別荘までのぼっていくと、
のぼるにつれてどんどん霧が濃くなり、
見下ろすと、うちの緑色の屋根がぼうっとかすんでいる。
あちこちの木の枝に、くもの巣がたくさん、
それこそ何十も何百も銀色に光っている。
いつも透明なのに、一面に霧の粒がついて
その姿をあらわしてしまっている。
〈くもの巣は、草むらを通るとき耳にひっかかるから
好きじゃないが、ぜんぜんなかったら、
ちょっと寂しいかもしれない〉
秋のこの時期、くもの巣は一番大きく、数も多くなり、
いたるところに結界が張りめぐらされていて、
はらってもはらっても一晩で元に戻ってしまう。
歩くときはよほど気をつけないと。
トプは耳にひっかかると言うけれど、
ポケは足が短く、地面すれすれを歩いているので
たいていのくもの巣にはひっかからずうらやましい。
どうしてもよけて通れない場合、網の真ん中には触らないで、
支えの糸を片側3本くらいはずして網をたたみ、
ちょっとごめんよ、と言って通らせてもらう。
気がつかずうっかりひっかかってしまったときは、
帽子のつばにあたった瞬間にわかるから、あわてず
「スロー巻き戻し」のようにそーっと後ろに下がる。
というふうに、くもの巣の扱いはすっかりうまくなりました。
タデ、ミゾソバ、ホトトギス(鳥ではなく植物のほう)、
ミズヒキ、ノコンギク(ヨメナかな?)、ツユクサ、
アキノタムラソウ、ツリフネソウ、ナギナタコウジュ。
秋の野の花の色が濡れて濃い。