…そういうものがあったのですよ。昔。
(もしかしたら今でもあるのかな?)
小学6年くらいのとき。クリスマスにもらった日記帳。
厚い表紙は白地に銀の箔押しで。ちっちゃい鍵が秘密っぽくて。
花言葉とか誕生石とか名言格言のたぐいが
ところどころに印刷されていたような気もします。
はりきって元旦から書き始め…数ページで書けなくなりました。
引き出しの奥深くしまいこんで、何年も何年もたってから、
鍵をかけたまま、こっそり捨てました。
古い鍵ばかりじゃらじゃら入った小箱を持っています。
その中で一番小さい錆びた鍵、
あの日記帳のではないかしら。
もしもあの頃のわたしに出会ったら、
きっと無口で無愛想で可愛くない子だろうけど、
黙って頭をなでてあげよう。
よしよし。
鍵をかけなきゃいけないようなことなんて
もう書かなくていいんだよ。