虚無よ
らりるれろの
暗号を超えよ
虚無よ
脱衣所の風景を
描写せよ
虚無よ
雷鳴の向こうへ
欲望を照射せよ
花道を歩く
徒然なる僕の魂は
虚無である
虚無の下を歩く
僕の心もまた虚無である
今日、産む
虚無
真っ白な記憶を生み出せば
それは、つまりは虚無である
虚無の音楽を奏でよ
虚無こそすべて
楽観主義が汚れていって
虚無しか産 . . . 本文を読む
午前2時の喫茶室は
海が遠い
カウンター以外は
静まり返って
茶色い染みを
僕は黙って拭いた
すべてを
忘れ去る前に
藍色のハンカチーフを
額に当てた
午前2時の喫茶室は
海が遠い
四角いテーブルを
囲んで談笑する若い女たち
ナフキンを
さっと抓みとって
茶色い液体が
グラスに注ぎ込まれるのを見ている
さりげなく
忘れゆくことばかりを
. . . 本文を読む
あの頃の東京
地下
を思う
まだ不完全な頃の
あの東京の絵
高層ビルが
いくつも立ち並び
透明な欲望を
乱反射させてきた
1982年から
欲望の渦は
鳴門海峡をも凌ぐ
橋桁の下のトンネルを
ふたりの少女が通るとき
汗は水たまりとなって
都会のコンクリートを覆う
Hey! 東京、
頭狂 を引き起こす
苦しみも フレッシュ
巻き込む 頭脳
そして . . . 本文を読む
仕方ないよ
ドラムのキックが
耳に障ったって
彼女の涎は
そのドラムに垂れ落ち続けるのだから
夢とか
感情とか
そんな気にもしないでいいようなことを
音楽で
蹴散らせば
5時のサイレンが鳴って
成るように成るという思いが
胸を占める
. . . 本文を読む
何を語ろうとしても
すでに白紙には
有り余るほどの
言葉が埋もれていて
なんというか
言葉は腐葉土となって
土と一体化していて
僕のキレイな理想とは
あまりにかけ離れているというか
そこに落ちているような言葉の固まりを
手で掬って取るようなことばかりをしていて
見つけるまでの短い時間に
君との手を取り合った時間を思い出して
そんなアイソレーション的な
佇まい . . . 本文を読む
ちょっと可愛い君のこと
砂漠を歩き通したその後
ちょっと意識し始めたんだ
サンバの流れるレストランで
ゆらゆら漂う波見ゆ桟橋で
同時に咲う僕らの意思を
百円玉みたいにカラカラと交換して
狩猟を継続する類人猿みたいに
吠えながら明日を欲して
音信系みたいに
プッシュ式のダイヤルでデートの最中でも
交信して
見えてきた宇宙のステージに
息をする僕らは
共に踊って . . . 本文を読む
関東大震災≒カント大天才
今、津波のように押し寄せる言葉の襲来に筆者の足は震え、手はおののき、頭蓋は揺れている。われわれにとって震災を語ることとは、一体どういうことなのか? それについて語ろうとする度、何度も上に書いたように津波のようなものが筆者の脳内に押し寄せるのが分かる。しかしながら筆者は、かの震災における被災者であると同時に、もしかすると被災者ではないという意識に捕われることもある . . . 本文を読む