異人南蛮船が描かれた伊万里大皿です。
染付で皿全面が埋められ、ところどころに、赤と薄緑で彩色されています。
径 53.2㎝、高 10.3㎝、高台 33.0㎝。 明治初期。
裏面は、非常にあっさりしています。
唐草模様もこれ以上簡略化できないほど。
この大皿の売りは、何といっても南蛮船(黒船)です。
いろんな装飾がなされた南蛮船です。
船の向こう側に、島並や他の船のマストが見えているのでしょうか。
キセルをくわえた異人が、デッキに一人。
青海波の海に浮かぶ船体の模様は、どこか和様の雰囲気があります。
もう一つの特徴は、『明治元年文明開化』の文字です。
したがってこの大皿は、いわゆる文明開化もののひとつです。
ただ、多くの文明開化皿が鮮やかなベロ藍を用いているのに対して、この皿の染付は、従来の呉須を使用していて、文明開化皿の中でも、かなり早い時期の物であることがわかります。
ほぼ同手の品が、本に載っています。
この本では、皿の制作年代を推定しています。それによると、文明開化という言葉が一般的になったのは福沢諭吉の『西洋事情』が発行された慶応3年、ワグネルが洋呉須を用いたのが明治3年なので、慶応3年~明治3年に作られた伊万里大皿だとしています。
ですから、私の皿は、明治元年~3年にかけての品という事になります。(ベロ藍は高価だったので、明治3年以降も従来の呉須は使われていたと思いますが(^^;)。まあ、いずれにしても、明治初期の作られた伊万里焼大皿であることは間違いないでしょう。
それにしても、文明開化皿は重い!