瀬戸で焼かれた馬の目皿です。
日用品として大量に焼かれた民芸陶器の代表です。
見込みの外周いっぱいに、渦巻き文(通称、馬の目)が力強く描かれています。
径 35.2㎝、高 6.8㎝、高台径 16.9㎝。 江戸後期~明治。
皿の大きさに従って、馬の目の数は、5,6,7個と変わります。
27㎝ほどの馬の目皿(馬の目数、6個)が一番多く、それより大きい皿や小さい皿はグッと数が減ります。
馬の目皿は、36㎝位が最大と言われていますので、今回の馬の目皿はかなりの大皿といってよいでしょう。
裏側はなぜか真黒・・・・さては、偽物屋が時代付けをしたか、と頭に血が昇りました(この経験は、一度ならず(^^;) が、こすっても洗ってもとれません。よかった(^.^)
煮しめなどを盛った実用品ですから、がっちりとした造りです。ただ、同時期に作られた石皿に比べると、強さは劣ります。
縁には、ほとんどの皿で、このようなソゲがあります。偽物やごくまれにある未使用品は、このかぎりではありません(^^;
焼きが少し柔らかいのと石皿の縁にある頑丈なツバがないためです。そのため馬の目皿では、外周を鉄釉で塗りこめていますが、さほど効果はないようです。
これ以上単純な模様はないほどの品ですが、柳宗悦の言う陶工の無心の美が、馬の目皿の身上です。
毎日、馬の目模様を何百枚と描いているうちに、人の作為を越えた美がうまれるというのです。
確かに、素早い筆の走りからほとばしる躍動感は、真似ようとして真似できるものではありませんせん。ですから、真贋は簡単に見分けられます。
ただ、時に書き損じて、変な馬の目になったり、筆から鉄釉が見込みに落ちたり、ペケ印などをお遊びで入れたりしたイレギュラー馬の目皿は、珍品として、数倍~数十倍の値がつきます。こんな物をありがたがるコレクター心理とは、妙なものですね(^.^)
目跡も、きちんと7個+α?
馬の目と目跡しかない皿のどこがおもしろい?
中心からぐるぐると一気に描かれた目。何か奇っ怪な生き物がこちらを見つめているではありませんか。
目跡の方に視線を移し、じっと見つめれば、人のよさそうなお狐さん、それとも昔飼っていたポチの顔?(^.^)