信楽焼の壺です。
先回の伊賀壺と、購入した時期、場所も全く違いますが、二つの壷はよく似ています。
時計回りに、90度ずつ。
最大径 25.3cm、口径 10.4㎝、底径 13.6㎝、高 30.2㎝。室町ー江戸初。
肩には、圏線が一本引かれています。
赤褐色の表面全体に小さな長石が噴き出し、熔けています。星空を見ているかのようです。このような景色は、信楽壷の特徴です。
焼成中に、薪の灰が壷の肩に降って熔けてできたビードロの流れが印象的です。
これだけたっぷりと自然釉が掛かっていると、贋物の疑いが出てきます。というのも、無釉の物よりもずっと高く売れるので、その辺にいっぱい転がっている無釉の焼締壷に、柄杓で灰釉をかけて焼いた可能性があるのです。古伊万里徳利などの後絵と同じですね(^^;
この品は、自然釉に焦げが多くあり、十分に焼成されていることがわかります(ニ度窯の場合は、どうしても火度を加減する)。また、釉流れのない肩にもうっすらと灰が降っています。どうやら、この壷は、不審な操作がなされた物ではないと考えてよさそうです。
先回の伊賀壺と同じく、嵌めたように見える底です。
口元が欠けています。割れ目を見ると、かなり年月が経っていて、このままの形で長く使われていたことがわかります。
先回の伊賀壺と並べてみると、あまりによく似ていることに驚きます。
口の割れ方も同じ。こうやって見ると、口元の割れは人為的作られたと考えるのがよさそうです。当時、新品の壷の口を割って使った・・・穀物や水を入れて使うのに、その方が便利だったのだと思います。
両方とも、胴の中央やや下あたりで、段継ぎになっているようです。
伊賀と信楽、忍者だけでなく、壷も兄弟(^.^)