これまで、中国の堆朱を紹介してきましたが、今回は日本の堆朱です。
18.0㎝ x 24.4㎝、高 5.5㎝。戦前ー現代。
全面に堆朱が施された文箱です。
彫りは、1-2㎜と浅いです。
内側と底は黒漆塗りです。内には、黒の板が入っています。
岩、牡丹、鳥が彫られています。
地にも細かな彫りがなされています。
黒漆塗りの部分には、木目が出ているので、木胎であることがわかります。
ところが、よく見ると、朱漆の部分にもかすかに木目らしき筋がみとめられます(電灯が写っている部分、縦に筋)。
これは、分厚い朱漆層を彫った本来の堆朱ではなく、彫りを施した木胎に朱漆を塗った物ですね(^^;
堆朱は、室町時代に中国から日本へ多くの品が渡ってきたと言われています。その後、日本では、一部の作家の品を除けば、木のボディに彫刻を施した物に朱漆を塗った倣堆朱が主に生産されました。村上堆朱や仙台堆朱です。鎌倉彫りもこの系統に入ると言えます。
今回の品はその一つ、おそらく村上堆朱(新潟県)ではないかと思われます。
それにしても良くできています。
予備知識がなければ、本物の堆朱で通ってしまいますね(^.^)