今回の品は、幕末―明治にかけて作られた薩摩焼の香炉です。
反対側:
横 14.5㎝、縦7.6㎝ 、口径 7.4㎝、底 7.2㎝、高 11.3㎝。幕末ー明治。
太鼓型の胴に五本の猫脚がついた香炉です。
白土の胎土に白化粧をし、その上に精細な絵付けがなされています。
武者合戦図と羅漢図が描かれています。
金で輪郭を描き、細部を色絵でビッシリと描きこんでいます。
反対側も精細図、多数の羅漢さんが描かれています。何かの一場面でしょうか、羅漢さんたちが、香炉を焚きながら掛軸を鑑賞しています。
両側の把手は、細かな龍の細工になっています(片方は、破損修理)。
この時代の薩摩焼は、精細な描写の絵付けとともに、細かな地模様が特徴的です。
今回の品では、青海波や幾何学模様が、色絵盛上げ技法で描かれています。多数の小さな点が、一つ一つ丁寧に色釉で打たれています。
今の我々の感覚からするとクドイですが、当時、このような日本の工芸品が、海外で人気を博しました。
この品は、ガラクタ類に目を向け始めた駆け出しの頃に入手した物です。右も左もわからないまま購入しました。結構なお値段でした。まだ、染付の良さはわからず、伊万里焼は敬遠、色絵の方がなじみやすかったからです。陶器と磁器の区別さえおぼつかないまま、外国人の眼で薩摩を眺めていたのかも知れませんね(^.^)