先回のブログで、竹製の盆を紹介しました。盆の表には、硬い竹を彫り込んで模様が施されていました。
ん!竹に細密彫り!? 例によって、どこかにあったかはずと、あちこちひっくり返して探し当てたのが今回の品です。
長径 5.4㎝、短径 4.1㎝、高 12.1㎝。明治―戦前。
竹製の筆筒です。漢詩と絵が彫られています。
文人が、怪石を見ながら文をしたためています。
上部には、小さな字で漢詩が彫られています。
文字の大きさは、横1.5㎜、縦2.0㎜ほどです。
拡大して見ると、鋭く彫られている事がわかります。筆がはねるところまで彫りで表されています。
文人の髪と耳。
髭と肩部。
微細でありながら鋭い彫りを、どうやって硬い竹に施すのでしょうか。
「月交閑人鉄筆」とあります。
このような彫りは、鉄筆彫とよばれ、篆刻用の小刀を用いて、竹や金属に細かな絵や文字を彫り込む技法です。九谷の細字陶磁器は有名ですが、今回の品は書いたのではなく彫ってあるので、極小文字を表すのはさらに難しいと思われます。
月交閑人なる人物の詳細は不明ですが、微細彫刻の技には驚かされます。