中国の煎茶碗5客です。
薄造りで小ぶりな茶碗です。
口径 6.8㎝、高台径 2.9㎝、高 4.3㎝。中国明末。
小さな高台ですが、内側は、放射状に削られています。すべての器に虫食いが見られ、中国明時代の品物の特徴を備えています。
くだけた筆致で奇妙な絵が描かれています。
この奇妙な怪人のようなものは一体何?
これは、魁星とよばれる中国の文房の神です。特に、科挙の神とされ、トップで合格した者を魁星とよぶようになりました。もともと魁星とは、北斗七星の先頭、魁の星をさします。さらに、4星、7星も加えて、柄杓(斗)形の北斗七星を表すようになりました。魁星の顔が醜く、恐ろしいのは、見かけで人の優秀さは計れないということを、人々に示すためだといわれています。
器には、3個の星の横で、右手に筆を持ち、
右足で斗(ます)を蹴り上げる鬼のような姿の魁星が描かれています。鬼に斗で、魁なのですね(^.^)
なお、科挙では五経を試験科目にしていたので、このような絵を五経図と呼ぶ場合もあります。
何が書かれているのかわかりません。五経にちなんだ文言かもしれません。
茶碗の縁には、典型的な虫食いがあります。他の古染付でも、爆発跡のような虫食いがリズミカルに見られることがしばしばあります。これまで、虫食いの原因をいろいろと考えてきましたが、この辺に手掛かりがありそうな気がしています。