今回は、三島唐津の大鉢です。
径 43.1㎝、高台径 14.8㎝、高 14.1㎝。江戸前期。
どっしりと、存在感のある大鉢です。無疵完品と言ってよい状態です。
唐津焼には日用品から茶道具まで、いろいろな物がありますが、今回の品は大型の雑器です。この様な物が、どうして無疵で伝わったのか、不思議な気がします。古くから大切にされてきたのでしょう。時代や大きさが似た物に、美濃の笠原織部鉢があります。笠原鉢は、ほとんどが発掘品、しかも疵だらけです。この差はどこから生じるのか、謎です(^.^)
この大鉢のウリは、何といってもびっしりと施された象嵌三島模様です。唐津焼のルーツは朝鮮半島にあります。ですから、白い象嵌模様が唐津焼に受けつがれるのは自然です。
器の表には、印花でびっしりと模様が施されています。半乾きの器体に小さな印を押して凹の模様をつくり、そこに白泥を入れ、上釉を掛けて焼成されたものです。
白象嵌模様がびっしりと表面を埋めているのですが、くどさやどぎつさは感じられません。全体に柔らかな印象です。和様化した三島手といえるのではないでしょうか。
上釉の掛けはずしも、アクセントを添えています。
鉢の中央には、重ね焼きの際にできた大きな目跡が8個ほどついています。一個の大きさが4-5㎝もあります。土塊を置いたのでしょうか。
裏面を見てみます。
釉薬は、上方、三分の一くらいまで、豪快に掛かっています。
がっちりとした高台が、器全体の安定感をもたらしています。
陶工の指跡が残っています。
この品は、巨大な桐箱におさめられていました。表には、「唐津焼大皿 花生用」とあります。
前所有者は、この大平鉢を花生けに使っていたのです。
それならということで、大剣山を据え、アヤメの葉ばかりを、70本生けました(花人、川瀬敏郎さんのマネ(^^;)。我ながら、お主できるな、の出来でした。来訪者は、床の間に出現したアヤメ林にビックリ。この唐津大平鉢は、重量級の生け花を可能にする力をもっているのですね。
ps。この大鉢に花(葉)を生けたのは、20年ほど前です。以来、一度も使っていません。その理由は、大作に挑むには、気力、体力が必要(^.^)
近ければ押しかけて強奪!!!
アヤメ70本素敵♡♡♡
葉っぱ!
発想素敵♡♡♡
ぜひとも見てみたかったです!!!
濃茶色の古びた丸い器に、緑鮮やかな葉たちがまっすぐ上へ伸びて、色と形が何とも言えない感じでした。
まあ、私が考え付いたのではなく、川瀬さんが活けたのをどこかで見た記憶を頼りいしてやってみました。要するに、パクリ(^^;
しかし、このように大きなものは、茶道具として作られたわけでもないでしょうし、花生として作られたわけでもなさそうですから、どうして無疵完品の状態で残ったのでしょうね、、? 不思議ですね。
でも、表面にはびっしりと象嵌三島模様が施されていますから、作るには手間もかかっていますので、高価でもあったでしょうし、何らかの特別な目的に作られ、大切にされてきたんですね(^_^)
もっとも、前所有者は「花生」として使っていたくらいですから、意外と、もともと、大名屋敷で「花生」として使用するために作られたのかもしれませんね。
そんなことを、あれこれ想像させてくれる、楽しい大平鉢ですね(^-^*)
追伸:私が昨日紹介しました「伊万里 染錦 三果文 鉢」へのコメントをありがとうございました(^-^*)
コメントに従い、「三果文」を「桃文」に訂正するように追記いたしました(^_^)
いろいろ想像をめぐらすことができる品です(^.^)
先日のDrの伊万里錦手鉢についての私のコメントで、正確でない部分がありました。再コメントしましたので、よろしくお願いします。
70本のあやめの葉の思いつきが素晴らしいです。
イメージしてもこの器とよく合いそうです。
写真はないのですか?
出来上がった後、水をギリギリまで入れました。湖に浮かぶアヤメ林が天空へ屹立しているようでした(大袈裟(^^;
残念ながら、写真を撮りませんでした。