先回は、馬の目の大皿を紹介しましたが、今回は、馬の目小皿です。
径 19.0㎝、高 3.5㎝、高台径 10.9㎝ 明治、大正頃
馬の目皿は、庶民の日用で使われた雑器中の雑器です。多量の皿が焼かれましたが、煮しめなどを盛るのに最適な大きさ(27㎝位)の物がほとんどです。
先回のブログで紹介しました、35~36㎝位の皿が最大です。これ以上大きくなると、使い勝手が悪くなるのでしょう。
では、小さい馬の目皿はどうでしょうか。標準の大さから小さくなるにつれ、その数は急速に減ります。逆に、お値段は上がってきます。稀少価値ですね(^.^)
そして、この業界の常、贋物が多くなります。
骨董市などでは、15㎝ほどのかわいい馬の目皿を売っています。でもこれはダメ。馬の目の書き方がたどたどしい。皿は薄造りで華奢、高台は無しか、ほんの義理で付けたもの。まるで銘々皿です。とても庶民の日用品ではありません。
一体どれ位が下限?
これは誰にもわかりません。
今回の品は、ずいぶん昔、偶然、行きつけの民芸品を得意とする骨董屋で見つけたものです。
『いくら?』・・・・・・・『えーっ、そんなにするの』
亭主曰く・・・・・・・・・『珍品だから』
コピー品にありがちなチビタ馬の目ではなく、筆が走っています。
裏側を見ても、そこそこの古格があります。高台のつくりもがっちりとした日用品・・・・・ま、ヨシとするか(^.^)
ん? 2つ前の写真、左の目跡らしきもの、向こう側が透けているような気がします。
裏からよく見ると、確かに穴があいています。しかも、慎重に開けられた丸い穴です。
テーブルの上に置いてみると・・・
おおー、あどけない少女の顔が浮かんでくるではありませんか(右方の目が開けられた穴)。
前の所有者がこれを狙って穴をあけたとすると、相当の変わり者、なんとなく親近感を感じますね(^^;)
骨董屋の親爺の言った珍品とは、馬の目皿の小ささではなく、この穴のことだったんでしょうか。
本当は大疵物なんでしょうが、皿も親爺も、あな(穴)どれません(^.^)
前回の大皿と比べてみると、親子以上、大きさが違います。
いっそ、合体してしまえば・・・・・・・・世にも稀なる二重馬の目大皿。
これで、大皿をもう一枚稼げました(^_^)
でも、これが本当に当時物なのか、確信をもてていないのが実状です(^^;
確かに、この馬の目皿の馬の目は、「チビタ馬の目ではなく、筆が走っています」ね。
保存状態も良く、やはり、滅多に出て来ない珍品ですね。
小さいのに、大皿に負けないほどの力強さを感じさせますものね。
その証拠に、大きな馬の目皿の中にこの小さな馬の目皿を入れても、全く違和感を感じさせませんものね。まるで、組皿のようですものね。
まあ、こういう品も、1、2個ならいいのではないでしょうか(笑)
穴は、本当に不思議です。紐を掛けるためなら、もう少し端の方にあけるでしょうし。
細かな白い粉がついているので、割れるのを防ぎながら、裏から慎重に開けていったのだと思います。
外人かもしれませんね。それにしても意図不明(^^;)
絶対数が少ないが故に贋作も多いとなると、このジャンルに明るくないワタシなどは
絶対に手を出してはいけないのかも知れません。
それにしても何故、穴があけられたんでしょうか?
まさか紐を通して飾ろうとしたなんてことはないでしょうし・・・
「遅生探偵のの冒険・謎の馬の目皿」という小説が書けるかも知れません。