前回の陶胎七宝ブログで、尺オーバーの大花瓶を紹介しました。
これに気をよくして、少しでも大きな陶胎七宝をと、品物探しを始めました。そして見つけたのが今回の品です。
最大径14.6㎝、口径11.8㎝、底径12.3㎝、高37.8㎝。重2.56㎏。明治。
大きく、重い陶胎七宝花瓶です。
胎土は、やはり薩摩系のクリーム色陶土。
様々な花柄模様が、泥七宝で施されています。
胴体中部には、薩摩系の彩色がなされています。
上部、口の内部には色釉で唐草のような模様が描かれています。
底には、伊万里焼風に蝶と花が描かれています。
90度ずつ回転します。
両側にある耳にも花が描かれ、本来の獣耳が牡丹耳になっています(^^;
さらに90度回して、最初の反対側:
窓の内、外には、様々な花。
地を埋めているのは、これまで紹介した陶胎七宝のハート形ではなく、渦巻き型の植線です。
さらに90度回転:
この品の見どころは、胴の窓の中に見られる様々な花や木でしょう。
大輪の朝顔。
藤の花。
松?の花?
ススキとトンボ。
梅の花。
桜の花。
葡萄。
コスモス?紅葉?
これでもかというくらいの花、さらに胴中部には派手な彩色。
とても日本人向けとは思えません。明らかに輸出品ですね。
こうやって並べてみると、今回の品がいかに巨大かがわかります。
陶胎七宝の限界に近い大きさか!?と、一人悦に入っていました。
しかしそこには、思わぬ落とし穴が!
・・・・・To be continued(^.^)
こんなに大きなものをどうやって作ったのかと思いました。
文様も、百花繚乱で、これを、こんなに大きなものに描く作業も大変ですよね!
ますますびっくりしていますが、「To be continued」ですか!
ただ、陶胎七宝の味わいは、品物が大きくなるにつれて、だんだん薄れていく気がします。
他のジャンルでもそうですが、大(きな)物に目がいくうちは、まだまだですね(^^;
並大抵ではないのはなんとなく判ります。
当時の職人さんは、「よっしゃ、俺が一番デカいのを作る」という思いがあったんでしょうか
それにしても、さすがに故玩館、凄い品が勢ぞろいしていますね。
ピカピカの七宝が作れるようになったのは、明治初期。それまでは青山邸の引手のような濁った泥七宝でした。
陶胎七宝は、この古いタイプの七宝で、ボディが陶器のため、大きい物を作るのが困難です。
それなら、というわけで大物探しに走った訳です😂