遅生の故玩館ブログ

中山道56番美江寺宿の古民家ミュージアム・故玩館(無料)です。徒然なる日々を、骨董、能楽、有機農業で語ります。

蛸壷花器

2023年01月26日 | 花道具

蛸壷を花器に転用した品が出てきました。

口径 13.3㎝、胴径(最大) 18.0㎝、底径 16.2㎝。江戸後期ー明治。

フジツボがびっしりと付いた蛸壷です。

土味からすると、常滑焼ですね。

壷の内外が輪状になっています。紐造りのように見えますが、とてもそんなに時代が遡る品とは思えません。手取りは、紐造り壷ほどずっしりとしていません。また、首の辺りはすっと轆轤で轢かれたようになっています。胴にある輪が積み重なったような部分は、装飾を兼ねた轆轤目でしょう。江戸後期には、備前にも、胴に強い轆轤目のある壷がよく見られます。

内側の底は、黒いタール状の物で水漏れを止めています。明らかに、花入れとして使っていたことがわかります。

この壷の最大の見どころは、ビッシリと付いたフジツボです。蛸壷花器は時々みかけますが、これだけフジツボ満開の品は珍しい。

手で持つと、痛い。

底面は、

まるで月面。

胴の部分は、

さしずめ太平洋。

これだけのフジツボさんに免じて、花活けの方はパスさせていただきます(^.^)


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8 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
遅生さんへ (Dr.K)
2023-01-26 16:00:52
こんなに綺麗にビッシリとフジツボが付着した蛸壺も珍しいですね(^-^*)
それに、花器に転用出来るような良い形をしていますよね(^-^*)
この蛸壺は、最後まで蛸壺だったものを花器に転用したものではなく、一度、海の底に沈んだものを、後日、拾い上げたものなのでしょうね。いわば、海揚がりですね。それだけに、作られてからの年数は経過しているのでしょうね。

紐造りのように見えますが、轆轤でひきあげているのですか。
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Dr.Kさんへ (遅生)
2023-01-26 18:42:26
誰が考えたのか知りませんが、蛸壷と花器、うまい組み合わせです。
そうですね、普通に蛸壷として使っていれば、こんなにフジツボが付くはずもないですよね。そういう点では、海上がりと考えたらいいでしょうか。海上がりは一つも持っていないので、よかったです(^.^)

物を見ると、すぐ良い方に解釈する癖がついてしまっています(反省^^; 紐づくりの壷の輪は、もっと太いですね。それに、ここまできれいな模様にはならないし。江戸後期の陶磁器にみられる、先祖帰りを狙ったものの一つでしょうか。
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Unknown (1948219suisen)
2023-01-27 12:37:07
これだけ見飽きない壺を他に知りません。人が技を凝らして作ったものにはない面白さがあるからです。藤壺様に最敬礼です。
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1948219suisenさんへ (遅生)
2023-01-27 14:22:42
壷は不思議な魅力をもっていますね。
外は丸く、ぐるっと見て楽しめます。内側は暗くて何かありそうな気配。
壷には宇宙がつまっていると言いますが、この壷なんかはそんな気分にさせてくれます。
ほんと、フジツボさんのおかげです(^.^)
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遅生さんへ (酒田の人)
2023-01-27 15:00:12
これぞ「海揚がり」ですね!
それにしても凄いフジツボの数ですね~
やはり銘は光源氏の初恋の人である藤壺の宮から「藤壺」でしょうか。
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酒田の人さんへ (遅生)
2023-01-27 15:31:22
この藤壺さまのすごいところは、びっしりとついた数もさることながら、そのうちの一個たりとも欠けたりしていないことです。重い壷を置いたり転がしたり、実用品ですからぞんざいに扱っているずなのですが、不思議です。
これぞ完品(^.^)
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1948219suisenさんへ(弐) (遅生)
2023-01-27 15:34:23
藤壺の銘、ありがとうございました。

これだけの数あっても、全く無疵のフジツボさんたちです。
藤壺と同様、べっぴんさんですね(^.^)
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Unknown (1948219suisen)
2023-01-28 00:57:07
この壺についたフジツボが全部、光源氏の愛した藤壺であれば、べっぴん揃いの美壺ということになりますね。😊

★藤壺のみつしりつきし蛸壺の藤壺あいす源氏のごとく
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