先回の銅花活けと非常によく似た品が出てきました。
径 12.2㎝、高 6.0㎝、重 1.1㎏。中国清朝?
三足の銅器です。先回の品より一回り小振りです。やはり、非常に重いです。
底に、「大明宣徳年製」の銘があります。このような銘は、陶磁器でおなじみの「大明成化年製」と同じように、一種のブランド銘として使われてきました。オリジナルは中国明の宣徳年間(1426-1435)鋳造の銅器、それを後世になって模したのです。
先回と今回の品、二種の銅器を較べてみます。
先回の品(右)が、少し赤みがかった艶のある茶褐色(宣徳色)であるのに対して、今回の品(左)は、少し黒みがかった茶褐色です。右の品のように、ピカピカした艶はありません。
現在、宣徳銅といえば、右のような品を指します。しかし、私たちが目にする宣徳銅のほとんどは、明治以降に日本で製作された物です。ひと昔前までは、どこの家にも、宣徳銅の火鉢がごろごろ転がっていました。これらの品は、真鍮に表面処理を行ったもので、今でも、宣徳色に美しく輝いています。しかし、中国製の宣徳銅が、600年の時を経て、どのような色調になっているか、私は本歌を見たことがないのでわかりません。すくなくとも、現在我々が目にする宣徳色でないことは、深い青色が当たり前だと思っている青銅器でさえ、当初は黄金色に輝いていたことからもうかがえるでしょう。
先回の品と較べると、今回の品では、年月を経た様子がうかがえます。明の時代の品は望めないかもしれませんが、中国では、清朝期にも「大明宣徳年製」銘の銅器が作られているので、その時代の品ではないかと思っています。
また、内側は荒れていて、花活け以外の物であった可能性が高いです。
先回の品は、周りに鍔状の縁が付いています。これは薄端花器ですね。縁に落ちた水が内側の溝に溜り、穴を通じて本体の花活け部分に戻るようになっています(下写真)。
一方、今回の品には、外向きの鍔はありません。
どうやら、これは香炉ですね。
品物が入っていた古箱には、「古銅火入型花器」とありますが、もともと香炉であった物を花器に転用したのだと思います。
花留めは、一方向にしか外せません。
古い香炉を花器に見立てた先人に敬意を表して、またまた松をいけました(ワンパターンもいいとこ(^^;)
時代をへた香炉のおかげで、様になりました。
松ばかりでは、あまりに芸がないので、
中国、宣徳帝もよろこんでくれるよう、
ニンニクスプラウト(ジャンボ)を入れてみました(^.^)
それにしましても、遅生様のお宅は宝物の宝庫でございますね。いつも見せていただきましてありがとうございます。
前回紹介の銅花活けに比べますと、いかにも古色蒼然としていますね。
私も、これは、香炉から花器に転用したものだろうと考えます。
いろんな物を香炉に転用しますが、香炉から花器に転用するという発想は浮かばないですよね。
「古い香炉を花器に見立てた先人」の発想に拍手です(^-^*)
「深い青色が当たり前だと思っている青銅器でさえ、当初は黄金色に輝いていた」のですね!
言われてみれば当然かなとも思いますが、何か、イメージが湧きませんね(~_~;)
正攻法ではアラが目立つので、クセ玉を投げるより外ありません。
ニンニクを活けて悦に入っているのは、私くらいでしょう(^^;
銅器は難しいですね。
昔、銅器に興味をもって品物を漁っていた時、例の骨董屋が、銅器はやめておけ、と言いました。理由を聞くと、飽きるのが早い、とのことでした。
今にして思えば、陶磁器、銅器、漆器・・・どれも、同じように飽きて次へ次へとなって現在に至っています(^^;
同好の士が増えてなによりです。
元祖、無煙香炉で実用新案をとりましょうか。
キャッチコピーは、
「嗅いでニンマリ、食べてニッコリ」(^.^)