この仮面も、産地などが不明だった物です。が、今回、何とか特定することができたので、ブログにアップします。
幅 19.4㎝x 長 27.5㎝ x 高 10.7㎝。重 388g。アフリカ・コンゴ民主共和国(旧ザイール)、レガ族。19世紀末ー20世紀初。
アフリカ中央部、コンゴ共和国東部に暮らす焼畑農耕民、レガ族の仮面です。
レガ族では、ブワミと呼ばれる秘密結社が社会の中核を成していて、そこでの儀式に仮面が使われます。
最大の特徴は、面表が大きく凹型に彫られていて、そこに白土が塗られていることです。その結果、ハート形の白い貌がうかびあがります。
仮面をはじめとして、アフリカの木彫で古い物は稀です。20世紀の品物がほとんどです。
今回の品は、故玩館所蔵のアフリカ木彫品の中で、一番古い物です。
使用に伴う擦れや疵とともに、木部自体の風化がすすんでいます。
眼と口は当然ですが、鼻の孔も開いています。
頬のペケ印は何でしょう。
黒褐色の塗料が塗られた上に、白化粧を施しています。
よく見ると、キラキラと光っています。
顕微拡大してみると、
銀色の薄い膜のような物がたくさん見られます。雲母か貝の内側の真珠層を混ぜたのでしょうか。
先々回のプヌ族仮面の白化粧と比較してみます。
白粉以外に、特別な物はみあたりません。
今回のレガ族仮面の方が、洗練されている白であることがわかります。
サルを擬人化したのかも知れませんね。
癒しの面です。
知識不足のhighdyには、解説がないとサッパリ判りません。今回の仮面シリーズも面白いですね。
仮面というものは、国内外、用途、シチュエーションを問わず見る人の想像力やその場の心の状態により、如何様にも柔軟に拡大解釈されます。
能面のようであっても、泣いて見えたり、笑って見えたりするのが不思議です。
仮装舞踏会などでは、人の見た目の「第一印象を除外する効果」があるように思えます。
ブログを書き始めて、あっそうか、と気がつくことが多くあります。
それを、さもはじめから分かっていたかのように展開するのが私のブログの楽屋裏です(^^;
アフリカには、よくぞここまで、というほど多彩な仮面があります。それだけ多くの部族があるのですね。そのほとんどは農耕民です。やはり、大地からの収穫と関係があるのでしょう。その点、日本と似ています。
一方で、漁労中心のオセアニア島嶼にもいろいろな面があります。
人の力ではどうにもならない事柄を仮面に託しているのでしょうから、世界中、仮面をもたない地域は無いのかも知れません。
白塗りのお面で表情がとてもいいですね!
顕微鏡でわかるレベルでの化粧もおもしろいです。
この柔和な感じが神様に見えました。
私の日本的な主観なだけでアフリカの人は違うことを思ってそうですが(^^)
さほど倍率は上がりませんが、古陶磁を調べるときでも、虫メガネよりは良く見えます。表面の状態や色の前後関係などを検討するときに役立ちます。何より、写真に残せます。
アフリカの人も我々も、感じ方にそう大きな違いはないと思います(推定で(^^;)
全然関係ありませんが、ニューギニアの部族の仮面を題材にした漫画で諸星大二郎という人が書いた
「マッドメン」という作品があるんですが、これは素晴らしい作品なので機会があればお読みください。
興味深いですね。絶対、読みます。
登場人物のなかに、メルボルン大学の女性研究者が出てくるらしいですね。
思い当たる人物を知っています。メルボルン大学にいた時、よく話をしました。女性の文化人類学者は少ないです。彼女のフィールドは、パプアニューギニア。電気、ガス、水道のない掘立小屋で過ごしたそうです。金色の顎ヒゲが忘れられません(^^;
その中でも、この面は古いほうに属するのですね。
いろんな面があるようですから、その時代判定や使用していた部族の特定も大変な作業になりますね。
よく分類されていますね(^_^)
日本ではあまり注目されないので、お値打ちに入手できます・・・いつのまにか、アフリカ面が溜まっていました(^^;
産地、時代なの不明の面コレクションの中で、アフリカ物はわずかに手掛かりがあるので、少しずつ解きほぐしています(^.^)