今回は少し大きな品です。
ガラスビーズでできた風鈴?です。
全長 108.5cm、直系 14.0cm。 明治。
丈夫な紐で、上から吊るす形式です。
ガラスビーズでできた王冠状の飾り部です。
針金に、種々のビーズが通され、作られています。一部、針金が切れて失われている部分もあります。
そこから、10本の糸が垂れています。古い糸なので、所々、切れて繋ぎなおしてあります(^^;
色々な大きさのビーズが使われています。
大玉;径18㎜、濃青
中玉;径6-9㎜、緑、白
小玉;径4㎜、桃
極小玉;径3㎜、青、白
一部は切れてなくなっています。最上部から大玉をまたいで、ビーズ糸が垂れていますが、一本だけでは不自然です。元々は何本かついていたのでしょうが、失われたと思われます。最初は、もっと豪華なつくりの品だったのでしょう。
針金が切れて、バラバラになっていた極小玉です。ややドーナッツ形です。
一番下に、紅葉と桜の金属板が取り付けられています。
シャラン、チーンと複雑な音色が響きます。
金属は、錫のようです。
動作や音は、風鈴に見えますが、これを風鈴と言ってよいのでしょうか。
少し、調べてみました。
江戸時代のガラス商、加賀屋の引き札に、似た品がありました。
右上端の品です。「風計」と書かれています。
王冠部は、私の品よりずっと豪華です。吊り下った金属板も形が違うようです。
加賀屋引き札、2版 (由水常雄「ガラス工芸歴史と技法」)
同じく、加賀屋の引札ですが、こちらは2版です。
最初の引き札とよく似ていますが、これには「風竿」と書かれています。やはり王冠部は豪華ですが、吊り下がった金属板が桜、紅葉に見えます。
注目されるのは、その左側に細長い形の小さな品が2つあり、「風鈴」と書かれています。いわゆる江戸風鈴ですね。
風鈴は、今回の品とは、異なる類の物であったことがわかります。
王冠の豪華さが薄れてはいますが、今回の品は、幕末期の興隆したガラス器の流れを引いて、明治期に造られた「風竿」といってよいでしょう。
当時の人々は、「風計」や「風竿」といった呼び名に、何か特別の意味をもたせていたのでしょうか。