遅生の故玩館ブログ

中山道56番美江寺宿の古民家ミュージアム・故玩館(無料)です。徒然なる日々を、骨董、能楽、有機農業で語ります。

ガラス13 金赤ランプ

2020年09月10日 | ガラス

金赤ガラスのランプです。

高 30.6㎝、底径 16.2㎝、笠長17㎝、径14.5㎝。 昭和30-40年代。

 

色が散っているので濃ピンクに見えますが、金赤ガラスです。金赤ガラス器は、赤紅色が凝縮したルビー色で、前に紹介した銅赤ガラスとはかなり色調が違います。

 

金赤の色とともに、ものすごい量の気泡が特徴的です。

このランプは、岩田工芸硝子(株)の工芸品で、アンティーク調ですが、それほど古い品ではありません。

ガラス中の気泡も均一で、古い時代の材質、製法によるものではなく、人為的なものです。

まだ、右も左もわからない駆け出しの頃、田舎の骨董屋で、雰囲気に惹かれて購入しました。が、今からすれば法外な値段でした(^^;

 

電燈をともせば、

 

まばゆく光輝きます。

 

岩田工芸ガラスランプの中古品は今でも入手可能です。

手軽にアンティークの雰囲気を楽しんでみるには良い品かもしれません(^.^)

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ガラス12 ワイングラス

2020年09月08日 | ガラス

透明なワイングラス3個です。

 

 

      径 7.2㎝ 、高 17.0㎝。  昭和40年代。

ボヘミアンガラスか和物かはわかりません。

実はこの品、結婚式の引き出物です。昔は、こんな物をいただける結婚式があったのですね。もちろん、それ相応のお祝いをもっていかねばなりませんが(^^;

 

上部にはグラヴィールで花柄が彫られ、下部は切子の幾何学模様がカットされています。

 

ステム(脚)は、切子の削り出しです。

 

底部にも切子カットが施されています。

 

透明ガラスは、写真を撮るのが難しいですね。

 

 

切子が施されるガラスは、クリスタルガラス、いわゆる鉛ガラスです。ガラスに、金属の鉛をいれてあるのです。鉛の比率は、25%にもなります。ですから、普通のソーダガラスに比べて比重が大きく、手で持つと、ずしっと重さを感じます。指先で弾けば、キーンという金属音が響きます。

切子に用いられる理由は、柔らかいことと美しいことです。柔らかく削りやすいクリスタルガラスは、切子カットにむいています。また、透明度、屈折率が高いので、美しい輝きのガラス製品を作ることができます。

 

ぶ厚い部分に、

角度を変えて光を当ててやると、

虹のような模様が表れます(わかりづらいですが、ステム部左のカット面)。プリズムと同じ原理です。キラキラ輝くシャンデリアでは、分厚いクリスタルガラスを多面体カットされた物が多く使われているので、もっとはっきりと虹模様が見られます。

 

さて、せっかくのワイングラスです。

いつものように、コロナ籠りのプチ贅沢。

 

さっそく、いただきましょう・・・・

とは、なりませんでした。

 

下戸ゲコの我が家には、消毒用と料理用以外のアルコール類は置いていないのです。

これは、梅酢(^^;

 

 

 

 

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ガラス11 グラヴィール果物鉢

2020年09月06日 | ガラス

緑色ガラスの果物鉢です。

 

  径、22.2㎝、高 6.8㎝、底径 17.0㎝。 戦前。

 

緑単色のガラスですが、模様が効いています。

 

内面はスベスベです。

模様は、すべて、器の外側に施されています。

外周の幾何学模様は、ガラスをカットしてあるのではなく、型でできています。

この品は、まず、型でガラス鉢をつくり、底面へ模様を彫ってあるのです。

底面は磨かれて透明です。

 

一旦磨いてから、メロン、桃、サクランボを彫っています。

表から模様を見るので、ガラス絵と同様、底面側は逆向きに彫ってあります。

 

かなり深い彫りです。

 

ガラスを彫るには、グラインダーを用いる方法(グラヴィール、グラインダー・カット)と金剛砂を吹き付ける方法(サンドブラスト)に大別されます。

深い彫りには、グラインダーが用いられれます。

切子は、大きなグラインダーを用いて、ガラスを削ります(グラインダー・カット)。

この品は、小さなグラインダーを用いた方法(グラヴィール)によって彫られています。切子が主に幾何学模様をカットするのに適しているのに対して、グラヴィールでは、繊細な曲線で写実的模様が彫れます。

メロン、桃、サクランボは非常に写実的で、周りの幾何学模様がそれを引き立てています。

 

光の具合によって、異なる貌が楽しめます。

 

せっかくですから、畑から瓜と小玉スイカを直行させました。

果物がない方が良かったかな(^^;

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ガラス10 氷コップ

2020年09月04日 | ガラス

今回は、アンティークの氷カップです。

    径 13.6㎝、高 5.3㎝。 昭和初期。

 

ガラスの氷カップ(コップ)は、大正ー昭和にかけて流行したガラス器です。色々な技法を活かして、多くの氷カップが作られました。金赤縁取り、ウランガラス、乳白暈しなどは、今でもコレクターに人気があります。

 

今回の青色乳白暈しのカップ、裏をみると歴然ですね。割れ、欠け、ヒビ有りの大疵物、というより、壊れたガラスです。

じろじろ眺めていたら、「それ、もういらないから」と骨董屋の親爺の一言。売り物にならない品でも、こちらにとっては勉強にうってつけの物。ありがたくいただいて帰りました。完品なら、伊万里皿くらいを払わねばなりませんから。

これまで、骨董屋から来た多くの品の中で、いただき物は、これとOccupied Japanの印判皿のみです。おまけにもらった品は多くありますが、それはもともと本来の品の代金の一部に組みこまれていた訳ですから(^^;

今にもバラバラになりそうなガラスをどうするか。ここは一つ、金継ぎで・・・・ところが、ガラスの金継ぎは至難の業なのです。素人にはほぼ無理。

さて、どうしたものか・・・・そうだ、継ぎ目を装飾してしまえばゴマカシがきく!

で、漆継ぎの跡を、大きく金箔で覆うことにしました。それだけではミエミエなので、継いでない所へも装飾の金箔を貼りました。大げさに言えば、デザイン化したわけです(^^;

高台の大きな欠けは、パテで補修。

こんな補修品でも、ほのかな光のもとでは、結構な雰囲気が。

 

 

地球外のどこかを眺めているような。

 

 

せっかく修理した氷カップです。

使ってやるのが孝行。

これで、今日もなんとか一息つけそうです(^.^)

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ガラス9 青色コンポート

2020年09月02日 | ガラス

9月に入っても、とんでもない暑さが続いています。台風が近づいているのに、当地はカンカン照り。今日も37℃の予報で、全くイヤになります。

こんな時は、すずし気なうつわで涼を感じとりましょう。

      径 21.9㎝、高 11.5㎝、底径 12.0㎝。 昭和(戦前)。

 

2色の青色ガラスが組み合わさった、シンプルなコンポートです。

 

内側は滑らか、外側はムラムラしています。ガラスが半透明に見えるのはそのためです。どういう技法でこのような風合いが出るのか私にはわかりません。

 

大中小の気泡も味をそえています。

 

一番の謎は、台(足)です。濃いブルーの台部に、薄青色の本体を差し込んであります。両方の色がミックスされて、接合部が緑がかった色になっています。

どうやって二つのガラスを合わせるのかわかりません。

 

謎解きは寒くなってからの楽しみにとっておきましょう。

光の具合で趣が変わります。

 

せっかくのコンポートですから、本来の使い方をしてみました。

私に絵心があれば、筆をとるのですが(^^;

コメント (8)
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