岐阜県で、6病院の産科施設を3病院に集約されることが決まったそうです。現状では、6病院の産科常勤医数はいずれも3人以下(1人~3人)で、集約化によって産科施設数は減るものの、残った産科では産科常勤医が増えるため、医師一人一人にかかる負担が軽くなり、緊急時にも多くの医師で対応できるので分娩のリスクが小さくなるメリットが期待できます。
****** 中日新聞、2007年10月4日
6病院の産科、3病院に集約 岐阜「お産難民」防止、年内にも
岐阜県の羽島市民病院(羽島市)、東海中央病院(各務原市)、白鳥病院(郡上市)の三つの病院の産科が、年内にも近隣の三病院に集約されることが分かった。
集約先はそれぞれ松波総合病院(笠松町)、中濃厚生病院(関市)、郡上市民病院(郡上市)。六つの病院では現在、常勤の産科医が羽島市民、白鳥、郡上市民の三病院が一人など、いずれも三人以下。常勤医の少ない産科の存在が、緊急時に対応できずに妊婦をたらい回しするなど全国的な「お産難民」問題の温床となっていることから、六病院すべてに産科医を派遣している岐阜大が中心となって打開案をとりまとめ、各病院が受け入れた。
集約化によって産科自体の数は減るものの、残った産科では常勤医が増えるため「お産難民」の発生防止につながる。また医師一人一人にかかる負担が軽くなることから、出産時の妊婦のリスクが小さくなるメリットが期待できるという。
三病院のうち、東海中央と羽島市民の両病院は周辺に開業医などが充実、近年は出産件数が減少傾向にある上、岐阜市民病院、県総合医療センター、岐阜大病院(いずれも岐阜市)など高度な医療に対応できる病院もあり、集約が可能と判断した。また郡上市の場合、人口規模などから公的産科サービスの提供は一カ所で可能とされた
集約後は羽島市民など三病院では出産ができなくなるが、婦人科医一人は常駐し、産前産後を含めた婦人科医療は継続する。
取りまとめの中心となった岐阜大大学院医学系研究科・医学部地域医療医学センターの今井篤志教授は「安全なお産を第一に考えた。全国的に問題となった妊婦の受け入れ拒否を発生させない母体搬送システムを確立する」と説明。
岐阜県地域医療対策協議会のメンバーを務める長良医療センター(岐阜市)の川鰭(かわばた)市郎産科医長は「不安を感じるかもしれないが、近隣地域により安全な出産場所が増えるのであればいい動き」と話している。
六病院のうち羽島市民と郡上市民は市、東海中央は公立学校共済組合、中濃厚生は岐阜県厚生連、白鳥は国保、松波総合は医療法人がそれぞれ運営している。
(中日新聞、2007年10月4日)