【問題001~問題010】
問題001 外陰病変で下床に腺癌を伴うことがあるのはどれか。
a)vulvar intraepithelial neoplasia (VIN)
b)Bowen様丘疹
c)Paget病
d)硬化性苔癬
e)悪性黒色腫
問題002 外陰癌で誤っているのはどれか。
a)60~70歳代の女性に頻度が高い。
b)角化型扁平上皮癌が大部分を占める。
c)最も頻度が高い部位は腟前庭である。
d)進行癌では鼠径リンパ節転移が多い。
e)Ⅰ期癌には手術療法が第一選択である。
問題003 Paget病で誤っているのはどれか。
a)外陰掻痒感や違和感を訴えることが多い。
b)スクリーニングに擦過細胞診が有用である。
c)術前評価では病巣周囲の多数の生検を行う。
d)手術では病巣辺縁から3 cm外周を皮切する。
e)約10%は間質浸潤を伴う浸潤Paget病である。
問題004 外陰癌のFIGO進行期分類(1994)で誤っているのはどれか。
a)外陰に限局し、最大径1 cmで間質浸潤の深さ3 mm以下であればⅠa期である。
b)会陰に限局し、最大径3 cmであればⅡ期である。
c)肛門への浸潤があればⅢ期である。
d)両側の鼠径リンパ節に転移があればⅣa期である。
e)骨盤リンパ節に転移があればⅣb期である。
問題005 外陰癌のリンパ行性転移で正しいのはどれか。
(1)片側に限局する2 cm未満の腫瘍では、対側の浅鼠径節への転移は少ない。
(2)原発腫瘍の大きさが2 cm未満であれば、リンパ節転移は5%以下である。
(3)Cloquet節は、浅鼠径節のうちで最も内側に存在するリンパ節である。
(4)リンパ節転移は、浅鼠径節、深部大腿節、骨盤節の順に進展することが多い。
(5)浅鼠径節に転移を認める場合、その20~25%で骨盤節への転移がある。
a(1)(2)(3)、b(1)(2)(5)、c(1)(4)(5)、d(2)(3)(4)、e(3)(4)(5)
問題006 外陰癌Ⅰa期の標準的治療はどれか。
a)レーザー蒸散
b)根治的外陰部分切除(radical local excision)
c)根治的外陰部分切除+患側鼠径リンパ節郭清
d)広汎外陰切除(radical vulvectomy)+両側鼠径リンパ節郭清
e)根治的放射線治療
問題007 腟癌で正しいのはどれか。
a)40歳代の女性に最も頻度が高い。
b)組織型では腺扁平上皮癌が最も多い。
c)発生部位では中1/3に最も頻度が高い。
d)下1/3に発生した癌は鼠径リンパ節に転移する。
e)Diethylstilbesterolを服用した女性に腺癌が発生する。
問題008 腟癌の臨床進行期(FIGO)で正しいのはどれか。
(1)腟壁に限局していればⅠ期である。
(2)傍組織に浸潤するが骨盤壁に達していないとⅡ期である。
(3)傍組織浸潤が骨盤壁に達しているとⅢ期である。
(4)外子宮口に達していればⅢ期である。
(5)膀胱に胞状浮腫があればⅣ期である。
a(1)(2)(3)、b(1)(2)(5)、c(1)(4)(5)、d(2)(3)(4)、e(3)(4)(5)
問題009 子宮頚癌のリスク因子でないのはどれか。
a)HPV
b)喫煙
c)初交年齢
d)アルコール
e)性パートナー数
問題010 頚癌検診における細胞採取で正しいのはどれか。
a)腟円蓋から細胞を採取する。
b)子宮腟部表面と頚管内から細胞を採取する。
c)妊娠中は偽陽性が多いので避けるほうがよい
d)スライドグラスへ塗布した後30分以内に固定する。
e)自己採取による癌検出率は通常の検診と同様である。
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解答例 (誤答の場合は御指摘ください)
問題001 外陰病変で下床に腺癌を伴うことがあるのはどれか。
a)vulvar intraepithelial neoplasia (VIN)
b)Bowen様丘疹
c)Paget病
d)硬化性苔癬
e)悪性黒色腫
解答:c
c)Paget病は通常は扁平上皮に限局する異型腺細胞からなる癌であるが、約10~20%の症例においてPaget病変下に腺癌を伴う(Fanning、1975)。
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問題002 外陰癌で誤っているのはどれか。
a)60~70歳代の女性に頻度が高い。
b)角化型扁平上皮癌が大部分を占める。
c)最も頻度が高い部位は腟前庭である。
d)進行癌では鼠径リンパ節転移が多い。
e)Ⅰ期癌には手術療法が第一選択である。
解答:c
c)外陰の扁平上皮癌の発生部位は、大陰唇および小陰唇(60%)、陰核(15%)、会陰(10%)である。症例の約10%では、病変が拡がり過ぎて発生部位を特定できない。症例の5%は多中心性である。(Berek & Novak's Gynecology 14th Ed, p.1553)
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問題003 Paget病で誤っているのはどれか。
a)外陰掻痒感や違和感を訴えることが多い。
b)スクリーニングに擦過細胞診が有用である。
c)術前評価では病巣周囲の多数の生検を行う。
d)手術では病巣辺縁から3 cm外周を皮切する。
e)約10%は間質浸潤を伴う浸潤Paget病である。
解答:e
臨床的には浸潤が疑われなくても、症例の約30%で病理組織学的に間質浸潤が認められる。(Atlas of Gynecologic Surgical Pathology, p32)
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問題004 外陰癌のFIGO進行期分類(1994)で誤っているのはどれか。
a)外陰に限局し、最大径1 cmで間質浸潤の深さ3 mm以下であればⅠa期である。
b)会陰に限局し、最大径3 cmであればⅡ期である。
c)肛門への浸潤があればⅢ期である。
d)両側の鼠径リンパ節に転移があればⅣa期である。
e)骨盤リンパ節に転移があればⅣb期である。
解答:a
a)Ⅰb期:外陰または会陰に限局した最大径2cm以下の腫瘍で、間質浸潤の深さが1mmを超えるもの。
【外陰癌のFIGO進行期分類】
0 期:上皮内癌
Ⅰ期:外陰または会陰に限局した最大径2cm以下の腫瘍。リンパ節転移はない。
Ⅰa期:外陰または会陰に限局した最大径2cm以下の腫瘍で、間質浸潤の深さが1mm以下のもの※。
Ⅰb期:外陰または会陰に限局した最大径2cm以下の腫瘍で、間質浸潤の深さが1mmを超えるもの。
※浸潤の深さは隣接した最も表層に近い真皮乳頭の上皮間質接合部から浸潤先端までの距離とする。
Ⅱ期:外陰および/または会陰のみに限局した最大径2cmを超える腫瘍。リンパ節転移はない。
Ⅲ期:腫瘍の大きさを問わず、
(1) 隣接する下部尿道および/または膣または肛門に進展するもの。
および/または
(2) 一側の所属リンパ節転移があるもの。
所属リンパ節:大腿リンパ節、鼠径リンパ節
Ⅳa期:腫瘍が次のいずれかに浸潤するもの:上部尿道、膀胱粘膜、直腸粘膜、骨盤骨、および/または、両側の所属リンパ節転移があるもの。
Ⅳb期:骨盤リンパ節を含むいずれかの部位に遠隔転移があるもの。
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問題005 外陰癌のリンパ行性転移で正しいのはどれか。
(1)片側に限局する2 cm未満の腫瘍では、対側の浅鼠径節への転移は少ない。
(2)原発腫瘍の大きさが2 cm未満であれば、リンパ節転移は5%以下である。
(3)Cloquet節は、浅鼠径節のうちで最も内側に存在するリンパ節である。
(4)リンパ節転移は、浅鼠径節、深部大腿節、骨盤節の順に進展することが多い。
(5)浅鼠径節に転移を認める場合、その20~25%で骨盤節への転移がある。
a(1)(2)(3)、b(1)(2)(5)、c(1)(4)(5)、d(2)(3)(4)、e(3)(4)(5)
解答:c
(2)腫瘍径<1.0cm リンパ節転移18.0%
腫瘍径 1~2cm リンパ節転移19.4%
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問題006 外陰癌Ⅰa期の標準的治療はどれか。
a)レーザー蒸散
b)根治的外陰部分切除(radical local excision)
c)根治的外陰部分切除+患側鼠径リンパ節郭清
d)広汎外陰切除(radical vulvectomy)+両側鼠径リンパ節郭清
e)根治的放射線治療
解答:b
Ⅰa 期では鼠径リンパ節転移はないと考えられ、最低1cm 以上病変から離れて切除する根治的外陰部分切除術のみでよいと考えられる。
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問題007 腟癌で正しいのはどれか。
a)40歳代の女性に最も頻度が高い。
b)組織型では腺扁平上皮癌が最も多い。
c)発生部位では中1/3に最も頻度が高い。
d)下1/3に発生した癌は鼠径リンパ節に転移する。
e)Diethylstilbesterolを服用した女性に腺癌が発生する。
解答:d
a)原発性腟癌の好発年齢は50~65歳で、平均年齢は約60歳である。
b)腟悪性腫瘍の組織型別頻度では扁平上皮癌が大多数を占めている。
c)好発部位は腟の上部1/3である。
d)所属リンパ節
腟の上部2/3の場合:骨盤リンパ節
腟の下部1/3の場合:鼠径リンパ節
e)欧米では、かつて切迫流産治療のためにDES (Diethylstilbesterol)が投与された妊婦から生まれた女児に、腟癌(明細胞癌)が好発し、大きな社会問題となった。
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問題008 腟癌の臨床進行期(FIGO)で正しいのはどれか。
(1)腟壁に限局していればⅠ期である。
(2)傍組織に浸潤するが骨盤壁に達していないとⅡ期である。
(3)傍組織浸潤が骨盤壁に達しているとⅢ期である。
(4)外子宮口に達していればⅢ期である。
(5)膀胱に胞状浮腫があればⅣ期である。
a(1)(2)(3)、b(1)(2)(5)、c(1)(4)(5)、d(2)(3)(4)、e(3)(4)(5)
解答:a
(4)腟病変が子宮腟部を侵しかつ外子宮口に及ぶものは子宮頸癌に、外陰を侵すものは外陰癌にそれぞれ分類される。
(5)Ⅳa期:膀胱、または直腸の粘膜に浸潤する腫瘍および/または小骨盤を超えて進展する腫瘍
注:胞状浮腫のみではⅣ期としない
腟癌の臨床進行期(FIGO)
0 上皮内癌(浸潤前癌)
Ⅰ 腟に限局する腫瘍
Ⅱ 腟傍組織に浸潤するが骨盤壁に進展しない腫瘍
Ⅲ 骨盤壁に進展する腫瘍
Ⅳa 膀胱、または直腸の粘膜に浸潤する腫瘍
および/または小骨盤を超えて進展する腫瘍
(注:胞状浮腫のみではⅣ期としない)
Ⅳb 遠隔転移
所属リンパ節
腟の上部2/3の場合:骨盤リンパ節
腟の下部1/3の場合:鼠径リンパ節
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問題009 子宮頚癌のリスク因子でないのはどれか。
a)HPV
b)喫煙
c)初交年齢
d)アルコール
e)性パートナー数
解答:d
子宮頸癌は、主に前癌病変である異形成から進行し発生すると考えられている。この前癌病変のリスクが、HPV感染、HIV感染、喫煙により高くなる事が報告されている。またこれらの感染は、複数のsex partnerをもつ者、partner が複数のsex partnerをもつ者、で多くなると考えられている。
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問題010 頚癌検診における細胞採取で正しいのはどれか。
a)腟円蓋から細胞を採取する。
b)子宮腟部表面と頚管内から細胞を採取する。
c)妊娠中は偽陽性が多いので避けるほうがよい
d)スライドグラスへ塗布した後30分以内に固定する。
e)自己採取による癌検出率は通常の検診と同様である
解答:b
子宮頸部の異形成、上皮内癌、微小浸潤癌の発生部位は扁平円柱上皮境界であり、当該部位の細胞が確実に採取されている場合には、標本上に外頸部由来の扁平上皮細胞と頸管内膜由来の円柱上皮細胞の両者が観察される(どちらか一方の細胞を欠く場合は、診断に不適当な標本と判定される)。