【問題041~問題050】
問題041 子宮体部の癌肉腫で誤っているのはどれか。
a)平滑筋肉腫よりも発生頻度が高い。
b)子宮腔にポリープ様に突出する。
c)癌成分の多くは腺癌である。
d)線維肉腫は異所性成分である。
e)転移や再発は癌成分が多い。
問題042 子宮平滑筋肉腫で誤っているのはどれか。
a)閉経前の発症が多い。
b)体部悪性腫瘍の約1%を占める。
c)子宮肉腫の約25%を占める。
d)出血・壊死を伴うことが多い。
e)核分裂像は>10個/10高倍視野のことが多い。
問題043 子宮平滑筋肉腫で誤っているのはどれか。
a)不正性器出血はきたすことは稀である。
b)閉経後の子宮増大は肉腫を疑う根拠となる。
c)内膜細胞診異常で発見されることは少ない。
d)血清LDH高値は診断に有用である。
e)MRIのT1強調像で高信号成分を認めることが多い。
問題044 子宮平滑筋肉腫の病理診断で重要な所見はどれか。
(1)細胞密度
(2)核異型
(3)核分裂像
(4)凝固壊死
(5)核小体数
a(1)(2)(3)、b(1)(2)(5)、c(1)(4)(5)、d(2)(3)(4)、e(3)(4)(5)
問題045 子宮内膜間質肉腫で正しいのはどれか。
(1)低悪性度子宮内膜間質肉腫と内膜間質結節との鑑別には子宮摘出を要する。
(2)低悪性度子宮内膜間質肉腫はしばしば脈管内へ侵入する。
(3)低悪性度子宮内膜間質肉腫は遠隔転移をきたさない。
(4)高悪性度子宮内膜間質肉腫の構成細胞は子宮内膜間質細胞に類似する。
(5)高悪性度子宮内膜間質肉腫は異所性成分を伴うことがある。
a(1)(2)、b(1)(5)、c(2)(3)、d(3)(4)、e(4)(5)
問題046 子宮内膜間質肉腫で正しいのはどれか。
a)骨盤内リンパ節転移は希である。
b)低悪性度であっても子宮を摘出すべきである。
c)低悪性度では卵巣はなるべく温存すべきである。
d)高悪性度では術後化学療法が予後を改善する。
e)高悪性度では黄体ホルモン療法が奏功する。
問題047 絨毛性疾患で正しいのはどれか。
a)全胞状奇胎の核型は常染色体のトリソミーが多い。
b)部分胞状奇胎は正常卵への2精子受精による3倍体が多い。
c)全胞状奇胎の発生は受精機構の異常による雌核発生である。
d)胞状奇胎妊娠の反復は30%程度にみられる。
e)絨毛癌では直前の妊娠が発生に関与する責任妊娠である。
問題048 絨毛性疾患で誤っているのはどれか。
a)肉眼的嚢胞化絨毛の診断規準は短径が2 mmを超える絨毛の存在である。
b)全胞状奇胎の組織像は絨毛間質の水腫化と栄養膜細胞の過剰増殖である。
c)妊娠中期の胞状奇胎に胎児が共存する場合は部分胞状奇胎と診断できる。
d)部分胞状奇胎に特徴的なscallopingは嚢胞化絨毛の辺縁が皺状の像をいう。
e)部分胞状奇胎では嚢胞化絨毛と正常絨毛の二群を認める。
問題049 胞状奇胎娩出後の管理に有用な検査はどれか。
(1)尿中hCG値測定
(2)胸部レントゲン撮影
(3)血中エストラジオール値測定
(4)骨盤CT
(5)基礎体温測定
a(1)(2)(3)、b(1)(2)(5)、c(1)(4)(5)、d(2)(3)(4)、e(3)(4)(5)
問題050 絨毛癌肺転移に対してまず行う治療はどれか。
a)胸部腫瘤の摘出術
b)胸部腫瘤と子宮の摘出術
c)MTX単独化学療法
d)TJ化学療法
e)EMA-CO化学療法
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解答例 (誤答の場合は御指摘ください)
問題041 子宮体部の癌肉腫で誤っているのはどれか。
a)平滑筋肉腫よりも発生頻度が高い。
b)子宮腔にポリープ様に突出する。
c)癌成分の多くは腺癌である。
d)線維肉腫は異所性成分である。
e)転移や再発は癌成分が多い。
解答:d
a)子宮肉腫は、主に子宮内膜間質肉腫、平滑筋肉腫、癌肉腫の3範疇に分類される。半数近くを癌肉腫が占め、ついで平滑筋肉腫、ときに子宮内膜間質肉腫が発生する。
c)上皮成分としては、類内膜腺癌が60%を占め、腺扁平上皮癌が25%で、漿液性腺癌が10%である。
d)肉腫成分は、同所性の場合は内膜間質肉腫、線維肉腫が多く、異所性の場合には横紋筋肉腫、軟骨肉腫、骨肉腫、脂肪肉腫の順で頻度が高い。
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問題042 子宮平滑筋肉腫で誤っているのはどれか。
a)閉経前の発症が多い。
b)体部悪性腫瘍の約1%を占める。
c)子宮肉腫の約25%を占める。
d)出血・壊死を伴うことが多い。
e)核分裂像は>10個/10高倍視野のことが多い。
解答:a
平滑筋肉腫は子宮悪性腫瘍のうちの1.3%を、また子宮肉腫の1/3を占める。平均発生年齢は52歳で、ほとんどが閉経後女性に発生している。
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問題043 子宮平滑筋肉腫で誤っているのはどれか。
a)不正性器出血はきたすことは稀である。
b)閉経後の子宮増大は肉腫を疑う根拠となる。
c)内膜細胞診異常で発見されることは少ない。
d)血清LDH高値は診断に有用である。
e)MRIのT1強調像で高信号成分を認めることが多い。
解答:a
d)LDH値(isozyme LDH2, 3)の上昇も参考となる。
e)MRIで出血(T1/T2像で高信号)や壊死(T1で低信号、T2で高信号)の検出が参考となる。
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問題044 子宮平滑筋肉腫の病理診断で重要な所見はどれか。
(1)細胞密度
(2)核異型
(3)核分裂像
(4)凝固壊死
(5)核小体数
a(1)(2)(3)、b(1)(2)(5)、c(1)(4)(5)、d(2)(3)(4)、e(3)(4)(5)
解答:d
典型的な場合は、高い細胞密度、著しい核の多形成、異型分裂像を含む高頻度(10高倍率視野で10以上)の核分裂像などがみられ、また腫瘍の凝固壊死や境界部の浸潤所見より平滑筋腫と区別される。診断には、細胞(核)異型、高頻度の核分裂像と栓塞性壊死が最も重要である。
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問題045 子宮内膜間質肉腫で正しいのはどれか。
(1)低悪性度子宮内膜間質肉腫と内膜間質結節との鑑別には子宮摘出を要する。
(2)低悪性度子宮内膜間質肉腫はしばしば脈管内へ侵入する。
(3)低悪性度子宮内膜間質肉腫は遠隔転移をきたさない。
(4)高悪性度子宮内膜間質肉腫の構成細胞は子宮内膜間質細胞に類似する。
(5)高悪性度子宮内膜間質肉腫は異所性成分を伴うことがある。
a(1)(2)、b(1)(5)、c(2)(3)、d(3)(4)、e(4)(5)
解答:a
低悪性度子宮内膜間質肉腫は、子宮内膜間質細胞に類似した細胞よりなる肉腫で、子宮筋層ことに脈管を侵襲し、ときに子宮外の脈管へ進展する。子宮内膜間質結節とは腫瘍境界部の特徴(脈管侵襲を示さない)で鑑別される。
高悪性度子宮内膜間質肉腫は、低悪性度子宮内膜間質肉腫と腫瘍境界部浸潤部は共通しているが、多くの分裂像(10高倍率視野で10以上)を伴った多形性の細胞よりなり、低分化で特徴ある組織像を示さない場合が多く、また異所性成分を含まない。
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問題046 子宮内膜間質肉腫で正しいのはどれか。
a)骨盤内リンパ節転移は希である。
b)低悪性度であっても子宮を摘出すべきである。
c)低悪性度では卵巣はなるべく温存すべきである。
d)高悪性度では術後化学療法が予後を改善する。
e)高悪性度では黄体ホルモン療法が奏功する。
解答:b
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問題047 絨毛性疾患で正しいのはどれか。
a)全胞状奇胎の核型は常染色体のトリソミーが多い。
b)部分胞状奇胎は正常卵への2精子受精による3倍体が多い。
c)全胞状奇胎の発生は受精機構の異常による雌核発生である。
d)胞状奇胎妊娠の反復は30%程度にみられる。
e)絨毛癌では直前の妊娠が発生に関与する責任妊娠である。
解答:b
全胞状奇胎は、核のない卵子(ゲノム欠損卵)に精子が受精することにより発症し、すべての対立遺伝子が夫由来となり(雄核発生)、受精精子の本数によりホモ奇胎(1精子受精)、ヘテロ奇胎(2精子受精)に分類される。ホモ奇胎が90%、ヘテロ奇胎が10%を占めるとされる。全奇胎の核型はほとんどが46,XXで、残りの少数が46,XYである。
部分胞状奇胎は、正常卵子に2精子受精した3倍体がほとんどで、まれに2倍体の母方由来染色体を持つ3倍体の場合もある。
胞状奇胎掻爬後の妊娠転帰に関してはさまざまな報告がなされているが、奇胎を反復する頻度が2%前後と高率である以外、流産率、早産率、胎児奇形については差を認めなかった。
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問題048 絨毛性疾患で誤っているのはどれか。
a)肉眼的嚢胞化絨毛の診断規準は短径が2 mmを超える絨毛の存在である。
b)全胞状奇胎の組織像は絨毛間質の水腫化と栄養膜細胞の過剰増殖である。
c)妊娠中期の胞状奇胎に胎児が共存する場合は部分胞状奇胎と診断できる。
d)部分胞状奇胎に特徴的なscallopingは嚢胞化絨毛の辺縁が皺状の像をいう。
e)部分胞状奇胎では嚢胞化絨毛と正常絨毛の二群を認める。
解答:c?
c)部分胞状奇胎と2卵性双胎妊娠の一方の児の奇胎化との鑑別が必要である。確定するには胎児、胎盤、奇胎、父母の細胞遺伝学的分析が必要である。
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問題049 胞状奇胎娩出後の管理に有用な検査はどれか。
(1)尿中hCG値測定
(2)胸部レントゲン撮影
(3)血中エストラジオール値測定
(4)骨盤CT
(5)基礎体温測定
a(1)(2)(3)、b(1)(2)(5)、c(1)(4)(5)、d(2)(3)(4)、e(3)(4)(5)
解答:b
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問題050 絨毛癌肺転移に対してまず行う治療はどれか。
a)胸部腫瘤の摘出術
b)胸部腫瘤と子宮の摘出術
c)MTX単独化学療法
d)TJ化学療法
e)EMA-CO化学療法
解答:e
絨毛癌では、MEA 療法(MTX、Act-D、Etoposide)、EMA/CO 療法(MTX、Act-D、Etoposide、Cyclophosphamide、Vincristine)などが行われている。