【問題011~問題020】
問題011 子宮頸部細胞診クラスⅣから推定される病変はどれか。
a)軽度異形成
b)中等度異形成
c)高度異形成
d)上皮内癌
e)微小浸潤癌
問題012 子宮頸部上皮内癌の細胞診所見で正しいのはどれか。
(1)平滑な核縁
(2)著しい核の大小不同
(3)出血壊死性の背景
(4)錯角化または異角化
(5)傍基底型の癌細胞
a(1)(2)、b(1)(5)、c(2)(3)、d(3)(4)、e(4)(5)
問題013 新コルポスコピー所見分類(日本婦人科腫瘍学会、2005)で正しいのはどれか。
a)ヨード塗布試験が必須である。
b)移行帯は異常所見に分類される。
c)白色上皮は軽度または高度にgradingする。
d)白斑は異常所見から除かれた。
e)HPV感染所見を特別に分類する。
問題014 子宮頸部にみられたポリープ状の病変である。組織診断はどれか。(図 1)
a)尖形コンジローマ
b)正常頚管腺上皮
c)微小頚管腺過形成
d)腺癌
e)扁平上皮癌
問題015 子宮頸部腫瘤の生検標本である。組織診断はどれか。(図 2)
a)内頸部型ポリープ
b)正常重曹扁平上皮
c)扁平上皮癌
d)腺癌
e)尖形コンジローマ
問題016 子宮頸部のヒトパピローマウイルス(HPV)感染で正しいのはどれか。
a)HPVは異形成の90%以上に検出される。
b)HPV感染の有無は血清抗体価で判定できる。
c)HPVの型分布は世界中でほぼ同じである。
d)ハイリスクHPVをもつ異形成の約90%が上皮内癌へ進展する。
e)HPVワクチンはタイプ非特異的に感染予防効果をもつ。
問題017 子宮頚癌発生におけるハイリスク型HPVはどれか。
a)11型
b)42型
c)43型
d)44型
e)52型
問題018 ヒトパピローマウイルス(HIV)で正しいのはどれか。
a)頚部扁平上皮癌で最も高頻度に検出されるHPVは52型である。
b)頚部腺癌で最も高頻度に検出されるHPVは18型である。
c)細胞診に異常のない女性でのHPV検出頻度は約50%である。
d)koilocytosisを示す細胞ではHPVは検出されない。
e)妊娠中にはHPVの増殖能(replication)が低下する。
問題019 子宮頸癌の臨床進行期分類(取り扱い規約、1997年)で正しいのはどれか。
a)進行期決定に迷う場合は重い方に分類する。
b)進行期の決定にはCT所見とMRI所見を参考にする。
c)術前診断0期で摘出子宮に微小浸潤癌があればⅠa期とする。
d)膀胱内洗浄液中に癌細胞があればⅣa期とする。
e)進行期決定に頚部円錐切除の病理所見は考慮しない。
問題020 子宮頚癌Ⅰa2期(取り扱い規約、1997年)で正しいのはどれか。
a)浸潤の深さ3 mmを超え5 mm以内で広がり10mmを超えない。
b)脈管侵襲が存在する場合にはⅠb1期に分類する。
c)癒合浸潤が存在する場合にはⅠb1期に分類する。
d)広がりの計測には微小浸潤巣の最大の幅を計測する。
e)深さの計測の基点は浸潤巣直上の最も深い表層基底膜とする。
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解答例 (誤答の場合は御指摘ください)
問題011 子宮頸部細胞診クラスⅣから推定される病変はどれか。
a)軽度異形成
b)中等度異形成
c)高度異形成
d)上皮内癌
e)微小浸潤癌
解答:d
日母クラス分類
Ⅰ: 正常である。
Ⅱ: 異常細胞を認めるが良性である。
Ⅲa: 軽度(~中等度)異形成を想定する。
Ⅲb: 高度異形成を想定する。
Ⅳ: 上皮内癌を想定する。
Ⅴ: 浸潤癌(微小浸潤癌も含む)を想定する。
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問題012 子宮頸部上皮内癌の細胞診所見で正しいのはどれか。
(1)平滑な核縁
(2)著しい核の大小不同
(3)出血壊死性の背景
(4)錯角化または異角化
(5)傍基底型の癌細胞
a(1)(2)、b(1)(5)、c(2)(3)、d(3)(4)、e(4)(5)
解答:b
上皮内癌細胞の形態的特長としては、細胞分化が少なく、主として傍基底型の異型細胞が集族性に出現する。細胞は、その分化程度の差により卵円形から紡錘形までの多彩な形態をとる。核クロマチンは増量し、粗大顆粒状を示す。N/C比は増大し、ときに裸核を見る。背景は清明である。
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問題013 新コルポスコピー所見分類(日本婦人科腫瘍学会、2005)で正しいのはどれか。
a)ヨード塗布試験が必須である。
b)移行帯は異常所見に分類される。
c)白色上皮は軽度または高度にgradingする。
d)白斑は異常所見から除かれた。
e)HPV感染所見を特別に分類する。
解答:c
b)移行帯は正常所見に分類される。
新コルポスコピー所見分類:日本婦人科腫瘍学会2005
A) 正常所見 NCF
1 扁平上皮 S
2 円柱上皮 C
3 移行帯 T
B) 異常所見 ACF
1 白色上皮 W
軽度所見 W1
高度所見 W2
腺口型(腺口所見が主体の場合) Go
軽度所見 Go1
高度所見 Go2
2 モザイク M
軽度所見 M1
高度所見 M2
3 赤点斑 P
軽度所見 P1
高度所見 P2
4 白斑 L
5 異型血管域 aV
C) 浸潤癌所見 IC
コルポスコピー浸潤癌所見 IC-a
肉眼浸潤癌所見 IC-b
D) 不適例 UCF
異常所見を随伴しない不適例 UCF-a
異常所見を随伴する UVF-b
E) その他の非癌所見 MF
1 コンジローマ Con
2 びらん Er
3 炎症 Inf
4 萎縮 Atr
5 ポリープ Po
6 潰瘍 Ul
7 その他 etc
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問題014 子宮頸部にみられたポリープ状の病変である。組織診断はどれか。(図 1)
a)尖形コンジローマ
b)正常頚管腺上皮
c)微小頚管腺過形成
d)腺癌
e)扁平上皮癌
解答:c
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問題015 子宮頸部腫瘤の生検標本である。組織診断はどれか。(図 2)
a)内頸部型ポリープ
b)正常重曹扁平上皮
c)扁平上皮癌
d)腺癌
e)尖形コンジローマ
解答:e
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問題016 子宮頸部のヒトパピローマウイルス(HPV)感染で正しいのはどれか。
a)HPVは異形成の90%以上に検出される。
b)HPV感染の有無は血清抗体価で判定できる。
c)HPVの型分布は世界中でほぼ同じである。
d)ハイリスクHPVをもつ異形成の約90%が上皮内癌へ進展する。
e)HPVワクチンはタイプ非特異的に感染予防効果をもつ。
解答:a
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問題017 子宮頚癌発生におけるハイリスク型HPVはどれか。
a)11型
b)42型
c)43型
d)44型
e)52型
解答:e
HPVは子宮頸癌発症との関連性が確認されている。16型、18型、31型、33型、35型、39型、45型、51型、52型、56型、58型、59型、68型などがハイリスク型である。
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問題018 ヒトパピローマウイルス(HIV)で正しいのはどれか。
a)頚部扁平上皮癌で最も高頻度に検出されるHPVは52型である。
b)頚部腺癌で最も高頻度に検出されるHPVは18型である。
c)細胞診に異常のない女性でのHPV検出頻度は約50%である。
d)koilocytosisを示す細胞ではHPVは検出されない。
e)妊娠中にはHPVの増殖能(replication)が低下する。
解答:b
a)頚部扁平上皮癌では16型が最も高頻度である。
c)若年者には、HPV感染は30%前後で、50歳以降では5 %程度である。
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問題019 子宮頸癌の臨床進行期分類(取り扱い規約、1997年)で正しいのはどれか。
a)進行期決定に迷う場合は重い方に分類する。
b)進行期の決定にはCT所見とMRI所見を参考にする。
c)術前診断0期で摘出子宮に微小浸潤癌があればⅠa期とする。
d)膀胱内洗浄液中に癌細胞があればⅣa期とする。
e)進行期決定に頚部円錐切除の病理所見は考慮しない。
解答:c
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問題020 子宮頚癌Ⅰa2期(取り扱い規約、1997年)で正しいのはどれか。
a)浸潤の深さ3 mmを超え5 mm以内で広がり10mmを超えない。
b)脈管侵襲が存在する場合にはⅠb1期に分類する。
c)癒合浸潤が存在する場合にはⅠb1期に分類する。
d)広がりの計測には微小浸潤巣の最大の幅を計測する。
e)深さの計測の基点は浸潤巣直上の最も深い表層基底膜とする。
解答:d
a)浸潤の深さ3 mmを超えるが5 mm以内で、広がりが7 mmを超えないもの。
b)c)癒合浸潤、脈管侵襲がある場合はその旨記載する。進行期の判定には採用しない。
e)深さの判定は浸潤の開始している基底膜部位から最も深い部位までの距離となる。
子宮頸癌臨床進行期分類
(日本産科婦人科学会1997 年,FIGO 1994 年)
0 期:上皮内癌(注1)
Ⅰ期:癌が子宮頸部に限局するもの(体部浸潤の有無は考慮しない)。
Ⅰa 期:組織学的にのみ診断できる浸潤癌。肉眼的に明らかな病巣はたとえ表層浸潤であってもⅠ b 期とする。浸潤は、計測による間質浸潤の深さが5mm 以内で、縦軸方向の広がりが7mmをこえないものとする。浸潤の深さは、浸潤がみられる表層上皮の基底膜(注2)より計測して5mm をこえないものとする。脈管(静脈またはリンパ管)侵襲があっても進行期は変更しない。
Ⅰa1期:間質浸潤の深さが3mm 以内で,広がりが7mm をこえないもの。
Ⅰa2期:間質浸潤の深さが3mm をこえるが5mm 以内で、広がりが7mm をこえないもの。
Ⅰb期:臨床的に明らかな病巣が子宮頸部に限局するもの、または臨床的に明らかではないがⅠ a期をこえるもの。
Ⅰb1期:病巣が4cm 以内のもの。
Ⅰb2期:病巣が4cm をこえるもの。
Ⅱ期:癌が頸部をこえて広がっているが、骨盤壁または腟壁下1/3には達していないもの。
Ⅱa期:腟壁浸潤が認められるが、子宮傍組織浸潤は認められないもの。
Ⅱb期:子宮傍組織浸潤の認められるもの。
Ⅲ期:癌浸潤が骨盤壁にまで達するもので、腫瘍塊と骨盤壁との間にcancer free space を残さない。または、腟壁浸潤が下1/3 に達するもの。
Ⅲa期:腟壁浸潤は下1/3 に達するが、子宮傍組織浸潤は骨盤壁にまでは達していないもの。
Ⅲb期:子宮傍組織浸潤が骨盤壁にまで達しているもの。または、明らかな水腎症や無機能腎を認めるもの。
注:ただし、明らかに癌以外の原因によると考えられる水腎症や無機能腎は除く。
Ⅳ期:癌が小骨盤腔をこえて広がるか、膀胱、直腸の粘膜を侵すもの。
Ⅳa期:膀胱、直腸の粘膜への浸潤があるもの。
Ⅳb期:小骨盤腔をこえて広がるもの。
[注1]FIGO分類の0期には上皮内癌とCIN3が併記してある。
[注2]浸潤の深さについてFIGO分類では腺上皮の基底膜からの計測も併記されている。
分類にあたっての注意事項
(1)臨床進行期分類は原則として治療開始前に決定し、以後これを変更してはならない。
(2)進行期分類の決定に迷う場合には軽い方の進行期に分類する。FIGOでは習熟した医師による麻酔下の診察を勧めている。
(3)進行期決定のために行われる臨床検査は以下のものである。
a)触診、視診、コルポスコピー、診査切除、頸管内掻爬、子宮鏡、膀胱鏡、直腸鏡、排泄性尿路造影、肺および骨のX 線検査。
b)子宮頸部円錐切除術は,臨床検査とみなす。
(4)リンパ管造影、動・静脈撮影、腹腔鏡、CT、MRI 等による検査結果は治療計画決定に使用するのは構わないが、進行期の決定に際しては、これらの結果に影響されてはならない。その理由は、これらの検査が日常的検査として行われるには至っておらず、検査結果の解釈に統一性がないからである。
CT や超音波検査で転移が疑われるリンパ節の穿刺吸引細胞診は、治療計画に有用と思われるが、進行期決定のための臨床検査とはしない。
(5)Ⅰa1期とⅠa2期の診断は、摘出組織の顕微鏡検査により行われるので、病巣がすべて含まれる円錐切除標本により診断することが望ましい。
Ⅰa期の浸潤の深さは、浸潤が起こってきた表層上皮の基底膜から計測して5mm をこえないものとする。浸潤の水平方向の広がり、すなわち縦軸方向の広がりは7mm をこえないものとする。静脈であれリンパ管であれ、脈管侵襲があっても進行期は変更しない。脈管侵襲や癒合浸潤が認められるものは将来治療方針の決定に影響するかもしれないので別途記載する。
ただし、子宮頸部腺癌についてはⅠa1,Ⅰa2期の細分類は行わない。
(6)術前に非癌、上皮内癌、またはⅠa期と判断して手術を行い、摘出子宮にⅠa期、Ⅰb期の癌を認めた場合は(1)の規定にかかわらず、それぞれⅠa期,Ⅰb期とする。従来用いられていたⅠb期“occ”は省かれている。
(7)術前に非癌、上皮内癌、またはⅠa期と判断して子宮摘出を行ったところ、癌が子宮をこえて広がっていた場合に従来は一括して“Ch”群としていたが、このような症例は臨床進行期の分類ができないので治療統計には含まれない。これらは別に報告する。
(8)進行期分類に際しては子宮頸癌の体部浸潤の有無は考慮しない。
(9)Ⅲb期とする症例は子宮傍組織が結節状となって骨盤壁に及ぶか原発腫瘍そのものが骨盤壁に達した場合であり、骨盤壁に固着した腫瘍があっても子宮頸部との間にfree space があればⅢ b 期としない。
(10)膀胱または直腸浸潤が疑われるときは、生検により組織学的に確かめなければならない。膀胱内洗浄液中への癌細胞の出現、あるいは胞状浮腫の存在だけではⅣa期に入れてはならない。膀胱鏡所見上、隆起と裂溝が認められ、かつ、これが触診によって腫瘍と硬く結びついている場合、組織診をしなくてもⅣa期に入れてよい。