第88回東京箱根間往復大学駅伝競走(箱根駅伝)は、初日の往路で東洋大学が2位・早稲田大学に5分以上の差をつける圧勝で往路4連覇。特に5区の柏原竜二選手が区間新記録の快走を披露しました。一夜明けた3日は復路が行われ、東洋大が往路優勝の勢いそのままに復路でも圧倒しました。
午前8時、東洋大6区・市川孝徳が芦ノ湖をトップでスタート。それから5分7秒後に早稲田・西城裕尭、さらに14秒後に往路3位の明治・広瀬大貴、6分43秒遅れで4位・駒大の千葉健太がそれぞれ走りだしました。その後、城西大、山梨学院、青学大が時差スタートし、東洋大がスタートしてから10分後に往路8位・東海大以下13チームが繰り上げ一斉スタートをしました。
トップを行く東洋・市川は、序盤から区間記録を更新するペースで走り続け、9キロの小涌園前を26分59秒で通過し、2位に5分37秒差に拡げます。2位争いでは、12Km辺りで明治・広瀬が早大・西城を抜いて2位に浮上。後方では往路で12位と苦戦した中央大・代田修平が14.7キロ付近で青学大を抜き、6番手に浮上。
迎えた小田原中継所、最後まで快走した東洋大の市川がトップでタスキリレー。6分24秒差の2位に明治、3位・早稲田、4位以降は駒沢、城西、青学大、往路最下位の東農大が7番手、中央大は8番目、神奈川大が9番手で通過。往路8位・東海大は14番目、往路7位の山梨学院も15番目と出遅れ。往路11位。日体大は20番目で通過。
7区、東洋大・設楽悠太が悠々と一人旅をする中、明治、早稲田、駒沢の3チームによる2位争いが激しく繰り広げられ、3位で並走していた早大・佐々木寛文と駒大・上野渉が明大・北魁道(きたかいどう)に追い付き、3.8キロ過ぎに佐々木が前に出る。9キロ過ぎには佐々木がペースを上げ、上野が後退。そして10キロ過ぎに佐々木が単独2位になった。佐々木に競り負けた北魁道はその後、上野と3位争い。
先頭の設楽悠は区間記録を上回るペースを最後まで維持し、平塚中継所をトップでタスキを渡しました。約8分差の2位に早稲田、明大と駒大がほぼ同時にリレー。東農大が6番手、中大が8番手、順天堂11番手で通過。その後、山梨学院14番手、国学院15番目、東海大は18番手で通過。
7区の間にシード権争いに変動があり、関東学連選抜が7位、山梨学院8位、中央大がシード圏内の9位に浮上。逆に東海大は圏外の12位に後退。総合10位・国学院と11位・順大の差は38秒。順大にもチャンスは十分にある!
首位を独走する東洋大は、8区の大津顕杜も好走。7キロ手前の茅ケ崎で2位に8分9秒、 遊行寺坂で約8分30秒とリードをさらに拡げます。後方では、2位早稲田、駒大と明治の3位争い。そんな中、20番手の日体大・今崎文仁が茅ヶ崎でトップから18分35秒遅れ、遊行寺坂では20分05秒遅れで通過。このままだと繰り上げスタートでタスキが途切れそうだ。さらには18番目の東海大と19番目の上武も繰り上げのピンチを迎えました。
戸塚中継所、まず東洋大・大津が2位に9分差の大差をつけて先頭でリレー。その後早稲田が2位、明治3位、駒沢が4位でリレー。早稲田から駒沢まで約30秒差。5番手以降は城西大、東農大、青学大、中央、順天堂、帝京大が通過。学連選抜は17分49秒遅れの17番手でタスキリレー。そして東洋大が通過して20分後、東海大、上武、日体大の3チームが繰り上げスタート。
9区も東洋大の独走は変わらず。9区の田中貴章は淡々とした走りでトップをひた走る。後半にペースは落ちたものの、それでも2位とは8分近いリード。激戦の2位争いは、駒大・窪田忍が早大・前田悠貴に猛追し、8キロ手前で2人が並ぶ。9キロ近く並走を続け、17キロ過ぎに窪田がスパートし、駒大が単独2位に浮上し、早稲田3位転落。
いよいよ最後の鶴見中継所。終盤にペースダウンした田中だったが、何とかトップでアンカー・斉藤貴志にタスキリレー。トップから約7分30秒差の2位に駒沢、早稲田3位。4位・明治のアンカーは鎧坂哲哉だ!青山学院が5位、城西大6位、順天堂が7番手で通過。そして繰り上げまで残りわずかとなり、16番手で走行していた神大・鈴木駿が、あと数メートルのところで足がもつれ転倒。しかし、起き上がって無事に母校のタスキを繋いだ。残り4チームは繰り上げ。上武は中継所まであと僅かだったけど、間に合わなかった…。
9区終了時点で、シード権争いに変動あり。8区で11位だった順天堂が松村優樹が頑張ってシード圏内の8位に浮上。関東学連選抜は15位に転落。10位・中央から、11位・国士館までは2分44秒差。
最終10区、東洋の斉藤は5キロを14分53秒で通過し、新八ツ山橋のところで2位に8分差に拡げます。後方では明治・鎧坂が3位を走る早大アンカー・市川宗一朗を追走し、新八ツ山橋で17秒差まで迫ると、16キロ過ぎに市川をかわし3位に上がり、早稲田は4位に転落。
東洋・斉藤は20キロを過ぎたところでラストスパートに入り、そのまま大手町の読売新聞本社前をトップでゴールイン!東洋大学が10時間51分36秒の大会新記録で2年ぶり3回目の総合優勝!9分2秒差で駒大が2位でゴール。明治が3位、早稲田は4位でフィニッシュ。
5番手争いは熾烈を極め、日本橋を過ぎた瞬間に中央・塩谷潤一が一気に前に出るが、足を痛めて苦しい表情を見せる。22.3キロ過ぎには順大・小沢一真に一旦かわされるも、すぐに抜き返す。しかし最後はついて行けず。残り数百mで青学大・大谷遼太郎がラストスパートを仕掛けて5位でゴール、順大6番手、中央8番手でゴールしました。その後、城西、帝京、拓殖大、山梨学院、東農大、国学院、国士館と言う順番でゴールしました。
総合成績
1位 東洋大学 10時間51分36秒=大会新記録
2位 駒沢大学 11時間00分38秒
3位 明治大学 11時間02分50秒
4位 早稲田大学 11時間03分10秒
5位 青山学院大学 11時間08分46秒
6位 城西大学 11時間10分17秒
7位 順天堂大学 11時間11分15秒
8位 中央大学 11時間11分17秒
9位 山梨学院大学 11時間12分38秒
10位 国学院大学 11時間13分42秒
---上位10校がシード権を獲得------------------------
11位 国士舘大学 11時間16分47秒
12位 東海大学 11時間17分14秒
13位 帝京大学 11時間18分58秒
14位 拓殖大学 11時間20分21秒
15位 神奈川大学 11時間20分22秒
16位 上武大学 11時間20分43秒
17位 関東学連選抜 11時間21分36秒
18位 中央学院大学 11時間21分41秒
19位 日本体育大学 11時間22分26秒
20位 東京農業大学 11時間44分16秒
区間賞
1区(21.4km) 大迫傑 早大 1時間02分03秒
2区(23.2km) 出岐雄大 青学大 1時間07分26秒
3区(21.5km) コスマス 山学大 1時間01分38秒=区間新
4区(18.5km) 田口雅也 東洋大 54分45秒
5区(23.4km) 柏原竜二 東洋大 1時間16分39秒=区間新
6区(20.8km) 市川孝徳 東洋大 59分16秒
7区(21.3km) 設楽悠太 東洋大 1時間02分32秒=区間新
8区(21.5km) 大津顕杜 東洋大 1時間04分12秒
9区(23.2km) 窪田 忍 駒大 1時間09分06秒
10区(23.1km) 斎藤貴志 東洋大 1時間09分45秒
今年の箱根駅伝は、東洋大学が10時間51分36秒の大会新記録で総合優勝を果たし、王座奪回に成功。駒沢大学が2位に入り、3位の明治大学は49年ぶりのベスト3入り。前回優勝の早稲田は4位に終わり、今季の学生3大駅伝は無冠に終わりました。青山学院大学は過去最高の5位、6位・城西大は2年ぶり、7位・順天堂は5年ぶりのシード権獲得。往路12位とシード落ちの危機に立たされていた中央大は総合8位に入り、28年連続でシード確保。総合10位の国学院大までが来年のシード権を獲得。往路8位の東海大は2度の繰り上げがあり、12位でシード落ち。予選会トップの上武大は16位に終わりました。
東洋大学は全体的にめっちゃ強かった!5分以上の差で圧勝した前日の往路の勢いは全く変わらず、復路でもぶっちぎりの優勝を果たし、最終的には駒大に9分差をつけました。復路タイム・5時間26分51秒は復路新記録。区間賞も6人が獲得し、設楽悠太選手が7区で区間新記録を樹立。今年の東洋大は史上最強のチームである事は間違い無し、10時間51分のタイムは今後破られる事はないでしょう。そして、現在の4年生が抜けても、設楽ツインズや4区で区間新を出した田口選手といった下級生たちがチームを支えるので、来年以降も上位争いしてくるんじゃないかと思います。
箱根ラストランで区間新記録を更新したキャプテンの柏原選手は、自身3度目の大会MVP・金栗四三杯を受賞。4月からは富士通に就職し、マラソンにも挑戦する意欲を見せました。山登りでは文句無しの強さを誇った柏原選手が、平坦なコースでも結果を残せるでしょうか。実業団でも素晴らしい走りを期待しております。