ロンドン五輪マラソン代表メンバー発表！

３月11日に開催された名古屋ウィメンズマラソン（名古屋国際女子マラソンからリニューアル）を以ってロンドン五輪のマラソン代表選考レースが全て終了。一夜明けた12日は、東京都内のホテルで日本陸上競技連盟の理事会が開かれ、男女マラソンの代表選手が発表されました。

男子は、東京マラソンで日本人トップの２位に入った藤原新選手（東京陸協）、びわ湖毎日マラソンで一般参加ながら４位入賞の山本亮選手（佐川急便）、３人目は世界陸上テグ大会で10位、びわこ５位入賞の中本健太郎選手（安川電機）の３選手に決定。
女子では、今年１月の大阪国際女子マラソンで優勝した重友梨佐選手（天満屋）、昨年11月の横浜女子マラソン優勝の木崎良子選手（ダイハツ）、そして名古屋２位の尾崎好美選手（第一生命）が選ばれました。
また、堀端宏行選手（旭化成）と赤羽有紀子選手（ホクレン）が補欠に回り、福岡国際で日本人トップだった「公務員ランナー」川内優輝選手（埼玉県庁・春日部高校事務職員）は、補欠すら入れず落選しました。

選考理由について、藤原選手は「東京マラソンで２時間７分台をマークし、後半１人でゲブレシラシエをを抜くなど評価が高かった」、山本選手は「びわ湖で雨の中、中本と堀端に先着したのが大きい」、３人目の中本選手は「世界選手権で10位、びわ湖で５位という安定した成績」を評価。重友選手は「大阪での優勝と記録」、木崎選手は「横浜で尾崎を破って優勝、後半の粘りと気象コンディションを見て世界で戦えると思った」、そして尾崎選手は「名古屋での成績を評価」したと述べました。

色んなドラマが起こる五輪のマラソン選考、女子の方は国内選考レースで優勝もしくは日本人トップだった選手が順当に選出され、男子は藤原選手と山本選手は当確、中本選手、川内選手、堀端選手、前田知浩（九電工）の４人が「残り１枠」を争いました。川内選手は福岡で日本人１位になり五輪に一旦近づいたけど、東京ではタイムも伸びず14位と惨敗。堀端選手はテグで７位入賞したけどびわ湖で10位。川内選手と堀端選手はどちらも給水での失敗が後半の失速に繋がりました。
前田選手は東京で２時間８分38秒、中本選手は２時間８分53秒とタイムでは前田選手の方が有利だったけど、「安定感」で評価された中本選手が五輪代表の座を掴みました。前田選手にとっては悔しい現実と言えるでしょう。


男女ともフレッシュな顔ぶれが目立つ今回の五輪代表勢ですが、その中でも尾崎選手が一番実績があり、2009年のペルリン世界陸上では銀メダルを獲得しています。尾崎選手はテグで18位、横浜では木崎選手に惜敗、名古屋で日本人トップになって「３度目の正直」でロンドン行きの切符を獲得。所属チームの監督である山下佐知子さんはバルセロナ五輪に出場してメダルまであと一歩の４位入賞。尾崎選手には五輪でメダルを獲得して「師匠超え」を果たしてもらいたい。
木崎選手は代表決定の瞬間をワンセグのテレビで確認し、思わず嬉し涙を流したそうです。横浜では気温20度超えという厳しい条件の中、尾崎選手を破り優勝。本番では横浜の時の様な高温でのレースとなるので、持ち前の精神力で入賞を目指します。重友選手が所属する天満屋は、４大会続けて五輪代表が誕生。過去にはシドニーで山口衛里選手が７位、アテネで坂本直子選手が７位、北京で中村友梨香選手が13位。重友選手は天満屋に初の五輪メダルをもたらすことができるのか？
五輪の夢をかなえた「プータローランナー」こと藤原選手は、４年前の北京五輪で補欠に終わった後は波乱万丈のランナー人生でした。2010年に当時の所属チーム・JR東日本を退社しフリーとなり、スポンサー先の健康食品会社と３年契約を結びながらも途中で契約解除。「無職」で臨んだ東京マラソンでゲブレセラシエを抜いて２時間７分台の好タイムで２位に入り、一躍時の人に。４月には読売ジャイアンツの開幕戦の始球式に登板も決まり、今が人生バラ色の状態です。五輪本番までに藤原選手を支えてくれる新しいスポンサー先がみつかるといいですね。
前回の北京五輪では男女とも惨敗、ロンドンでは女子は２大会ぶりのメダル、男子は入賞を目標に掲げています。女子マラソンは８月５日、男子マラソンは五輪最終日の８月12日に行われます東日本大震災の被災者たちのためにも五輪本番では全ての選手たちが快走を見せてくれる事を願ってやみません。