今日の朝日新聞朝刊1面14版に「消費税8%引き上げ時 軽減税率見送り 政権方針」という記事が掲載されています。
それによると、安倍政権は来年4月からの消費税率(地方消費税の税率を含みます)引き上げの際に、低所得者対策として「1人あたり約1万円を配る『簡素な給付』で対応する」ということですが、軽減税率の採用は見送ったとのことです。もっとも、完全な見送りとは言えません。2015年10月に予定されている10%への引き上げの際には軽減税率の採用も考えられるからです。今後も検討されなければならないでしょう。
安倍政権の方針は、少なくとも来年4月の税率引き上げについては「当然のこと」と評価すべきです。上記記事にも書かれていますが、軽減税率を採用するにはインボイス方式への変更が不可欠です。しかし、いきなり切り替える訳にもいきません。そもそもインボイス方式が採用されてこなかったのですから(その意味では消費税の導入は時期尚早であったとも言えます。日本の事業の大部分は、消費税の納税義務者としての能力を欠いている、と自ら主張してきたのですから)、整備をしなければなりませんし、周知期間も必要でしょう。日本の場合は習熟期間すら必要となるでしょう。8%への引き上げの時点から軽減税率の採用を主張しているのは公明党ですが、政治的な思惑を考慮に入れても無理な主張であるとしか言えません。短かった民主党政権時代に議論された消費税増税の議論の折に、軽減税率導入に向けての具体的な政策論を展開したのでしょうか。ただ、軽減税率を採用せよと主張しただけでしょう。インボイス方式のことについて全く知らなかったとしか思えません。
なお、軽減税率を導入している国でも廃止の議論があるようです。これには注意を向けておく必要があります。