今、たまたまマイナビのサイトを見ています。「『鳥肌が立つ』を感動表現で使うのは大問題?-間違って使われがちな言葉たち」という記事です(https://gakumado.mynavi.jp/gmd/articles/27155)。
毎年、文化庁が「国語に関する世論調査」というものを行っています。その中で「枯れ木も山の賑わい」という慣用句の意味が問われたのですが、手元にある電子辞書でも「つまらないものでも、ないよりはましであることのたとえ」と出てきます。これが正しいのですが、正解は34.6%に過ぎず、人が集まればにぎやかになるという意味に誤解していた人の割合が47.2%だったそうです。
他にも、小春日和、天に唾する、などの言葉が登場します。
そこで、上記記事にも登場する「やばい」のことを思い出しました。
元々、「やばい」は「矢場い」と書き、江戸時代に存在した的矢が語源となっています。やはり手元の電子辞書では「揚弓場」と出てきますが、これは上方の表現のようで、関東では矢場と言いました。矢の回収が危険であることから、危険なことを「やばい」というようになったそうです。
ところが、これは「危ない」という意味だけではありません。最近、「やばい」を「素晴らしい」の意味で使う人が増えているという旨の記事が、たとえば朝日新聞社の2015年9月18日5時8分付記事「やばい=すばらしい 10代の9割、肯定的に使用」(http://www.asahi.com/articles/ASH9K7DKQH9KUCLV015.html)でも書かれているのですが、文化庁の方々は山下洋輔さんの著書を読んだことがないのでしょう。
実は、「やばい」を「危ない」とは異なる意味で用いる場合があるというのは、最近に始まったことではないのです。もっとも、ジャズマン用語などでは昔からのことであるというだけなのですが。
私は、1980年代の後半、高校時代から学部生時代にかけて、山下洋輔さんの初期の著書を愛読していました。「風雲ジャズ帖」、「ピアニストを笑え!」などです。今は手元にないので、どの本であったか忘れましたが、「やばい」は「ものすごい」という意味でも使うことがある、というようなことが書かれています。それがだんだん変化してきた、ということになるのでしょうか。
言葉の意味が時間の経過とともに変化することは、よくある話です。
所詮、理論的観点、学術的観点、比較的観点からの冷静な検討は葬り去られ、選挙目当ての策がまかり通るというところでしょうか。
徳川家康は「及ばざるは過ぎたるに勝れり」と言った、という話をどこかで読みましたが、軽減税率はまさにこの言葉が妥当するところでしょう。消費税制を導入した以上は、軽減税率や非課税を行わないのが最善なのです。
また、日本経済新聞の記事でも書かれていましたが、日本の税制は「一体何年前の話なのか」というほど遅れています。軽減税率をやるのであればインボイス方式は欠かせません。否、消費税をやるならインボイス方式なのです。
先進国などと言われる国で、インボイス方式を採用できない「ガラケー」国家は日本だけです。要するに、日本の政府も国民も、消費税に関する能力はないのです。消費税制の納税義務者である事業者の大部分は、日本において大中小を問わずインボイス方式に対応するのが「面倒くさい」らしいということですが、要するに対応できないようです。これでどこが先進国なのかと言いたくなるのですが、所詮、水準はその程度です。
どこまで無茶苦茶になるのか、想像するだけも楽しいことになりそうですね。世界中から「受け」を狙えるのではないでしょうか。