ひろば 川崎高津公法研究室別室

川崎から、徒然なるままに。 行政法、租税法、財政法、政治、経済、鉄道などを論じ、ジャズ、クラシック、街歩きを愛する。

「やばい」を良い意味にも悪い意味にも使うのは昔からのことで、最近の若者言葉ではありません。

2021年07月23日 22時55分00秒 | 日記・エッセイ・コラム

 今日の朝日新聞朝刊の「天声人語」に、「やばい」について間違っていることが書かれていました。

 大学教員などでも知らない人が多いのですが、「やばい」が良い意味にも悪い意味に使われるのは、何も最近の若者言葉に限ったことではありません。少なくとも、私が若かった頃から「すごい」などの意味で使われることはありました。

 おそらく、今回の「天声人語」の担当者は、山下洋輔さんのエッセイを読んだことがないのでしょう。私は高校生時代から大学生時代にかけて『風雲ジャズ帖』、『ピアニストを笑え!』、『ピアニストを二度笑え!』などを買い、よく読んでいました。どの本であったかは覚えていないのですが、ジャズマンなどは「やばい」を「すごい」などの意味で使っていたということがしっかりと書かれています。

 言葉の意味の変化をたどるのは難しいものですね。

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やはり1800人超え 医療逼迫も目前に、なのに……

2021年07月21日 19時30分00秒 | 国際・政治

 今日(2021年7月21日)の速報で、東京都におけるCOVID-19の新規感染者数が1800人超となったようです。今年の1月16日以来であるとのことです。

 やはり、という気がします。この状況で東京五輪は開催されそうですし、緊急事態宣言の意味も稀薄になっているからです。飲食店を狙い撃ちするような規制策も意味がないことが明白です。

 どう考えても、今月および来月に、東京都を初めとする関東地方で、昨年を上回る新規感染者数に達しそうな勢いです。いや、関東地方に限定する必要はありません。

 そのような中で、今日付の朝日新聞朝刊3面14版△に「『最後』の緊急事態宣言 下 果たされぬ約束 首相孤立」という記事が掲載されています。そこに、次のような言葉が記されています。

 「首相は後に周辺にこんな『未練』を述べたという。『Go toを始めた夏には、専門家は「移動では感染は広がらない」と言っていた。8800万人が利用したけど、感染者はたった400人だったんだ』」

 これを何と評価すればよいのでしょうか。「たった」と言えるかどうかも怪しいものですが、緊急事態宣言が繰り返される土台を作り出したと言えないでしょうか(それより前から土台はあったとも言えるでしょうが)。いずれにせよ、科学も医学もないという精神論が目立つようになったと言えるでしょう。

 記事も「政府は年明けに2度目の緊急事態宣言に追い込まれると、その後、宣言の延長、解除、再宣言、再延長を繰り返すことになる」と書いていますように、都道府県によって差はあれ、今年は緊急事態宣言が出されていなかった日のほうが少ない、しかも3回も繰り返されているという情勢です。

 第2回緊急事態宣言は二度も延長されます。1月の時点で、内閣総理大臣は「『1カ月後には必ず事態を改善させる』と力説した」というのですが、それができる訳がなく、3月には「『首相の言葉が国民に届いていない』。このころ、閣僚や自民党幹部らの間でしきりにそんな会話が交わされた。首相に正確で幅広い情報が伝わっているのかという疑念もささやかれた。トップダウンにこだわる首相と、調整役不在が指摘されてきた政権の構造的な問題が、コロナ対応を通じてあらわになっている――。かつて首相に仕えた官僚はそんな見方を示した」。内閣総理大臣が就任当初に行った発言に、自分に従わない官僚は左遷するという意味のものがありますが、この姿勢がCOVID-19の感染拡大においてマイナスに働いたことは否定のしようがありません。

 記事には、さらに次のようなことが書かれています。

 「東京などで感染再拡大が進み、4月下旬に3度目の宣言が出た。設定された期限は5月11日。閣僚のひとりは首相に『5月上旬は、まだ感染者数が増えている。解除するなら、それなりの理由がないと理屈が通りません』と伝えた。これに首相は『言霊になるからやめろ』と応じたという。」

 「ある政府関係者は首相に、2度目の宣言の際には五輪の『無観客』、3度目の宣言では『中止』を進言したと明かす。だが、首相は取り合わなかったという。この関係者は『五輪中に宣言となるのは分かるはず。何を考えているのか分からない』。」

 「別の閣僚も、3度目の宣言下で『中止』を進言したが『伝わらなかった』という。この閣僚は『予想通り東京の感染状況は悪化している。もうついていけない』と冷ややかに語る。」

 まるで、20世紀の社会主義国家における最高権力者の発言を思い起こさせるような話です。諌言は遠ざけられるということでしょうか。記事にも「総理に直言する人は、いま政権内にほとんどいない。寄せられるのは苦情ばかりになった」という首相側近の嘆きが書かれています。政権発足当初から貫かれた姿勢が、自らのみならず国民全体を袋小路に追い込んでいる訳です。

 もう一つ感じたことですが、東京五輪オリンピック開催への固執は、何となく、東ドイツ(ドイツ民主共和国)の崩壊の引き金を引いた建国40周年記念式典にとりつかれたホーネッカー国家評議会議長に似ているような気もします。それに、引用したところが正しいのであれば、内閣は空中分解寸前であるということにもなります。

 今も、あたかも呪文のように安心、安全が唱えられている東京オリンピックですが、どう考えても逆でしょう。有観客から無観客への転換も小山田圭吾さんの件もドタバタです。開会式に出席しないと宣言する人々も多くなっています。史上最悪のオリンピックになることはもう約束されたようなものです。

 どうかすると、オリンピック開催期間中に第4回緊急事態宣言の延長および対象領域の拡大が行われるでしょう。沖縄県の第3回緊急事態宣言もさらに延長されるでしょう。こうなると、東京オリンピックは途中で中止、東京パラリンピックは完全中止となるでしょう。

 それにしても、記事に書かれている「ある政府関係者」、「別の閣僚」が気になります。

 ※※※※※※※※※※

 私自身は8月にワクチン接種を受けることとしました。地元の川崎市が実施するので、先週の土曜日の朝に予約を済ませました。副反応なども頭をよぎりましたし、変異株に対応できるのかどうかもわかりませんが、接種しないよりは、と考えた訳です。昨年も、インフルエンザ予防接種を受けておいたほうがよいという複数の報道を目にして、接種を受けておきました。

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うちの近所で花火が打ち上げられた でも事前に何の連絡もない

2021年07月17日 21時05分00秒 | 日記・エッセイ・コラム

 時計を見ていなかったので正確な時刻はわかりませんが、19時台か20時台に、近くで何発も花火が打ち上げられました。

 たしか昨年はなかったのですが、例年、高津小学校で児童が学校に一泊するという行事が行われており、その際に必ず花火が打ち上げられています。

 今年、学校に児童が一泊したのかどうかは知りませんが、花火は打ち上げられたのです。

 しかし、ここで近所の住民として一言記しておきます。何処の誰が何発も花火を打ち上げたのかはわかりませんが、爆発事故などのことも考えるならば、書いておくべきでしょう。

 例年と違い、今年は何の事前連絡もありません。いつもであれば、例えば高津小学校が近所の住宅の郵便受けにチラシの1枚でも入れておいてくれますが、今年はそのような物が何もなかったのです。

 一体、どういうことなのでしょうか。

 

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麹町駅前、千代田区二番町、日本テレビの跡地

2021年07月17日 07時00分00秒 | まち歩き

 現在、東京にある民放のテレビ局は、東京都ローカル局の東京MXを除き、全て港区に本社を構えています。しかし、フジテレビは台場への移転前には新宿区河田町にありましたし、日本テレビは千代田区二番町にありました。

 仕事の関係で、年に数回ですが千代田区六番町へ行きます。そのために麹町駅をよく利用するようになって10年以上が経過します。その麹町駅の前に、日本テレビがありました。現在は東新橋に本社を構えていますが、移転後も長らく二番町に本社などの建物がありました。解体作業が始められたのは2019年であったでしょうか。2020年には解体作業が行われていました。そして……

 2021年夏、建物は完全に解体され、有料駐車場になっていました。かなり老朽化していたとは言え、日本テレビの建物は見慣れていたので、少し驚きました。

 もっとも、日本テレビは二番町から完全に東新橋へ移転したという訳でもなく、番町スタジオが新たに建設されました。下の写真にある白いビルが番町スタジオです。そのすぐそばに、有名な女子学院中学校・高校があります。

 私は東京の地下鉄の全駅を利用したことがあります。そのため、テレビ局やラジオ局の最寄り駅を利用し、周辺を歩いたことがありますが、最もわかりやすかったのが麹町駅でした。何せ、6番出口を使えばすぐ目の前に日本テレビがあるのです。「赤坂駅はどうなんだ?」(TBSの最寄り駅)、「六本木一丁目駅はどうなんだ?」(テレビ東京の最寄り駅。但し、テレビ東京は何度か移転しています)などという声が聞こえてきますが、麹町駅の構造はわかりやすいのです。

 地下鉄麹町駅の6番出口は、日本テレビの建物に直結するような形で設置されていました。この写真の右側の方にあるはずです。建物があった時には、有名な女性アナウンサー、水卜麻美さんなどの顔が大きく描かれた日テレ学院の看板が出ていたので、すぐにわかりましたが、今はありません。

 しかし、地下鉄の出入口は封鎖されていません。今はどの程度意味があるのかわからないような出入口となっていますが、聞くところによればこの広大な土地には再開発計画があるようで、かつて番町文人通りの辺りでは厳しい建築制限が課されていたという話は三代目三遊亭圓歌師匠の落語でも語られるところですが(六番町にお住まいであったためです)、この地に似つかわしいのかどうかわからない高層建築物が建てられるようです。そのことに異議を申し立てているのが女子学院などの学校であるとか。たしかに、再開発というと何処も彼処も高層建築物で、似たり寄ったりのものになりますし、街並みを破壊するようなものになってしまいます。建物は減価償却物ですし、必ず老朽化します。まして、地震の際には大混乱を起こすことでしょう。

 地下鉄有楽町線はこの道路の真下を通っています。御覧のように、あまり広い道路ではないので、駅は三層構造になっており、地下1階に改札口があり、地下2階に1番線ホーム(永田町、新木場方面)、地下3階に2番線ホーム(池袋、和光市方面)があります。

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やはり1000人超え

2021年07月14日 20時00分00秒 | 日記・エッセイ・コラム

 第3回緊急事態宣言が解除されてから、東京都における新規感染者数が1000人を超える日は近いと思われていました。やはり、7月14日に超えてしまいました。

 2020年も、7月に新規感染者数が増えていました。何らかの対策が考えられていたはずですが、そうではなかったようです。しかも、オリンピックの開催強行ということで、海外から五輪関係者や報道関係者などが来ており、一部がマスクもせずに酒場か何処かで大騒ぎしているという報道も見受けられますから、感染拡大は間違いないでしょう。それにしても、敢えて記しますが、マスクに関する日本国民の意識の高いこと! 

 それでも感染力が高いCOVID-19の変異株が流行しています。東京都はもとより、神奈川県、千葉県、埼玉県、さらに日本全国でこの夏に大流行するのではないか、と懸念しています。これで東京オリンピックが行われるというのですから、狂気の沙汰です。そこに金が付く訳ですから、またまた筒井康隆さんの著書のタイトルをお借りして「狂気の沙汰も金次第」という状況です。「反日」と言われないためには、自らの命から何からを五輪に捧げなければならないでしょう。大変なことです。

 酒類販売についても無茶苦茶、より明確に言えば無法な政策がまかり通ろうとしている日本です。1945年8月のカタストロフは、形を変えて2021年8月にも再現されることでしょう。

 ※※※※※※※※※※

 このブログを、私が担当している講義を履修している学生が見ているのかどうかわかりませんが、ここに記しておきます。

 今年度の前期の科目について、私は2つの科目を除いてレポート評価または平常点評価(1科目のみ)としています。それでレポート評価の科目については、原則としてDB manaba(大東文化大学)、K-SMAPYⅡ(國學院大學)というようなシステムを利用して提出していただくようにしています。できる限り、このようなシステムを利用して提出してください。

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都営三田線の新車

2021年07月14日 08時45分00秒 | 写真

東京都は板橋区にある都営三田線の西台駅の隣に、志村車両研修場があります。同線の開業時から存在する車両基地です。ここに、新車の6500形が停まっています。

 今回は西台駅1番線のホームの壁に設けられた窓から撮影しましたので、正面、人間に喩えれば顔の写真はありません。山手線を走るE235系の顔を縦方向に引き延ばしたような姿で、ほぼ長方形と言ってよく(長方形の角のうちの2つを落としていますが)、正直なところスタイリッシュからは程遠いものとなっています。6300形のデザインがよかっただけに「何だか……」という気もします。

 都営三田線では長らく6両編成が走り続けていますが、利用客が多いことと、東急新横浜線および相鉄線への直通運転が開始される予定になっていることから、8両編成化が行われることになっています。6500形はそのための新車であり、6300形の一部を置き換えることとなっています。考えてみると、6300形がデビューしてから既に28年が経過している訳です。

 なお、6500形の営業運転は来年(2022年)に開始されるようです。

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理念も何もない 「コロナと闘う五輪」?

2021年07月10日 08時00分00秒 | 国際・政治

 東京オリンピックは、多くの国民の意思に反して開催が強行されることとなりましたが、東京都、神奈川県などの会場では「無観客」ということが決まりました。再来週に始まるということなので、直前の決定と表現してもよいでしょう。混乱は必至で、飲食業界の反発は強く、スポンサーも対応に追われているというような状況です。

 「無観客」と、敢えて鉤括弧を付けて表現していることの意味はおわかりでしょう。そう、文字通りの無観客ではないのです。これについては既に記したので繰り返しません。

 (どうでもよいことですが、こうして「 」を付けて記すことの意味がわからない人が結構います。もう20年くらい前のことですが、私が鉤括弧を付けたことに対して文句を付けてきた大学教員がいました。リテラシーが低いのか、表現方法を知らないのかのどちらかでしょう。)

 今回取り上げたいのは「コロナと闘う五輪」という表現です。朝日新聞社が2021年7月9日14時10分付で「ウイルスに打ち勝った証し→コロナと闘う五輪に 厚労相」(https://www.asahi.com/articles/ASP794G71P79UTFL002.html)として報じているところを読んだのですが、結局、2020年東京オリンピックには理念も何もない、スローガンやキャッチフレーズはただの御都合主義である、ということが如実に語られているということです。あるいは、語るに落ちるということかもしれません。私は、語るに落ちるという表現が相応しいとも考えています。

 上記記事によると、「コロナと闘う五輪」という表現は、9日に行われた閣議の後の記者会見で田村憲久厚生労働大臣が発したものです。大臣の発言そのままではないのですが、記事に書かれているところを引用すると「アスリートはコロナと闘って東京のフィールドに立ち、競技する。まさにコロナと闘ってきた五輪だ」、「多くの方は家(のテレビ)で見ることが前提だ」、「国民のみなさんはアスリートを応援しながら、感染が広がらないように行動していただき、ともにコロナと闘う五輪にしていきたい」、「感染が広がらなければ成功した五輪になる」ということです。最後の表現は、ただ開催することだけが目的となっていること、そのために滅茶苦茶になっていることを表しているようです。「感染が広がらなければ」とはどのレヴェルの話なのかと首を傾げたくなりますし、現に選手や大会関係者に感染が拡がっているようです。

 思い起こせば、東京オリンピックの開催に向けて、当初は復興五輪というような表現が使われていました。東日本大震災からの復興という意味合いです。しかし、復興どころではないことは、たとえ新聞やテレビなどが報じなくとも、少なからぬ国民が知っています。福島第一原子力発電所事故に伴う原子力緊急事態宣言はまだ解除されていません。当然といえば当然です。10年で解除される訳がありません。もし復興を遂げたのであれば、復興特別所得税が課され続けていることの意味がわからなくなりますし(根拠がなくなるからです)、地方財政対策や地方財政計画に東日本大震災関連の項目が置かれ続けていることの意味もわからなくなります。YouTubeの番組で烏賀陽弘道さんがおっしゃっていたことですが、たとえ東京五輪が成功に終わったとしても、福島第一原子力発電所の後始末がきれいさっぱりと終わる訳でも何でもないのです。

 復興五輪があまりにも欺瞞に満ちた言葉で、その後の政治と姿勢が重なるように思えた方もおられるでしょう。COVID-19の蔓延が広がると、今度は「ウイルスに打ち勝った証し」あるいは「コロナに打ち勝った証し」というスローガンが出されます。2020年3月のことで、他ならぬ時の内閣総理大臣の発言です。言葉の意味を理解しているのかどうかと疑いたくなる表現で、「打ち勝った」という表現は過去形か現在完了形ですから、感染拡大が止まらない状況では全く当てはまらないこととなります。あるいは、2020年3月の時点においては2021年7月に「コロナに打ち勝った」という願望を表明したと理解すべきかもしれませんが、そうであるとするとパンデミックの歴史などを全く理解していないことになります。実際に、日本は他の先進諸国や中進国などよりも緩くて時代遅れの対策しか行えなかったのでした。そして、ワクチン接種などが日本よりも進んでいる国々でも、変異種などのために新規感染者数が増大しています。これでは「コロナが人間に打ち勝った証しとしてのオリンピック」になりかねませんし、むしろその表現のほうがスローガンとして相応しいでしょう。

 COVID-19の感染状況からして、既に「打ち勝った」という表現がおかしいことは2020年中に明白になっていました。そこで、何処かに追いやられていた復興五輪のフレーズが復活したりしたこともあります。まさに御都合主義です。そして今年、1月に入って一週間が経過する頃に第2回緊急事態宣言、4月下旬に第3回緊急事態宣言が出されました。適用地域は一部の都道府県に限られましたが、国民生活への影響は甚大でした。しかも、第3回緊急事態宣言が沖縄県を除いて解除されてから1か月もしないうちに、とりあえずは東京都のみに第4回緊急事態宣言が出されることになっており、適用地域の拡大も容易に予想できる有様です。

 結局、「ウイルスに打ち勝った証し」あるいは「コロナに打ち勝った証し」とは言えなくなったのでした。政府、東京都、組織委員会などは、いわば追い詰められた訳です。だから「コロナと闘う五輪」という、およそ体育大会に相応しくないグロテスクなキャッチフレーズにせざるをえなかったのでしょう。私は悪い冗談なのかと思ったほどです。

 何をもってして成功というのかわかりませんが、まずはオリンピックを開会式から閉会式まで行い、次にパラリンピックをやはり開会式から閉会式まで行うということが成功なのでしょう。しかし、「無観客」、つまりチケットを購入して会場に入る一般観客がいないということでは、オリンピックやパラリンピックの意味の多くが失われるはずです。現に、無観客に疑念を抱いて辞退した選手もいます。また、経済的損失は計り知れないでしょう。Yahoo! Japan Newsのコメントにもありましたが、新国立競技場の意味などはなくなってしまいました。つまり、大金をはたいただけに大損ということです。東京五輪グッズも売れていないようですし、溝口や二子玉川の文教堂書店にグッズのコーナーがあるのですが、見た限りでは売れていないようですし、お客さんがいてグッズを選んでいるところを見たことがありません。都内で電車に乗っていてもグッズを持っている人を見たことがありません。見るのはバスなどに付けられた五輪ナンバーだけです。

 今後の感染状況によっては、開催したはよいが途中で終わる、つまり中止という事態も十分に予想されます。また、オリンピックは開催してもパラリンピックは中止するという観測もあります。仮にその通りとなるのであれば、最初から東京五輪は失敗していることになります。オリンピックとパラリンピックがセットになって、初めて開催の意味があると考えられるからです。

 これに懲りて、もう日本はオリンピックやパラリンピックの会場に立候補しないほうがよいでしょう。ただ莫大なお金をかけるだけであり、税金も人力も無駄遣いしているだけになっているからです。

 ※※※※※※※※※※

 このブログをお読みの方はおわかりかもしれませんが、私は、そもそもオリンピックとワールドカップには関心がなく、テレビ中継なども見ません。ただの馬鹿騒ぎにしか思えないという部分が見え隠れするためです。それでも今回のオリンピックについて何度も記してきたのは、古代ローマの「パンとサーカス」が現代のオリンピックやワールドカップなのであると考えるからです。そうでなければ、国民の生命や健康よりもイヴェントやお祭りを大事にする、そちらのほうに力を注ぐということがあるでしょうか。実は、2020年3月24日においてはオリンピックやパラリンピックは見世物ではない、そうであるべきではないと考えていました。本来であれば見世物ではないですし、出場する選手は真剣でしょう。しかし、商業イヴェントと化して久しく、見世物のようになってしまいました。オリンピック招致が決まってから、日本国内でオリンピックの開催に反対する意見がいくつも見受けられました。私は、そうした意見が書かれた本を何冊か買い、読んできました。今も研究室に何冊かがあります。果たして、そうした本に書かれたとおりになった、いや、もっとひどくなったという感想を持っています。

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やはり取りやめ 深夜の臨時列車

2021年07月09日 13時15分10秒 | 社会・経済

 東京オリンピックは強行開催ということですが、東京都などの会場では無観客であるということで、JR東日本などで運行されることとされていた臨時列車は「原則として取りやめになる」と報じられました〔共同通信社2021年7月9日12時57分付「五輪臨時列車、原則取りやめ 1都3県無観客開催で」(https://nordot.app/786073396039663616)〕。

 「原則として」という言葉が引っかかりますが、取りやめは当然でしょう。

 オリンピックは行われてもロック・フェスティバルはだめ、飲食店はさらに打撃を受ける、というのは、一体何なのでしょうか。

 

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いつまで走るか 東急8500系8637F Bunkamura号 その2

2021年07月09日 10時30分00秒 | 写真

先日、二子橋を渡る東急8500系8637F(Bunkamura号)を撮影しました。

実は10両分を撮影していますが、今回はデハ8537の写真を掲載しておきます。

 渋谷の文化村と言えば、私が年末年始のテレビ番組としては唯一楽しみにしているジルヴェスター・コンサート(何度も記しますが、これだけは見逃したことがありません)が行われるオーチャード・ホール、地下1階にあって何かと見に行くザ・ミュージアム(今でも大ベートーヴェン展、トレチャコフ美術館展は忘れられませんし、今年のドアノー展ももう一度見たいと思っています)、やはり地下1階にあるLes Deux Magots、同じく地下1階にあるナディッフ・モダンと、よく見に行く所もあります。このBunkamura号の車内にある広告は全てBunkamuraのものなので、見ているだけで楽しいのです。

 最近、東急百貨店本店が2023年春以降に閉店するという話を知りました。Bunkamuraも本店の施設ですのでどうなるのかと思っていたのですが、改修工事をするようです。Bunkamuraは残って欲しいし、ジルヴェスター・コンサートも続いて欲しい。ただ、本店の建物はかなり古いはずなので(私も小学生時代から何度となく入っています)、建替をせざるをえないでしょう。そうなると7階のジュンク堂はどうなるのかと気になります。東急プラザにあった紀伊國屋書店が渋谷パルコに移転したら規模を縮小し、専門書がほとんど扱われなくなったり学習参考書もあるのかないのかわからないようになって魅力のない本屋になってしまったのを見ていますので(西武百貨店渋谷店の中に移転して多少はよくなりましたが、東急プラザ時代にはかないません)、心配です。

 そう言えば、渋谷にはブックファーストもありました。たしか、今のH&Mの場所にあった本屋で、なかなかよかったのですが閉店しました。しばらくして田園都市線渋谷駅のそばの地下、かつて旭屋書店があった場所にオープンしたのですが、これも数年でなくなり、今はヴィレッジヴァンガードになっています。

 さらに思い出しましたが、ブックファーストは六本木にもありました。しかし、今年の4月に閉店しました。1997年4月に開店したそうですが、私が知ったのは2010年以降であったため、一度も入ったことがありません。ちなみに、私にとって六本木の本屋と言えば誠志堂書店と青山ブックセンターでしたが、どちらもありません。今、六本木の本屋というと、六本木ヒルズの中にある文教堂書店くらいでしょうか。

 8500系と関係のない話が続きました。今、この編成を含めても10編成もありませんので、沿線住民でもなかなか見かけなくなっています。このBunkamura号も、運行しているのを見ることができる時間は余り残されていません。8500系の最後はこの編成になるのでしょうか。そして、Bunkamura号は5000系か2020系に受け継がれるのでしょうか。

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第4回緊急事態宣言発出か そのような中でオリンピックをやるのか

2021年07月07日 22時15分00秒 | 国際・政治

 Yahoo! Japan Newsに、今日(2021年7月7日)、東京都で新たにCOVID-19に感染した人が900人を超えたと報じられていたのを見たと思ったら、日本全国では2100人を超えたと報じられています。そして、やはりというべきか、予想より早いというべきか、第4回緊急事態宣言が出される可能性が高まっています。時事通信社が、今日の20時34分付で「東京、4回目の緊急事態 8月22日まで、措置延長から一転—政府、8日に決定」として報じています(https://www.jiji.com/jc/article?k=2021070700720&g=pol&utm_source=top&utm_medium=topics&utm_campaign=edit)。

 以上のように記しましたが、忘れてはいけないことがあります。第3回緊急事態宣言はまだ終わっていないのです。沖縄県で続いています。ただ、東京都は解除されていますから、第4回と記して差し支えありません。

 東京都については、YouTubeなどではマンボウとしておなじみの「まん延防止等重点措置」が適用されており、これが今月11日までとなっています。7月に入る少し前頃から東京オリンピック開催の動きが活発化されているので、マンボウも終えるのではないかとすら予想されていただけに、6月20日に解除されてから1か月もしないうちに4回目の緊急事態宣言というのは、少なからぬ方々の予想よりも早いのではないかと思われます。また、沖縄県については第3回緊急事態宣言が延長されることになるようです。

 第4回緊急事態宣言は、時事通信社の報道によると8月22日までとなっています。沖縄県への延長も同じです。第2回と第3回で小出し状態としか言い様がない状態であったことで、緊急事態宣言の意味が薄れてしまい、効果もあまりないようでしたが、第4回についても同じこと、あるいはもっとひどくなることでしょう。何せ、東京オリンピックを「無観客」で開催することになりそうなのですし、小出しであることに変わりはなさそうであるからです。

 ここで「無観客」とカギ括弧付きで記したのは、文字通りの無観客ではないからです。チケットを購入した一般の観客を入れないという程度の意味であって、関係者や、今や「五輪貴族」と言われる方々についてはこの限りではないからです。レトリックなのか何なのか、観客ではないというような位置づけを与えられているようです。また、東京都内での小学校や中学校などでは児童や生徒が観戦に動員されることになっていますが、こうした児童や生徒も観客に入れていないのです。どう考えてもおかしな理屈ですし、辞退を求める保護者が多いのも当然です。

 私が児童や生徒の動員の話を最初に聞いた時、大分大学在職中に大分県で行われた国民体育大会のことを思い出しました。朝、大分大学へ向かう際に豊肥本線の臨時列車を見て、いつもであれば1両単行か2両編成しか走らないような路線に(特急でも3両か4両編成でした)、5両か6両が連結された列車が走っていたのです。大学に到着して、すぐに県内の生徒たちが観戦に動員されたということを知りました。おまけに、東京オリンピックに反対する人は反日であるとまで書かれた記事も公表されています(B国のRdJでのMさんがそう言ったとか)。昭和10年代が形を少しばかり変えて蘇ったのでしょうか。

 それにしても前代未聞の話でしょう。緊急事態宣言が出される中でオリンピックを行うというのですから。Emergencyというサインが出ていて、お祭りでも何でもやろうという人はほとんどいないでしょう。いくら日本人の多くが英語を苦手としているとしても、Tokyo under state of emergencyと書かれているのを見た外国人はどう思うか、ということくらいは簡単に想像できるはずです。

 COVID-19の蔓延状況を戦争に喩えた人がいますが、よく考えれば当然の話で、緊急事態であることに変わりはなく、このような中でオリンピックをやること自体が異常です。古代オリンピック開催中にはギリシアのポリスが戦争を中断したという話を聞いたことがありますが、それは戦闘行為であるから可能であった訳で、ウイルスには関係のないことです。

 しかも、ワクチンは急に不足状態になっていますから、既に川崎市から接種券が届いている私も、果たしていつ接種してもらえるのかわかりません。変異種が猛威を振るう中でワクチンの効果がどれだけあるのかと疑わしくもなりますが(全く効果がないという訳でもないようですが)、とにかく世界的に見ても先進国とは思ってくれないほどに遅れている日本ですから、私も含めていつ何処で誰が観戦、ではなくて感染してもおかしくなく、新規感染者数が増えても驚きません。

 二兎を追う者は一兎をも得ず。YouTubeの「一月万冊」で本間龍さんや佐藤章さんなど出演者の方々が言われていますが、東京オリンピックを中止するということにしておいたら、感染対策とオリンピックという二兎を追う必要はなかったのです。両方を得るといっても余程の戦略を練らなければ、感染対策かオリンピックかという選択になりやすいですし、どちらか一方に力を注ぐか、どちらにも中途半端に取り組むか、ということになります。残念ながら、日本は両方に中途半端な力の入れ方をした、と言えそうです。それならば、最初から二兎を負わなければよい訳で、本来であれば2020年の段階で中止を決断すべきでした。あるいは2022年まで延期ということであれば、話は少しばかり違った可能性もあります。当時の段階でも1年延期に反対する意見は少なくなかったのでした。歴史的に見ても、パンデミックは1年で収束しないということがわかるからです。つまり、1年延期は最悪の選択肢であったというのは、結果論ではなく、2020年の方針決定の段階でも合理的に推論できたことなのでした。

 ともあれ、第4回緊急事態宣言が出されたところで、効果は期待できそうもありません。

 第一に、東京都だけを対象とする意味が何処まであるのかということです。隣接県などから通勤、通学などのために東京都内に行く人は多い訳で(逆に東京都内から通勤や通学などのために神奈川県などへ行く人も多い訳です)、公共交通機関を完全に停める、道路網を完全に遮断する(少なくとも、一定の貨物輸送に限定する)というようなことでもしなければ、感染を食い止めることはできないでしょう。以前、このブログでも取り上げましたが、JRや東京メトロではオリンピックの期間中に、しかも深夜帯などに臨時列車を運行するそうです(他の鉄道会社もそうかもしれません)。緊急事態宣言とは完全に矛盾するのであり、支離滅裂というべきでしょう。

 第二に、また酒類提供が犠牲になりそうですが、その効果は本当にあったのでしょうか。飲食店に大打撃を与えたことが効果の一つであったということはありますが、感染防止に効果があったのかということが十分に検証された、というような話を聞いたことがありません。ここはデータが必要ですが、朝日新聞社のサイトに7月5日5時付で掲載された「未完の最長政権 第4部 第1回 安倍氏から菅首相に続く『説明しない政治』 御厨貴氏」(https://www.asahi.com/articles/ASP7361YNP61USPT00R.html)での御厨氏の発言の通りですから、仮に政府内に検証データがあるとしても、公開されないでしょう(すぐに廃棄されている可能性はあります)。

 第三に、期間です。これまでの3回の緊急事態宣言は、いずれも当初は1か月程度が想定され、その後に延長されています(しかも小出しです)。また、何故にその期間なのかということについて説明がありません。第4回も同様でしょう。8月22日は日曜日で、旧盆が明けるからということなのでしょうか。

 2020年と同じように、7月に感染者数が増えています。しかも、日本に限った話ではなく、世界的にも増えています。COVID-19に関する限り、日本はアジアの劣等生的存在ですが、優等生的存在であった国でも増えているのです。今後、日本だけはそうならない、という保証は全くありませんし、そのように考えるべきではありません。

 私も、できるだけのことをしなければ……。

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