Yahoo! Japan Newsに、今日(2021年7月7日)、東京都で新たにCOVID-19に感染した人が900人を超えたと報じられていたのを見たと思ったら、日本全国では2100人を超えたと報じられています。そして、やはりというべきか、予想より早いというべきか、第4回緊急事態宣言が出される可能性が高まっています。時事通信社が、今日の20時34分付で「東京、4回目の緊急事態 8月22日まで、措置延長から一転—政府、8日に決定」として報じています(https://www.jiji.com/jc/article?k=2021070700720&g=pol&utm_source=top&utm_medium=topics&utm_campaign=edit)。
以上のように記しましたが、忘れてはいけないことがあります。第3回緊急事態宣言はまだ終わっていないのです。沖縄県で続いています。ただ、東京都は解除されていますから、第4回と記して差し支えありません。
東京都については、YouTubeなどではマンボウとしておなじみの「まん延防止等重点措置」が適用されており、これが今月11日までとなっています。7月に入る少し前頃から東京オリンピック開催の動きが活発化されているので、マンボウも終えるのではないかとすら予想されていただけに、6月20日に解除されてから1か月もしないうちに4回目の緊急事態宣言というのは、少なからぬ方々の予想よりも早いのではないかと思われます。また、沖縄県については第3回緊急事態宣言が延長されることになるようです。
第4回緊急事態宣言は、時事通信社の報道によると8月22日までとなっています。沖縄県への延長も同じです。第2回と第3回で小出し状態としか言い様がない状態であったことで、緊急事態宣言の意味が薄れてしまい、効果もあまりないようでしたが、第4回についても同じこと、あるいはもっとひどくなることでしょう。何せ、東京オリンピックを「無観客」で開催することになりそうなのですし、小出しであることに変わりはなさそうであるからです。
ここで「無観客」とカギ括弧付きで記したのは、文字通りの無観客ではないからです。チケットを購入した一般の観客を入れないという程度の意味であって、関係者や、今や「五輪貴族」と言われる方々についてはこの限りではないからです。レトリックなのか何なのか、観客ではないというような位置づけを与えられているようです。また、東京都内での小学校や中学校などでは児童や生徒が観戦に動員されることになっていますが、こうした児童や生徒も観客に入れていないのです。どう考えてもおかしな理屈ですし、辞退を求める保護者が多いのも当然です。
私が児童や生徒の動員の話を最初に聞いた時、大分大学在職中に大分県で行われた国民体育大会のことを思い出しました。朝、大分大学へ向かう際に豊肥本線の臨時列車を見て、いつもであれば1両単行か2両編成しか走らないような路線に(特急でも3両か4両編成でした)、5両か6両が連結された列車が走っていたのです。大学に到着して、すぐに県内の生徒たちが観戦に動員されたということを知りました。おまけに、東京オリンピックに反対する人は反日であるとまで書かれた記事も公表されています(B国のRdJでのMさんがそう言ったとか)。昭和10年代が形を少しばかり変えて蘇ったのでしょうか。
それにしても前代未聞の話でしょう。緊急事態宣言が出される中でオリンピックを行うというのですから。Emergencyというサインが出ていて、お祭りでも何でもやろうという人はほとんどいないでしょう。いくら日本人の多くが英語を苦手としているとしても、Tokyo under state of emergencyと書かれているのを見た外国人はどう思うか、ということくらいは簡単に想像できるはずです。
COVID-19の蔓延状況を戦争に喩えた人がいますが、よく考えれば当然の話で、緊急事態であることに変わりはなく、このような中でオリンピックをやること自体が異常です。古代オリンピック開催中にはギリシアのポリスが戦争を中断したという話を聞いたことがありますが、それは戦闘行為であるから可能であった訳で、ウイルスには関係のないことです。
しかも、ワクチンは急に不足状態になっていますから、既に川崎市から接種券が届いている私も、果たしていつ接種してもらえるのかわかりません。変異種が猛威を振るう中でワクチンの効果がどれだけあるのかと疑わしくもなりますが(全く効果がないという訳でもないようですが)、とにかく世界的に見ても先進国とは思ってくれないほどに遅れている日本ですから、私も含めていつ何処で誰が観戦、ではなくて感染してもおかしくなく、新規感染者数が増えても驚きません。
二兎を追う者は一兎をも得ず。YouTubeの「一月万冊」で本間龍さんや佐藤章さんなど出演者の方々が言われていますが、東京オリンピックを中止するということにしておいたら、感染対策とオリンピックという二兎を追う必要はなかったのです。両方を得るといっても余程の戦略を練らなければ、感染対策かオリンピックかという選択になりやすいですし、どちらか一方に力を注ぐか、どちらにも中途半端に取り組むか、ということになります。残念ながら、日本は両方に中途半端な力の入れ方をした、と言えそうです。それならば、最初から二兎を負わなければよい訳で、本来であれば2020年の段階で中止を決断すべきでした。あるいは2022年まで延期ということであれば、話は少しばかり違った可能性もあります。当時の段階でも1年延期に反対する意見は少なくなかったのでした。歴史的に見ても、パンデミックは1年で収束しないということがわかるからです。つまり、1年延期は最悪の選択肢であったというのは、結果論ではなく、2020年の方針決定の段階でも合理的に推論できたことなのでした。
ともあれ、第4回緊急事態宣言が出されたところで、効果は期待できそうもありません。
第一に、東京都だけを対象とする意味が何処まであるのかということです。隣接県などから通勤、通学などのために東京都内に行く人は多い訳で(逆に東京都内から通勤や通学などのために神奈川県などへ行く人も多い訳です)、公共交通機関を完全に停める、道路網を完全に遮断する(少なくとも、一定の貨物輸送に限定する)というようなことでもしなければ、感染を食い止めることはできないでしょう。以前、このブログでも取り上げましたが、JRや東京メトロではオリンピックの期間中に、しかも深夜帯などに臨時列車を運行するそうです(他の鉄道会社もそうかもしれません)。緊急事態宣言とは完全に矛盾するのであり、支離滅裂というべきでしょう。
第二に、また酒類提供が犠牲になりそうですが、その効果は本当にあったのでしょうか。飲食店に大打撃を与えたことが効果の一つであったということはありますが、感染防止に効果があったのかということが十分に検証された、というような話を聞いたことがありません。ここはデータが必要ですが、朝日新聞社のサイトに7月5日5時付で掲載された「未完の最長政権 第4部 第1回 安倍氏から菅首相に続く『説明しない政治』 御厨貴氏」(https://www.asahi.com/articles/ASP7361YNP61USPT00R.html)での御厨氏の発言の通りですから、仮に政府内に検証データがあるとしても、公開されないでしょう(すぐに廃棄されている可能性はあります)。
第三に、期間です。これまでの3回の緊急事態宣言は、いずれも当初は1か月程度が想定され、その後に延長されています(しかも小出しです)。また、何故にその期間なのかということについて説明がありません。第4回も同様でしょう。8月22日は日曜日で、旧盆が明けるからということなのでしょうか。
2020年と同じように、7月に感染者数が増えています。しかも、日本に限った話ではなく、世界的にも増えています。COVID-19に関する限り、日本はアジアの劣等生的存在ですが、優等生的存在であった国でも増えているのです。今後、日本だけはそうならない、という保証は全くありませんし、そのように考えるべきではありません。
私も、できるだけのことをしなければ……。