期末試験(本試験)および追試験の採点が終わりましたので、試験問題をここに公表しておきます。まずは期末試験(本試験)で、7月27日に実施されました。なお、〔1〕は、私のサイト「川崎高津公法研究室」をお読みの方であればおわかりの、私自身も取り組んでいた実話を基にしています。
次の問題の中から1題だけを選択し、解答しなさい(2題以上について解答した場合には採点しない。なお、解答用紙に選択した問題番号を記すこと)。
〔1〕パチンコ屋やゲームセンターなどを経営するXは、A市にY競輪場(Y市が運営している)の場外車券売場を建設する計画を建てた。この場外車券売場は、Xが所有する土地の上にXが所有する建物を建て、それをY市に賃貸し、Y市が車券を販売するというものである。競輪事業の売上減少と赤字に苦しむY市は、このXの計画に期待をかけ、自らY競輪場A場外車券売場設置計画を立てた。その内容は、Xに対して場外車券売場の建物を賃借し、そこで車券を販売し、売上の5%ほどをXに賃借料として支払うというものである。また、Xは、経済産業大臣から場外車券売場設置許可を得た。しかし、A市が場外車券売場設置計画に反対し、経済産業大臣を相手取って場外車券売場設置許可の取消を求める訴訟を提起したこと、Y市で市長選挙が行われ、場外車券売場設置計画を推進してきた現職市長が敗れたことなどから、新市長は、この計画の推進を白紙に戻すこととした。A市やA市民からは歓迎されたが、場外車券売場設置の準備を進め、一部着工していたXは、結局中止せざるをえなくなったなどとして、Y市に対して損害賠償を請求する訴訟を起こした。Xの請求は認められるべきか。判例・学説の動向に留意しつつ、論じなさい。
〔2〕次に掲げる(1)および(2)の規定を読み、(2)の規定の問題点などについて、判例・学説の動向に留意しつつ、論じなさい。
(1)銃砲刀剣類所持等取締法
第14条 都道府県の教育委員会は、美術品若しくは骨とう品として価値のある火縄式銃砲等の古式銃砲又は美術品として価値のある刀剣類の登録をするものとする。
2 銃砲又は刀剣類の所有者(所有者が明らかでない場合にあつては、現に所持する者。以下同じ。)で前項の登録を受けようとするものは、文部科学省令で定める手続により、その住所の所在する都道府県の教育委員会に登録の申請をしなければならない。
3 第1項の登録は、登録審査委員の鑑定に基いてしなければならない。
4 都道府県の教育委員会は、第1項の規定による登録をした場合においては、速やかにその旨を登録を受けた銃砲又は刀剣類の所有者の住所地を管轄する都道府県公安委員会に通知しなければならない。
5 第1項の登録の方法、第3項の登録審査委員の任命及び職務、同項の鑑定の基準及び手続その他登録に関し必要な細目は、文部科学省令で定める。
(2)銃砲刀剣類登録規則(文化財保護委員会規則第一号。文部科学省令としての効力を有する。)
第4条 (第1項は略)
2 刀剣類の鑑定は、日本刀であつて、次の各号の一に該当するものであるか否かについて行なうものとする。
一 姿、鍛え、刃文、彫り物等に美しさが認められ、又は各派の伝統的特色が明らかに示されているもの
二 銘文が資料として価値のあるもの
三 ゆい緒、伝来が史料的価値のあるもの
四 前各号に掲げるものに準ずる刀剣類で、その外装が工芸品として価値のあるもの
〔3〕某県の教職員であるA、BおよびCは、それぞれ、勤務する県立高校で開催された卒業式や入学式などの行事において、国歌斉唱時に起立しなかった、ピアノ伴奏を拒否した、一時退席したという理由により、懲戒処分を受けた。内訳は、Aは停職1か月、Bは減給(10分の1)3か月、Cは戒告である。A、BおよびCは、これらの処分が重きに過ぎ、違法であるとして、取消を求めて出訴した。裁判所はいかなる判断をなすべきか。学説や判例の動向に留意しつつ、論じなさい。
【参照条文】
地方公務員法第29条第1項
職員が次の各号の一に該当する場合においては、これに対し懲戒処分として戒告、減給、停職又は免職の処分をすることができる。
一 この法律若しくは第五十七条に規定する特例を定めた法律又はこれに基く条例、地方公共団体の規則若しくは地方公共団体の機関の定める規程に違反した場合
二 職務上の義務に違反し、又は職務を怠つた場合
三 全体の奉仕者たるにふさわしくない非行のあつた場合」
地方教育行政の組織及び運営に関する法律第47条第1項(抜粋)
この法律に特別の定めがあるもののほか、県費負担教職員に対して地方公務員法を適用する場合においては、同法中次の表の上欄に掲げる規定の中欄に掲げる字句は、それぞれ同表の下欄に掲げる字句とする。
規定
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読み替えられる字句
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読み替える字句
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第29条第1項第1号
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この法律若しくは第57条に規定する特例を定めた法律
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この法律、第57条に規定する特例を定めた法律若しくは地方教育行政の組織及び運営に関する法律
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