ひろば 川崎高津公法研究室別室

川崎から、徒然なるままに。 行政法、租税法、財政法、政治、経済、鉄道などを論じ、ジャズ、クラシック、街歩きを愛する。

こうなったら自公国連立政権か、しかし部分連合しかないか?

2024年11月22日 00時00分00秒 | 国際・政治

 昨日(2024年11月21日)付の朝日新聞朝刊1面14版△トップ記事「『103万円の壁』引き上げ合意 自公国 経済対策に明記」などで報じられたように、一昨年(11月20日)に、自由民主党、公明党および国民民主党が政府の総合経済対策について合意をしました。実際のところはどうなのか、詳細な検討を行うべきかもしれませんが、さしあたり、国民民主党が求めている政策が取り入れたということになっています。103万円の壁の引き上げ、ガソリン減税の検討が明記されたとのことです。

 やはり昨日の朝日新聞朝刊の⒋面14版に「国民民主が要望書 税制改正 与党、来週にも回答」という記事が掲載されており、それによると「国民民主党が与党に示した税制改正についての要望」は次の通りとなっています(記事の表現をそのままお借りしておきます)。

 「<最重点>

・所得税の基礎控除などを103万円から178万円に引き上げ

・特定扶養控除の年収要件の引き上げ

・ガソリン減税(トリガー条項発動、暫定税率廃止、二重課税廃止)

 <重点>

 ・年少扶養控除の復活、扶養控除の維持・拡大

 ・消費税5%への時限的引き下げ、単一税率、インボイス廃止

 ・中小企業への賃上げ支援のため、赤字でも賃上げした企業に固定資産税などを減免

 ・AI(人工知能)や半導体、蓄電池などの成長分野での投資を優遇する措置の導入

 ・暗号資産に関する税制と規制の見直し

 <その他>

 ・所得税に塾代の控除制度を創設、単身赴任手当を非課税に

 ・年末調整制度を見直し、全員確定申告制度を導入

 ・金融所得課税の強化

 ・移住促進の税制を創設」

 4面14版記事によれば「自民、公明両党と国民民主党の税制調査会長が20日、来年度の税制改正に向けて本格的な協議を始めた」、「国民民主が求める、課税の最低ラインを年収103万円から178万円に引き上げた場合、政府は7兆~8兆円の税収減になると試算している」、国民民主党の「古川元久税調会長は記者団に、「政府の懐から国民のみなさんの懐に移るので、当然経済効果もある」と強調。経済効果の試算を示すよう与党側に求めた」とのことです。

 ここまで話が進んでいるのであれば、2025年度税制改正大綱は「自由民主党および公明党」ではなく「自由民主党、公明党および国民民主党」という形で出すほうがよいのではないかとも思えてくるのですが、第2次石破茂内閣に国民民主党員の国務大臣はおりませんので、部分連合の枠は崩さないのでしょう。しかし、いつ自公国連立政権が実現してもおかしくないということになるかもしれません。一方で、国民民主党が求める政策の一部でも取り入れられず、税制改正大綱に盛り込まれないとすれば、国民民主党が部分連合を離脱する可能性もあります。

 まずは11月28日に召集されるという臨時国会(第216回国会)において提出されることになっている2024年度補正予算が成立するかどうかでしょう。自由民主党、公明党は勿論賛成するでしょうし、国民民主党も賛成する可能性が高いようです。次に2025年度税制改正であり、ここが一つの山場あるいは分岐点になるでしょう。国民民主党が部分連合からの離脱するという事態になると、2025年度税制改正のための与党税制改正大綱も政府税制改正大綱も決定されたのに、衆議院で税制改正に関する法律案が可決されないという、おそらくは前代未聞の結末につながりかねません(通例では税制改正に関する法律案は先に衆議院に提出されます)。これでは2025年度予算が成立したとしても滅茶苦茶な状況になりかねないので、避けなければならないでしょう。

 こうなると、部分連合のままでは不安が残ります。何せ、衆議院の会派別の議員構成数は次のようになっているからです。

 自由民主党・無所属の会:196

 立憲民主党・無所属:148

 日本維新の会:38

 国民民主党・無所属クラブ:28

 公明党;24

 れいわ新選組:9

 日本共産党:8

 有志の会:4

 参政党:3

 日本保守党:3

 無所属:4

 欠員:0

 計:465

 自由民主党と公明党を合わせると220となりますが、これでも過半数に達しません(約47%ですから)。国民民主党を合わせれば248で、これでようやく過半数となります(約53%)。今後の展開によっては、連立政権の構成政党が一つか二つ増えなければ国政も何も進まなくなるのではないでしょうか。


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