ひろば 川崎高津公法研究室別室

川崎から、徒然なるままに。 行政法、租税法、財政法、政治、経済、鉄道などを論じ、ジャズ、クラシック、街歩きを愛する。

オンライン授業の格差

2022年02月07日 00時00分00秒 | 受験・学校

 COVID-19を受けて、日本でもようやくオンライン授業が進められました。しかし、市町村によって状況は異なるようで、同一都道府県内での格差も見られるようです。今でも在宅ワークを理解できない人がいるらしいので、或る意味で仕方のないところかもしれませんが、そうも言っていられない問題になっています。毎日新聞社のサイトに、2022年2月5日付の「結局PC使わずプリント配布 オンライン授業に格差 保護者の不満」という記事(https://mainichi.jp/articles/20220205/k00/00m/040/023000c)があり、埼玉県での事例が紹介されています。

 同県の全市町村について紹介されている訳ではないので、断片的に知るくらいしかできませんが、それでも或る程度の事情は理解できる内容です。

 大学でのオンライン授業や在宅ワークの増加で、インターネット接続が上手くいかないことが多くなりました。日本の回線状況が国際的な観点からすればどの程度なのかわかりませんが、どのような回線でも容量は限られていますので、インターネットの利用者や利用時間が増えれば限界に達することは明らかです。そのことを市町村の教育委員会などはどの程度までわかっていたのでしょうか。

 上記記事によると、さいたま市内では2021年度の2学期に小中学校のハイブリッド授業(教室での授業とオンライン授業との併用)が行われたのですが、やはり接続できない、あるいは接続はできても教材を開くことができない、などのトラブルが多かったようです。そこで、3学期が始まる前に接続テストを実施したそうです。ただ、テストは成功しても本式の運用が上手くいくかどうかはわかりません。さいたま市教育委員会も、負荷のかかり方を気にしているようです。ちなみに、2月3日において、市内の56の小学校で179の学級、17の中学校で56の学級が閉鎖となっています。

 埼玉県内でオンライン授業の環境整備が進んでいるとされているのは久喜市であるそうです。同市の全小中学校では選択登校制が取り入れられました(記事の内容からして1月31日からの週に始まったということでしょう)。大学であれば、オンライン授業の参加を確認できれば出席として扱うのが当然と言えますが、それは多くの大学で採用されているmanabaのresponという出席票発行機能があればこそとも言えますし、試行錯誤が続いている面もあります。久喜市の具体的なシステムはわかりませんが、上記記事によれば「当初は『出席停止・忌引等』として扱っていたが、感染拡大を受け、オンライン授業への参加や学習内容の定着が確認できれば市独自の措置として『出席』扱いとする」そうです。「独自」という点に引っかかりを覚えるのは私だけでしょうか。

 上記記事では市町村名が示されていませんが、オンライン授業の導入が進んでいない市町村もあるようです。県東部と書かれているにすぎない或る市町村では、2月から分散登校をはじめたようです。オンラインでの生授業も配信できるように市(の教育委員会?)が支援しているようですが、実際には2020年に各家庭のPCからWi-FIで接続しただけで、学級閉鎖になっても課題プリントの配布があっただけだったという話もあります。最近では文部科学省のギガスクール構想(2020年2月から)によって児童・生徒にノート型PCやタブレット型PCを配布することになっているはずですが、それもなかったということのようです。

 同記事を読んでいて、正直に「わからない」と思ったのが、県中央としか書かれていない市町村の話です。昨年、「第5波」の際に、その市町村の小学校でPCが配布されたそうで、「接続して、会話の時にオン、オフにする程度は練習したが、実用はほぼしてなかった。学級閉鎖になったら授業できるのか不安だ」というのです。これでは全く意味がないでしょう。実用をすることができなければ、何のためにPCを配布したのかがわかりません。オンライン授業を普及させるには機械だけでなく人の問題もありますから、一日や二日で準備が終わる訳ではないのですが、急ぐ必要はあります。

 ここまで記してきたことは、大なり小なり、他の都道府県についても妥当することでしょう。

 さて、話題を変えることとなりますが、上記記事に全く書かれていないことで非常に気になっている点があります。文部科学省のギガスクール構想です。「吉田製作所」というYouTubeのチャンネルによると、この構想で推奨されているノート型PCやタブレット型PC(いずれもMicrosoft Windows 10 ProかGoogle Chrome OS)の性能が非常に低く、使い物にならないそうです。文部科学省のサイトに、2019年12月19日付の「GIGAスクール構想の実現パッケージ〜令和の時代のスタンダードな学校へ〜」(https://www.mext.go.jp/content/20200219-mxt_jogai02-000003278_401.pdf)という文書が掲載されており、そこに「学習者用端末の標準仕様」が示されています。「5万円程度の価格帯」とされており、次のようになっています。

 ①Microsoft Windowsの場合

 OSはMicrosoft Windows 10 Pro

 CPUはIntel Celeron同等以上で2016年8月以降に製品化されたもの

 ストレージは64GB

 メモリは4GB

 画面は9インチから14インチまで

 ②Google Chirome OS

 OSはGoogle Chrome OS

 CPUはIntel Celeron同等以上で2016年8月以降に製品化されたもの

 ストレージは64GB

 メモリは4GB

 画面は9インチから14インチまで

 ③iPadOS(iOS)

 OSはiPadOS

 ストレージは32GB

 画面は10.2インチから12.9インチ

 他にも書かれていることがありますが、ここでは省略します。

 現在、私はMicrosoft WindowsやGoogle Chirome OSを使用していないのでよくわかりません。そこでiPadOSの箇所を見ます。

 iPadについてはWi-FiモデルなのかWi-Fi+Cellularモデルなのかがわからないのですが、おそらく、Wi-Fiモデルであれば十分ということなのでしょう。少なくとも学校でWi-Fi環境が整備されていればWi-Fi+Cellularモデルである必要もないので、Wi-Fiモデルとしておきます。Wi-Fi+Cellularモデルでは価格もそれなりに高くなるという理由もあります。

 まず、非常に気になるのはiOSのヴァージョンが全く書かれていないことです(同様のことはGoogle Chrome OSにも言えるのですが、このOSについてはよく知りません)。iPadの場合は購入時点で最新ヴァージョンのOSが入っていることが多いですし(細かいヴァージョンアップは購入直後に行う必要があります)、32GBでも十分に動くからでしょう。実際、第9世代になってから64GBモデルと256GBモデルが発売されるようになりましたが、第8世代までは32GBモデルと128GBモデルが発売されていました。

 ただ、32GBモデルを使ってオンライン授業でZoomやWebexを起動し、さらにWord、Excel、PowerPoint、Pages、Numbers、Keynoteというようなアプリも使うとなるとどうでしょうか。アプリによってはかなりのギガ使用量になりますから、残り容量には十分な注意を払う必要があります。32GBモデルでは、教材の保存などを考慮すると力量不足になってしまうかもしれません。少し高額でも128GBモデルのほうが使い勝手がよいかもしれません(ちなみに、私が2018年5月12日から2022年1月28日まで使用していたiPad第6世代のストレージは128GBです)。

 現行のiOSのヴァージョンが15.3であることと関係があるかもしれませんが、現行モデルであるiPad第9世代、iPad miniおよびiPad Airのストレージは64GBか256GBで、iPad Proであれば最低でも128GBです。5万円程度の価格帯ということからすれば、小中学校で使うのはiPad第9世代の64GBということになるでしょう(4万円でお釣りが来ます)。Wi-Fi接続さえ上手くいけば上記の①(Microsoft Windows 10 Pro)など問題にならないほどに活躍してくれるでしょう。なお、iPhone12およびiPhone13のストレージは64GB、128GB、256GBの三種類となっており、iPhone11のストレージは64GBと128GBの二種類、iPhone SEのストレージは64GBです。

 先程記した「吉田製作所」の動画によると、上記の仕様ではMicrosoft Windows 10 Proなど全く使い物にならないそうです。とくにCPUがよくないようですし、メモリが4GBでは処理に時間がかかるようです。何故HomeではなくProなのかと疑問に思いますし、Windows機の場合、Macと異なって最初からあれこれのソフト(アプリ)が最初からインストールされていることが多いので、実際に使えるストレージの容量はそれほど多くないということになります。また、大規模、小規模の別を問わず、OSのヴァージョンアップをする必要がありますが、大規模なヴァージョンアップであればメモリもストレージも相当の量を使います。見極めが難しいとはいえ、最初から或る程度は大きな容量を見込んでおかないと、1年も経つか経たないかのうちにPCが使い物にならなくなります。私も大学院生時代から長らくWindowsを使っておりましたから、メモリ不足、ストレージ不足には何度も悩まされました。

 文部科学省が示した仕様はあくまでも標準で「あくまでモデルであり、各自治体が各学校での活用を想定して仕様書を作成」となっていますが、PCに詳しくない人が担当して仕様書を作成したら大変なことになると思いました。私の経験からしても、オンライン授業を上手く進めるには、Wi-Fiや光回線の使用環境という問題があるとはいえ、それなりの性能を有するPCを使わなければ話になりません。

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駅の定期売り場が減っていく(続)

2022年02月06日 00時00分00秒 | 日記・エッセイ・コラム

 東急田園都市線溝の口駅の定期券売場が今年の2月28日に営業を終了することは、このブログでも写真で紹介しました

 私は、大学院生時代の5年間、通学のため溝の口駅を利用していました。当時の定期券売場は現在のetomoの場所にあり、テコプラザ(現在の東急トラベルサロン)も同居していました。いつも客が多かったことを思い出します。テコプラザも何度か利用しており、神戸港から大分港までのフェリーの予約などもしてもらったことを覚えています。

 当時は、まだ自動券売機で定期券を購入できるようにはなっていなかったのでした。そのためもあって、定期券売場のある駅は多かったのです。

 溝の口駅で乗り換えることができるJR南武線の場合は、浜川崎支線の駅はわかりませんが川崎駅から立川駅までの、分倍河原駅を除くどの駅でも定期券を購入できました。これに対し、東急や営団など多くの私鉄では、定期券は定期券売場のある駅でなければ買えなかったのです(例えば、1980年代から90年代にかけて、日比谷線であれば恵比寿駅や霞ヶ関駅には定期券売場がありましたが、六本木駅などにはなかったのでした)。

 記憶の限りではありますが、大学院生時代に東急線で定期券売場があった駅は、渋谷駅(東横線、田園都市線のそれぞれ)、祐天寺駅、自由が丘駅、武蔵小杉駅、日吉駅、菊名駅、横浜駅、目黒駅、大岡山駅、蒲田駅、五反田駅、旗の台駅、雪が谷大塚駅、大井町駅、三軒茶屋駅、二子玉川駅、溝の口駅、鷺沼駅、あざみ野駅、青葉台駅、長津田駅、中央林間駅、上町駅です。元住吉駅にもあったかもしれません。

 しかし、コロナ渦より前から、駅の定期券売場は消滅しつつありました。定期券販売機能のある自動券売機が増えましたし、現在ではスマートフォンで購入することもできます。そのため、現在では渋谷駅、自由が丘駅、日吉駅、横浜駅、二子玉川駅、鷺沼駅、あざみ野駅、青葉台駅にのみ定期券売場があります。

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モロゾフのビートル(5)

2022年02月05日 00時00分00秒 | 日記・エッセイ・コラム

今年も我が家のビートルが増えました。

 2022年版、モロゾフのチョコレートのおまけです。妻が渋谷のヒカリエにある東横のれん街で買ってきてくれました。これまでになかった色ですが、なかなかよいものです。

 モロゾフがこの時期になるとビートルのミニカー付きのチョコレートを販売する理由が気になります。何か、ビートルにこだわりでもあるのでしょうか。ポルシェでもフェラーリでもベンツでもフェアレディZでもなく、ビートルが選ばれるのはどうしてなのかな、と思っています。まあ、このビートルほど、何色でも似合う乗用車はないし、世界的にもファンが多いからでもありましょう。

 このように記す私は、約8年10か月間、ポロを運転しています。その前が5代目ゴルフです。実は、現在も5代目以降のゴルフを好んでおり、また乗りたいと思っています。まとまったデザインのハッチバックという点に魅力を感じます。これはベンツやBMWにもないところです。私はベンツやBMWに乗ったことがないのでよくわからないのですが、ゴルフの実用性の高さには感心させられました。ワゴン車のヴァリアントも乗ってみたいと思っています。ワゴン車も好きなのです。

 長期間製造されてきたビートルと、モデルチェンジを重ねつつ、やはり長期間製造されているゴルフ。スタイルから何から違いますが、根底に共通点があるような気がします。それは、実用性とスタイルの両立であると思われます。

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函館本線の山線/大糸線(南小谷駅〜糸魚川駅) 存廃論議

2022年02月04日 00時15分00秒 | 社会・経済

 今回は二題噺のようなものです。こう記しましたが、地域の交通事情という点においてはかなり深刻な問題です。

 ※※※※※※※※※※

 まずは、このブログでも取り上げたことのあるJR北海道の函館本線です。2021年12月30日8時付の「函館本線山線区間の命運は?」において記しましたように、この北海道随一の大幹線のうち、長万部駅から小樽駅までの区間は山線ともいわれ、運行本数も乗客も少ない区間です。しかも、北海道新幹線が開業すれば並行在来線となり、JR北海道から切り離される可能性が高くなります。これまで協議が続けられてきましたが、2022年に入ってから動きがありました。朝日新聞社のサイトに昨日(2022年2月3日)の17時付で掲載された「JR函館線の長万部−余市間廃止固まる 並行在来線問題」という記事(https://www.asahi.com/articles/ASQ235JFGQ23IIPE018.html)によると、昨日、北海道と沿線9市町の会議において、長万部駅から余市駅までの区間についてはバス転換を容認するということで方針が固まりました。

 ここでお察しの方もおられるでしょう。並行在来線というならば、函館本線の函館駅から小樽駅か札幌駅までの区間が並行在来線ではないのか、と。そうです。並行在来線は山線区間に限られません。函館駅から小樽駅までの区間が該当します。小樽駅から札幌駅までの区間も北海道新幹線と並行するのですが、大都市圏内であり、かつ利用客数も多い区間であるため、JR北海道は小樽駅から札幌駅までの区間を手放しません。並行在来線の定義もいい加減なもので、例えば関東地方であれば東海道本線、東北本線、高崎線および上越線も並行在来線のはずですが、そのようには言われません。しかし、信越本線は並行在来線とされ、碓氷峠越えで有名であった横川駅から軽井沢駅までの区間は並行在来線として廃止されてしまいました(最初の例です)。むしろ、並行在来線というなら東海道本線、東北本線、高崎線および上越線こそJRから切り離すべきでしょう(かなり過激かつ的外れな意見であることは承知しています。上越線はともあれ、東海道本線、東北本線および高崎線であれば、引き受ける大手私鉄もあるはずです。例えば、東海道本線なら東急、小田急、京浜急行、東北本線および高崎線なら東武、というように)。

 詳しいデータが手元にないのですが、長万部駅から余市駅までの区間は特に利用客数が少なく、輸送密度または平均輸送人員もかなり小さい数字です。1980年代によく用いられた第三セクター方式によっても採算が合わないと判断されたのでしょう。思い起こせば、1980年代の廃線の嵐の中で、北海道の特定地方交通線はほとんどが廃止されてしまい、第三セクター方式で残されたのは池北線だけでした。この点は、特定地方交通線の中で日中線のみが完全に廃止となった東北地方と著しい対照をなしています(その後、弘南鉄道に引き継がれた黒石線と下北交通に引き継がれた大畑線は廃止されています)。池北線も、北海道ちほく高原鉄道ふるさと銀河線として残ったものの、結局は2006年4月に廃止されました。人口、気象などを考慮すると、北海道は鉄道経営に厳しい環境であるとも言えます。

 ともあれ、長万部駅から余市駅までの区間の廃止は決定的となりました。山線の中では余市駅から小樽駅までの区間がどうなるのかという問題が残っていますが、余市町が第三セクター方式による鉄道路線の存続を求めているようです。小樽市は態度を保留しています。JR北海道の経営状況からすれば、この区間の前途もあまり明るいものではありません。

 前述のように、北海道新幹線の並行在来線として扱われる区間は函館駅から小樽駅までなのですが、函館駅から長万部駅までの区間がどうなるのかはわかりません。議論が進んでいないようです。ただ、この区間にある池田園駅、流山温泉駅、銚子口駅、石谷駅および本石倉駅は、今年の3月に行われるダイヤ改正に伴い、廃止されることとなっています。やはり、前途は明るくありません。

 ※※※※※※※※※※

 次に、このブログでも何度か名称を出した大糸線です。この路線は長野県にある松本駅(篠ノ井線、アルピコ交通上高地線)と新潟県にある糸魚川駅(北陸新幹線、えちごトキメキ鉄道日本海ひすいライン)とを結んでおり、歴史的経緯から路線名は途中の信濃大町駅と糸魚川駅のそれぞれから1字ずつとられています(余談ですが、このような場合に訓読みで通す路線名はJRにおいて珍しく、他に米坂線しかありません)。また、大糸線は、松本駅から南小谷駅までの区間が電化区間でJR東日本、南小谷駅から糸魚川駅までの区間が非電化区間でJR西日本となっています。

 今回問題となったのはJR西日本が運行する区間で、「やはり」という印象を受けました。朝日新聞社が、今日の11時43分付で「JR西、大糸線の存廃議論へ 一部区間、沿線自治体と協議」(https://www.asahi.com/articles/ASQ233SLZQ23PLFA002.html)という記事で報じているところによると、今日、JR西日本がこの区間の存廃について沿線自治体と協議を始めると発表しました。1月11日1時付の「いよいよJR西日本の不採算路線廃止への動きが?」においても記したように、JR西日本は経営状態の悪化から不採算路線の見直しを表明しており、その具体的な動きがとられたということです。

 大糸線の南小谷駅から糸魚川駅までの区間の平均輸送人員は、2018年度で102です。これは、芸備線の東城駅から備後落合駅までの区間の9、同じ芸備線の備中神代駅から東城駅の73に次いで低い数字です。大糸線のJR西日本の区間における平均輸送人員は、上記朝日新聞社記事によると1992年度にピークを迎えたそうですが、それでも1282人でした(この区間だけであれば間違いなく特定地方交通線に指定されるレヴェルです)。2019年度は102人、2020年度は50人であったとのことです。

 大糸線がJR東日本の区間とJR西日本の区間とに分かれている理由はよくわかりませんが、国鉄時代に長野鉄道管理局(松本駅から南小谷駅までの区間)、金沢鉄道管理局(南小谷駅から糸魚川駅までの区間)が担当していたことの名残なのでしょう。ただ、この路線を利用する通勤通学客や観光客は、圧倒的にJR東日本の区間に多いようです。それは、JR東日本の区間に安曇野市や大町市があるということから推測できます。また、歴史的に見ても、松本駅から信濃大町駅までの区間(私も一度利用しています。信濃大町駅が黒部アルペンルートの入口であるためです)は、信濃鉄道という私鉄によって開業しました。採算なり需要なりが見込まれたからでしょう。

 JR西日本は、既に芸備線の一部区間についても動いていますが、今回、大糸線についても動きを見せたことで、営業路線の見直しを本格化させました。今後、北陸地方や中国地方において、少なからぬ路線が対象となり、JR西日本から切り離されるかもしれません。その際、安易な第三セクター化は望ましくないでしょう。何故なら、第三セクターの多くは経営責任などが曖昧になりがちで、公的セクターと私的セクターの悪い部分のみがよせ集まってしまうということになりがちであるためです。それに、第三セクター自体は民間会社であるとしても公的投資の対象となっていることから、都道府県や市町村の財政を悪化させる可能性もあります。さりとて、民間のバス会社などに引き受けてもらうという訳にもいきません。沿線自治体などの様子を見ても、何処まで本気に鉄道を活性化させようとしているのか、疑問視せざるをえない部分もあります。

 また、大糸線のJR西日本の区間が廃止されるとなれば、JR東日本の区間にも影響が出る可能性はあります。これまでの廃線の歴史を見ても、一部区間の廃止によって一時的には状況が改善されても、結局は全区間の廃止に至ってしまうことが少なくないのです。さしあたりは信濃大町駅から南小谷駅までの区間が影響を受けるのではないか、と懸念されます。

 日本においては何かと「公」が強調されますが「公共」や「公益」に対する関心は低いのではないかと思う今日この頃です。

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「である体」と「ですます体」の混用

2022年02月03日 07時00分00秒 | 受験・学校

 毎年、期末試験やレポートなどを読んでいると、必ず何通について「である体」と「ですます体」との混用が見受けられます。

 引用部分があるのであればわかるのですが(むしろ、引用は原文に忠実でなければなりませんから)、地の文章で混用が見られるのです。

 何らかの意図があるということが明らかであれば、こちらも読んでわかりますから問題視はしません。

 おそらくは意図も何もなく混用していると思われる文章が目に付くのです。例えば、このような感じです。

 「憲法第29条第3項によれば、損失補償の中身は『正当な補償』でなければならないのですが、その意味については大きく分けると二つの見解が存在する。

 第一は、相当補償説です。この考え方によると、補償は、当時の経済状態において、社会国家の理念に基づき、客観的かつ合理的に算出された相当な額であることが必要であり、かつ、それで足りるということになります。

 第二は、完全補償説である。この考え方によると、私的財産の収用(など)の前後を通じて被収用者の財産価値を等しくするような補償が必要とされることになります。」

 とりあえず、このブログに掲載している行政法講義ノート〔第7版〕の「第42回 損失補償法制度(その2)」を修正の上で引用しましたが、いかがでしょうか。文体を混用させると、文章のリズムを崩すので、見た目にもよくありませんし、読みにくいでしょう。声を出して読めば、調子がおかしいことに気付くはずです。

 私も、講義の際には(口頭ですから)「ですます体」を基調にしつつも「である体」を混用することがあります。大抵は私なりの意図があるからですが、その場の流れや空気で混用することもあります。ただ、これはその場に聞き手が存在するからよい訳でして、仮に録音起こしで文章化するならば、よほどのことがない限りは文体を変えるでしょう。または、段落を分けるなり「 」を付けるなりということで対応するかもしれません。

 ともあれ、可能な限り、文体は統一しましょう。

 また、期末試験の答案やレポートにおいて「ですます体」を使うことが悪い訳ではないのですが、「である体」を使用することをお薦めします。そのほうが書き易いはずですし、文章も締まります。「ですます体」で書くことが悪い訳ではないのですが、「である体」に比べると文末表現の幅が狭くなり、単調になりがちですから。

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或る意味で最高のコンビ その2

2022年02月01日 12時30分00秒 | 日記・エッセイ・コラム

2022年1月10日に掲載した「或る意味で最高のコンビ その1」の続きです。

 まずはスヌーピーです。ビーグル犬ですがウサギ狩りは全くダメ(逆にウサギと仲良くなったりします)、変装好き、物真似好き、耳をバタつかせて飛んでみたり、さらには耳を回転させてヘリコプターになったりと、面白いキャラクターです。何故か、常に「暗い嵐の夜だった」(It was a stormy dark night)で始まる小説を書いていますが、投稿しても没ばかりです。サングラスをかけてTシャツを着ればジョー・クールですが、格好を付けているのに全くモテません。野球、ゴルフ、テニスなどをプレイしたりもします。また、実はシュローダーがピアノで弾く音楽の一番の理解者であったりします。アメリカの漫画やアニメの特徴かどうかわかりませんが、音楽ネタが面白いのが「ピーナツ」の特徴の一つでもあります(「トムとジェリー」の音楽ネタもかなり面白いのですが、それ以上であるのが「ピーナツ」かもしれません)。

 上の写真のスヌーピーは仰向けになって寝ていますが、実は最初からこうであった訳ではありません。1950年代では普通の犬に近かったのですが、1960年代から犬小屋の屋根の上で寝る、あの御馴染みの姿を見ることができます。50年ほど連載が続いたこともあって、顔つきから体型から、かなりの変化がみられます。上の写真のスヌーピーは1970年代か1980年代のものがモデルとなっているのでしょうか。

 なお、スヌーピーには兄弟姉妹がいます。砂漠に住み、サボテンに話しかけたりする兄のスパイクは1970年代に登場していますが、それ以外の兄弟姉妹(アンディ、マーブルス、オラフ、ベル。アニメでは他に2匹います)はおそらく1980年代になってから登場します。

 こちらは、一体何鳥かわからないウッドストックです。1960年代から登場していましたが、ロックフェスティバルで有名なウッドストックと同名が与えられたのはかなりの時間が経過してからでした。飛ぶのが上手くなく、しかも頭と足を逆さにして飛んだりするのですが、スヌーピーの親友にして秘書、アニメでは口笛の達人(?)であったりします。

 ビーグル・スカウトでは同じような姿形の鳥が登場します。ビル、フレッド、コンラッド、オリヴィエ、ロイ、レイモンド、ハリエットです。このうち、レイモンドだけは色が違っており、またハリエットは雌です。それ以外はどれがどれだかわかりません。

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